あらまし
- 令和4年2月2日(水)、「広がれボランティアの輪」連絡会議による勉強会が開催されました。オンラインで行われた今回の勉強会には、全国から約140名が参加しました。
「ボランティア・市民活動における連携・協働を考える」
はじめに、日本大学文理学部社会福祉学科教授の諏訪徹さんによる基調講演が行われました。
日本において、連携・協働が公に意識されるようになったのは、NPOやボランティアセクターの力が発揮された阪神・淡路大震災がきっかけですが、地域では、その以前から祭りの実行委員会やボランティア団体の連絡会などの場で実践されてきたといいます。現在、協働はさまざまな形で広がっています。その一例として、地元の企業と社協、福祉施設がつながり、羽毛製品を回収して新たな商品に生まれ変わらせる循環のしくみづくりと、障害者の地域での就労機会の開発に取り組む活動が紹介されました。都内でも、社会福祉法人の連携と協働による地域公益活動(「地域ネットワーク」)がすすめられ、現在51区市町村で取り組まれています。
諏訪さんは、連携・協働は必須ではないと前置きした上で「連携・協働により新しいアイデアや資源がもたらされ、新しい視野や気づきが得られる。活動の広がりや発展には重要な要素」とその意義を語り、【図】のようなコツを示しました。
コロナ禍においては、中断せざるを得なかった活動も少なくありません。そのような中で、その時にできることを考え続けたり、離れていながらも一緒に取り組んだりしながら連携・協働のあり方も少しずつ変化しているといいます。
事例から学ぶこれからの連携・協働
続いて、認定NPO法人コミュニティ・サポートセンター神戸(以下、CS神戸)理事長の中村順子さんと、(一社)ふらっとカフェ鎌倉代表理事の渡邉公子さんによる事例紹介が行われました。
中間支援組織として活動するCS神戸は、阪神・淡路大震災をきっかけにコミュニティにおけるつながりづくりに取り組んでいます。震災の教訓として、中村さんは「『身内だけでなくみんなのために』という視点を持つことと、『助けられるだけでなく自身にできることを行動にうつす』ことが社会とのつながりの基盤となる」と話します。コロナ禍でも、つながりを絶やさないよう試行錯誤しながら活動を続ける団体があるといいます。中村さんは「中でも居場所はつながりの切り札といえる。実際に利用する人からは、知り合いが増え、お互いを気にかける機会も増えたという声が多く、特に災害時にはこのつながりが助けになる」と言います。
多岐にわたる活動から得た知見として、中村さんは「つながりやすい社会は自然に生まれるものではない。個人も組織も少しずつ努力して、共助の意識を育てていかなければいけない」と語ります。
食を通じた居場所づくりに取り組むふらっとカフェ鎌倉は、寄附による食材と協力店舗の定休日を利用して、地域の誰もが参加できる移動式食堂を運営しています。コロナ禍では、フードパントリーにも力を入れ、市と連携しながらひとり親家庭約10世帯への配布を始めました。令和3年には、毎月ひとり親だけでなく生活困窮世帯など約40世帯に食糧を届け、個別要請にも応えています。渡邉さんは「届け先の家族構成や環境を考えながら詰め合わせ、自然な見守りや関係づくりを継続できるようにしている」と、活動での意識を語ります。続けて「誰でも気軽に関われる環境づくりを行うことで地域の参加者の輪や特色が生まれる。また、地域の方や他団体の得意分野を活かした企画によって活動の多様性が生まれている」と、連携・協働する活動の中で大切にしていることを示します。
最後に、参加者によるグループ討議が行われました。「連携・協働の取り組みの実際」「どのような連携・協働をめざすか」をテーマに、これからのボランティア・市民活動における連携・協働について活発な意見交換が行われました。
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