熊本学園大学
14号館を地域住民に開放するとともに、 「身近な福祉避難所(スペース)」を開設
掲載日:2018年3月26日
ブックレット番号:6 事例番号:60
熊本県熊本市/平成29年3月現在

 

  

 

ポイント

  • (1)地域に根差した大学として地域住民の避難を校舎に受入れるとともに、福祉避難所を開設した。
  • (2)障害のある学生を多く受入れ、バリアフリーだった、地域の団体と連携した授業を行っていた。
  • (3)教員、学生、施設職員、地域のボランティアがそれぞれの力を活かして福祉避難所を運営した。
  • (4)災害支援を経験した学生が成長した。
  • (5)避難所を出る不安がある。アパート探しも支援。目の前のことに向き合いながら、その先を見据えた支援が災害時の福祉職の役割だ。

 

あらまし

  • 平成28年熊本地震では、熊本学園大学は、前震が発生した4月14日の夜にグラウンドへ避難して来た地域住民や学生を教室に受入れるとともに、16日の深夜に発生した本震では、教室に避難者があふれ、車いすの方が15時間も座りっぱなしの状況となりました。16日の午後、大学はホールを開放し、そこに高齢者、障害者を受け入れることを決断しました。以降、5月28日までの45日間にわたり、大学独自の「身近な福祉避難所(スペース)」を教員と卒業生、在学生が一丸となり、当事者団体、応援に駆け付けた専門職、地域のボランティアとともに運営しました。ホールでは、在宅の障害者、高齢者など56人の要配慮者が過ごしました。
    社会福祉学部長の宮北隆司さんは「『目の前に起きたことに最前を尽くし、それを最後の一人まで』という精神。この取組みを通じて、日常生活の中でも要配慮者が地域の中で共に暮らせれば、災害時にも身近な場所で要配慮者が地域の人とともに避難生活を作り得ることを学んだ」と、指摘します。そして、社会福祉学部講師の吉村千恵さんたちは、避難所を離れる不安な気持ちを理解しながら、この帰宅支援を丁寧に行ないました。緊急時の支援から安心した暮らしを取り戻すまでの支援が「福祉」。目の前にあることに向き合いながら、その先にある暮らしを支えるために先行きを見据えることが災害時の福祉専門職の役割となります。

 

取材先
名称
熊本学園大学
概要
熊本学園大学
http://www.kumagaku.ac.jp/
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