(社福)東京都社会福祉協議会
創立70年記念座談会~東社協10年の歩みとこれからの地域共生社会づくり
掲載日:2021年12月8日
2021年12月号 NOW

災害支援の10年~求められる役割・機能

市川 この10年は、全国各地で自然災害が多発しました。それぞれの分野における災害支援の10年について、お話しください。

 

社協部会による災害時の相互支援協定と社協のネットワークの強み

柴山 都内でもこの10年に、平成25年伊豆大島土砂災害と令和元年台風19号という二つの災害を経験しています。社協部会では、社協のネットワークを活かして、災害時には相互に支援を行う協定を結んでいます。伊豆大島土砂災害では、都内社協から延べ114人の応援職員を派遣し、災害ボランティアセンターの運営を支援しました。また令和元年台風19号では、都内に五つの災害ボランティアセンターが設置されましたが、近隣の社協から応援職員が駆けつけて、支援が行なわれました。これは社協のネットワークの強みです。ただ、派遣した数よりもどのくらい被災地が救われたかという結果が大切であり、まだこれからも工夫を検討する余地があると思います。

 

また今年7月には熱海で大きな土砂災害が発生しましたが、その直後に大島社協では、伊豆大島土砂災害で8年前に被災した方の家を回り、気持ちのケアに努めたと聞きます。これは地域の復興には長い歳月が必要ということを表しています。都内の社協では、これまで多くの職員が他県への応援派遣を経験しています。そこからの多くの学びを東京での備えに活かして行くことが必要でしょう。一方で、東京の社協職員は地元に住んでいないことが多く、すぐに参集できない可能性があるということは、これからの課題ではないかと思っております。

 

大規模災害時の社会福祉法人の役割

品川 東社協では地域福祉推進委員会の「地域福祉推進に関する提言2021」の中で「感染症対策や水害対策を踏まえた福祉避難所の円滑な設置運営に向けて」として、いくつかの提言をしています。

 

提言の一つ目は、東京都災害福祉広域支援ネットワークによる「福祉避難所の設置・運営の課題解決に向けた取組みの推進」です。東社協では東京都からの受託事業として東京都災害福祉広域支援ネットワークを立ち上げています。この組織は平時から、東京都福祉保健局、区市町村、東社協、区市町村社協、東社協の施設部会、福祉専門職の職能団体が連携して、区市町村における要配慮者支援の取組みを補完し、災害対策の強化を図ることを目的として活動しています。大規模災害時には、復旧期の福祉避難所や、福祉施設における人的資源不足を補うため、東社協施設部会や職能団体による東京都内の相互応援に加え、他の道府県からの福祉専門職の応援派遣等の広域調整も行なうこととしており、積極的な活用が望まれております。

 

東社協では、コロナ禍による影響で急遽職員が休まなければならない施設に職員を派遣する応援派遣の仕組みを都からの受託等で構築していますが、地域のなかで取組みをすでに組織化して行っているような高齢者施設もあります。福祉サービスを提供する側にとって、災害時の人員体制の確保は大きな課題です。こういった取り組みは今後広がって行くのではないかと思います。

 

二つ目の提言は、「地域ぐるみの防災対策の検討に向けて」です。この中で、社会福祉法人の地域公益活動のための区市町村ネットワークの活用・連携を取り上げています。

 

社会福祉法人や福祉施設は、地域の公益活動に積極的に取り組むことが責務です。推進協議会では、各社会福祉法人、市町村域、東京都全域の3層による地域公益活動の取組みを推進しており、51の区市町村域で社協を事務局とするネットワークができているということについては、先ほど述べた通りです。この区市町村域でのネットワークでは、災害時の取組みについても意見交換を行っている地域もあります。

 

昨年、東社協が都内自治体を対象に実施した調査によると、指定されている福祉避難所の約86%が福祉施設です。また福祉施設を対象とした別の調査では、約6割の施設が、災害時でも状況によっては地域の要配慮者へ何らかの支援ができる、と回答しており、福祉施設には防災や地域の要配慮者支援の意識があることが分かります。また、福祉避難所への避難をはじめ、地域の要配慮者支援を検討する場として、区市町村における社会福祉法人ネットワークを活用し、地域の実状を踏まえた取組みを進めて行くことが今後考えられます。

 

今年5月に、改正災害対策基本法が施行され、避難行動要支援者個別避難計画を作成することが区市町村の努力義務になりました。災害時、地域の要配慮者の避難を実効性のあるものにするためには、自治体だけではなく、要配慮者の近くに居る地域住民や民生児童委員、また本人たちが日頃利用している地域の福祉サービス、そして福祉避難所となる福祉施設の連携が重要となります。地域公益活動推進のために構築した区市町村の社会福祉法人ネットワークの活用に加えて、東社協が検討している社協、社会福祉法人、民生児童委員の「三者連携」を活かした災害支援の取組みも、今後期待するところです。

 

民生児童委員による災害支援

寺田 都民連では、東日本大震災直後の平成23年4月に遺児・孤児の教育・養育支援のための「東日本大震災子ども応援募金」を独自に企画しました。全都一丸となって取り組み、28年までの5年間で累計5千万円を超える募金を集め、岩手、宮城、福島の3県に全額贈呈しました。

 

災害が起こると、その地域の民生児童委員もまた被災者の一人です。その中で、自身や家族の安全を最優先にしながら、日頃気にかけている方や要援護者名簿をもとに避難の呼びかけや誘導、避難所の運営支援を無理のない範囲で取り組みます。伊豆大島土砂災害では、被災者の見舞い訪問を兼ねて生活状況の調査を行いました。その中で、被災者の心のケアや生活再建に向けた継続的な支援の必要性が明らかになったため、被災地域や仮設住宅での見守りや声掛けを手厚く行うことと合わせて、地域包括支援センターとの協働のもと、要援護者名簿の改訂に取り組むこととしました。これらの訪問調査のほか、災害ボランティアセンターとの連絡調整窓口となり、ボランティアへの炊き出し等にも協力しました。

 

これらのことから、やはり日頃から、私たち民生児童委員は、社協と足並みを揃えていく必要があると思います。民生児童委員と社協が地域の中で一緒に連携するようなプラットフォームを作っていくことが求められていると思います。

 

市川 災害対応には、災害が起こる前の取組み、災害時の取組み、災害後の取組みという三段階があると思います。そのことを踏まえて、山崎所長お願いします。

 

「三者連携」による災害支援のしくみづくりを

山崎 大規模災害が起こると、最初は避難所で、次は地域の仮設住宅で、そして復興期、と災害支援のステージに合わせた支援が必要になります。

 

発災初動期を経て、生活再興期、生活復興期になると、地元の社協、地元の福祉施設、地元の民生児童委員の力が不可欠です。マスコミの報道では初動期の支援だけが大きく取り上げられがちですが、本当に大事なのはその後です。その後、生活を再興していく場面は、まさに地元の社協や地元の福祉施設、それから地元の民生児童委員の役割だと思います。特に社協の役割、出番は、その辺りからがとても大事です。

 

災害対策基本法が改正され、住民同士の相互支援のネットワークが不可欠であることが記載されました。発災直後の生命救助では、同居あるいは自分の身近な家族が大きな役割を果たしているのです。その次に近隣の方たち、地域、そして行政の順となります。行政の支援が届く前に、もっと身近な機能がしっかりしていないと命を守ることはできません。そういう意味では、地域とつながりのある民生児童委員が社協と施設と協働できるようになると、これまでとは違う支援体制ができると思います。そしてそのなかには地域福祉を構成している部分が必ず組み込まれなくてはなりません。

 

災害対策では、平時における防災や予防のためのネットワークづくりが大事です。そのためには日頃の関係が重要になります。東京で大規模災害が起こると、東京都との協定によりTVACは東京都災害ボランティアセンターを立ち上げます。そこにはさまざまな支援の情報や活動が集まるため、TVACでは、平時からアクションプラン推進会議で各区市町村社協、施設、NPO、民生児童委員とさまざまな関係者の参加のもとに、東京全体の防災・減災の取組みを進めています。発災時に、被災地で災害ボランティアセンターをそれぞれの拠点でどのように運営していくのかは非常に重要な要素です。要配慮者の避難も非常に重要な要素になります。今後は、これまで課題となっていた個人情報保護の課題がありますが、社協と民生児童委員はじめ関係機関が、密に協力しながら、必要な方々の支援ができる仕組みが作れるとよいと思います。

 

それから、新型コロナ感染症という災害の問題もあります。外国籍の方のもとには、情報が届かないと言われています。今、東京都では一部の自治体やNPO、ボランティア団体が外国籍や外国にルーツのある方達に情報を届ける窓口やしくみをつくっていますが、こういった取組みが地域の中に浸透していくためには、そういう方々が排除されないことを第一に考えていくことが重要ではないかと思います。

 

取材先
名称
(社福)東京都社会福祉協議会
概要
(社福)東京都社会福祉協議会
https://www.tcsw.tvac.or.jp/
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