小規模多機能型居宅介護事業所「いつでんきなっせ」・ 熊本県DCAT及びライフサポートチーム
DCATの活動を通して見えた「地域に戻ったあとの生活を見通して関わる」ライフサポートの視点
掲載日:2018年3月26日
ブックレット番号:6 事例番号:58
熊本県熊本市/平成29年3月現在

 

 

いつでんきなっせ代表の川原秀夫さんは、今回の熊本地震で災害派遣福祉チーム・熊本県DCATとして災害時要配慮者の避難所生活を支えました。その取組みは避難者が仮設住宅に移った後も続いていき、その後、熊本県DCATからライフサポートチームに名前を変えて、仮設住宅の避難者を支える活動につながっています。

 

 

 

 

 

 

 

熊本市は5つの区にわかれている(上)

 

    

いつでんきなっせの外観

 

 

災害時のいつでんきなっせの状況

平成28年4月14日の前震のあと、川原さんはテレビの被災報道を見て、他の事業所への支援の必要があるかを確かめるために、震度7を観測した益城町の様子を見て回りました。川原さんは、「前震の時は、あまり大きな被害が出ているとは感じなかった。町の中の一部が被害を受けている印象だった」とふり返ります。

そして16日の深夜に起きた本震。熊本市内にあるいつでんきなっせの中でも、家具などが倒れ、足の踏み場がなくなるほど物が散乱しました。背の低い家具ばかりだったので幸い利用者や夜勤職員にけがはありませんでしたが、危険な状況でした。

施設の近隣に住む職員にLINEで声をかけ、当日の夜勤者とあわせて4、5人の職員が集まりました。

施設の防災マニュアルでは、災害時には利用者と近くの公園へ避難することになっていましたが、公園までの道は瓦礫が散乱し、通れる状況ではありませんでした。

 

そこで、川原さんは鉄筋造りの施設の中にいた方が安全と判断し、公園への避難はせず、施設の中にとどまることになりました。

当日宿泊していた利用者は8人でしたが、普段、認知症カフェや地域交流施設を利用している地域住民の中で、ひとり暮らしの方や、自宅に被害があった方などが施設を頼って避難してきて、15人ほどになりました。避難してきた利用者は前震に続く本震と断続的な余震の中で疲れが見えつつも、眠れない様子でした。

本震後すぐに水道、電気、ガスが止まりました。最も困ったことは水道が止まって、飲み水の確保とトイレが使えないことでした。はじめの2日間は停電し、残ったバッテリーを頼りにノートパソコンやスマートフォンを使ってインターネットから情報を得ていました。

家屋が全壊した職員が1人、半壊した職員が3人いました。自分の家族を親戚などに預け、職員自身は施設で寝泊まりするなどして、施設に避難してきた方たちを支えました。

縁がわ事業(交流事業)をしている建物は半壊しました。そして、地震の後に降った雨によって屋根が落ち、天井が抜けてしまいました。

 

 

 

取材先
名称
小規模多機能型居宅介護事業所「いつでんきなっせ」・ 熊本県DCAT及びライフサポートチーム
概要
特定非営利活動法人 コレクティブ
http://www.kinasse.jp/

しょうきぼどっとねっと―全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会
http://www.shoukibo.net/

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