日常生活を大きく変化させたコロナ禍が長期にわたっており、これまで通りの活動を再開できない地域活動も少なくありません。一方、コロナ禍には新しい地域課題も顕在化し、そうした課題に対応する新たな実践が地域に生まれています。
各法人による地域公益活動では
東京都地域公益活動推進協議会が令和3年8月に行った調査では、社会福祉法人の運営する会員施設・事業所の地域公益活動の実施状況を把握しました。調査結果では「コロナ禍に中止している活動がある」は74・2%。一方、「感染対策に留意して取り組んでいる活動がある」も58・5%となっており、中止している活動に代わる活動によって地域のニーズに応えようとする実践が出てきています。例えば、「施設での会食を変更し学校の敷地を借りてフードバンクを実施」、「通所施設の利用者が作ったパンを地域の子ども食堂に提供」、「保育園に地域の子どもを短時間で受け入れてボランティア体験を実施」、「高齢者の筋力低下を心配する住民の声が多いことから、オンラインで体操教室を実施」などです。これまでの取組みを通じて地域がみえているからこそ、今できる活動による創意工夫が生まれています。
法人のネットワークを活かして
地域に顕在化した課題に対応しようとする取組みは、社会福祉法人の地域ネットワークにも生まれています。東社協地域福祉部が令和3年8~9月に社会福祉法人による地域公益活動推進のためのネットワーク化に取り組む区市町村社協を対象に実施した調査では、コロナ前からの活動を再開できているネットワークは、50・0%でした。コロナ禍には集まって話し合うことにも制約を伴います。そうした中、ネットワーク内でアンケートを実施して各法人に寄せられた課題を共有したり、また、社協が実施してきた緊急小口資金の特例貸付等の相談状況を連絡会で報告し、食支援や就労支援の取組みを検討するなどが行われています。
このような課題の共有をふまえ、コロナ前からネットワークを立ち上げている45社協の半数以上の55・6%のネットワークが「コロナ禍に新たに始めた活動がある(検討中を含む)」と答えています。それらは【表】のような活動となっています。
取組みの特徴の一つは「相談支援付きの事業」です。コロナ禍の地域課題の一つには、困りごとが顕在化した方々の多くは、支援を必要としつつも相談機関を知らなかったり、相談につながりにくいという課題があります。そこで、法人のネットワークを活用した「フードパントリー」を実施するにあたり、身近な事業所で食糧を受け取るようにすることで継続的な関わりにつなげていく工夫も出てきました。また、移動困難な高齢者のワクチン接種会場への移送支援、自宅療養者への食糧支援など、時機を得て課題に即応する取組みもみられました。ネットワークならではの取組みの広がりが期待されます。
東社協HPに調査結果を掲載
https://www.tcsw.tvac.or.jp/chosa/
区市町村NW調査結果
地域公益活動調査結果
https://www.tcsw.tvac.or.jp/