フードバンクみたか 寺嶋佐妃子さん
受け手を想像しながら活動し、一人でも多くの人が喜ぶ支援をしたい
掲載日:2022年2月18日
2022年2月号 くらし今ひと

フードバンクみたか副代表 寺嶋佐妃子さん

 

あらまし

  • フードバンクは、一般家庭や企業から寄付された食品を困窮世帯や地域の施設・団体に提供する活動です。三鷹市にある「フードバンクみたか」で副代表を務める寺嶋佐妃子さんにお話を伺いました。

 

参加のきっかけとフードバンク活動を通じて感じる達成感

もともと、フードロス問題に関心がありました。テレビでフードバンク活動を行う団体の取組みを見て、生活困窮者支援にもつながる良い活動だと思いました。定年退職を機に何か社会の役に立つことをしたいと考えていたところ、ちょうど三鷹市社会福祉協議会主催のフードバンク団体立ち上げを目的としたセミナーに参加しました。それがきっかけで、フードバンク活動に関わることになりました。食品の仕分け作業のほか、事務職の経験を活かし、団体の事務処理等も行っています。

 

活動当初は食品が十分に集まるかどうか不安もありましたが、市報やFacebookなどでの活動発信、寄付食品を受け付ける「まんぷくBOX」をボランティアセンターに設置するなどの活動を行ったことで、市民や企業からたくさんの寄付をいただきました。今では年間約1トンの食品が集まっています。提供先は、困窮世帯だけでなく、福祉施設や子ども食堂など広い範囲でお渡しできています。食品の入っていた段ボールなどの処理や重い食品の仕分けなど、大変なことはありますが、活動を通じて、フードロスに貢献できている大きな達成感を感じています。

 

 

 

食品管理の様子

 

想像しながら行う「顔が見えないけれど顔の見える支援」

フードバンク活動では、提供する方のことを想像することを大切にしています。自立相談支援機関からの依頼では、食品提供依頼書をもとに段ボールに食品を詰めていくのですが、「この食品を入れたら喜ぶかな」とか「この食品とこの食品を入れたら、バランスの良い食事がとれるな」といったことを想像しながら作業しています。

 

お礼のメールや連絡が届くこともあります。私たちが選んだ食品で、喜んでくれる方が一人でもいることがとても嬉しいですし、心が温かくなります。私たちから直接利用者さんにお渡しすることはありませんが、食品提供依頼書やメールなどを通じて、「顔が見えないけれど顔の見える支援」という感覚で活動しています。

 

子どもの頃の経験が活動や行動につながっている

子どもの頃、体が弱かったので、いろいろな制約の中で育ってきました。そのこともあり、「人や社会の役に立ちたい」という気持ちは昔からあり、それが、幅広い活動に参加する原動力になっているのだと思います。会社員時代から、電話相談や高齢者への配食ボランティアなどにも定期的に参加したり、ホームヘルパーの資格を取り、高齢者や障害者のご自宅に訪問して介護や援助の仕事をしたりしていました。特に、ホームヘルパー活動は、ひざを痛めて半年で辞めざるを得なかったのですが、高齢者や障害者の方たちと触れ合うことが、とても楽しかったことを覚えています。また、趣味も多く、歌舞伎やミュージカルの鑑賞のほか、コロナ禍前は海外旅行にもよく行っていました。小さい頃の制約の反動で、趣味も含めて活発に行動できているのかもしれません。

 

いろいろなことに興味を持って活動に参加してほしい

今後については、寄付していただいた食品を直接、困窮者世帯にお渡しするような「顔の見える支援」や、地震や災害が起きた時に、ここに保管している食品をどのように提供していくかを考えていく必要があると思っています。

 

これからもし、ボランティア活動を始めることを考えている人には、いろいろなことに興味を持って、さまざまな活動に参加してほしいなと思います。そして、想像を働かせながら、活動することを大切にしてほしいです。

取材先
名称
フードバンクみたか 寺嶋佐妃子さん
概要
フードバンクみたか
https://www.facebook.com/foodbankmitaka/
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