(社福)東京都社会福祉協議会
令和4年度からの新たな中期計画の策定に向けて
掲載日:2021年11月22日
2021年11月号 NOW

 

あらまし

  • 東社協では、令和4年度からの新たな中期計画の策定をすすめています。今年度が最終年度となる現行の中期計画では、すべての事業の取組みを通じて共通目標と重点目標を達成することをめざしてきました。来年度からの新たな中期計画では、東社協がめざすビジョンや役割をふまえた長期的な方向性に基づき、次の3か年で特に取組みをすすめるべき方向性をふまえた重点事業を設定し、到達目標をより明確にした計画づくりを行います。

 

4つの基本方針を定め計画策定を検討

現行の「平成31年度(2019年度)からの3か年 東社協中期計画」では、「東京の多様性を活かした〝地域共生社会づくり〟の推進」を共通目標として6つの重点目標を設定し、すべての事業に中期目標と展開方策を定めました。このうち、重点目標達成に寄与する事業を東社協総合企画委員会において「進行管理事業」に指定して、取組みを推進してきました。

 

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の影響が長引くことが予想される中、総合企画委員会では新たな中期計画の策定にあたり、東社協の各事業を通じて見えてきた課題をふまえた上で、実現可能な目標・計画としていく方向性が示されました。そこで、4つの基本方針―①この3年間で取り組むべき事項を意識した目標設定、②既存の資源を活かした実現可能な計画づくり、③連携・協働の視点を持った取組みの推進、④法人基盤の強化をさらにすすめる―を定めて検討をすすめることとしました。

 

新型コロナの影響をふまえた現状と課題

東社協では、事業等を通じて把握した現状と課題を次のように捉えています。

 

地域では、生活困窮や社会的孤立の問題が深刻化しています。経済情勢の悪化により困窮世帯が増加し、生活福祉資金の緊急小口資金や総合支援資金の特例貸付の件数も急増しました。特例貸付は、これまで社協と接点の少なかった外国籍住民や若者等の生活課題を把握すること につながっています。地域のたすけあい活動やボランティアグループが休止や活動終了に追い込まれ、地域の状況が変化する中、新たに把握した地域課題や社会的孤立等への対応を強化し、継続的な関わりを支援する取組みが求められます。そのためには、これまでも取り組んできた社会福祉法人の地域公益活動や地域の中での多分野の関係機関の連携が不可欠です。

 

また、福祉人材対策は依然として厳しい状況が続いています。労働力人口の減少が予測されており、いかに福祉人材を確保していくかが大きな課題です。コロナ禍以降の求人・求職状況の変化により福祉業界に関心を持つ人もいます。こうした興味・関心層へ継続的に働きかけるとともに、多様な働き方への対応や環境整備が必要です。また、福祉職場への定着がすすまない状況において、十分に経験を積んだ次世代リーダーの育成も課題となっています。

 

3か年で特に取組みをすすめるべき方向性

また、この間の福祉施策の動向としては、令和2年の改正社会福祉法により、地域共生社会実現に向けた取組みとして重層的支援体制整備事業が創設されました。東京都では、令和3年度からの3か年を計画期間とする東京都高齢者保健福祉計画や東京都障害者・障害児施策推進計画、東京都地域福祉支援計画の策定がすすめられてきたところです。

 

現状と課題や施策動向をふまえ、新たな中期計画では、現計画で定めた東社協がめざすべき地域社会の姿や、5つの基本的役割を念頭に置いた6つの長期的な方向性のもと、この3か年で特に取組みをすすめる方向性を次のようにまとめました(3と4の3か年の取組みは内容を考慮し、まとめて一つに設定)。

 

1 自立生活を支援するためのしくみづくり

生活が困窮することでより深刻な状況となる社会的孤立を防ぐ取組みを推進する。

 

2 福祉人材の確保・育成・定着の推進

①転職者等の未経験者を福祉職場に積極的に導く取組みを推進する。

②誰もが働きやすい職場環境づくりを推進する。

 

3 社会福祉法人等の役割発揮、機能の強化

4 幅広い市民参加・多様な主体の協働の推進による地域づくり

地域課題や社会課題の解決につながる多様な主体のネットワークをつくり、そのしくみを活かした取組みを推進する。

 

5 災害に備えた取組みの推進
人材育成やネットワークの強化に取り組み、発災時に機能するしくみづくりを推進する。

 

6 社会福祉に関する理解の促進
①福祉を取り巻く現状や課題とそれに対応する実践を可視化し、その重要性や価値の発信を強化する。

②誰でも参加でき、福祉が身近に感じられる取組みを推進する。

 

なお上記とは別に、特例貸付後の対応については、国の方針に基づき必要な体制を整備し、着実に実施する事業として、適正な債権管理をすすめていきます。

 

今後、取組みの方向性に基づき、具体的な重点事業や到達目標を協働・連携の視点を持って設定します。また、これらを推進する東社協の法人基盤の強化についても検討をすすめます。

 

取材先
名称
(社福)東京都社会福祉協議会
概要
(社福)東京都社会福祉協議会
https://www.tcsw.tvac.or.jp/
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