(社福)村山苑救護施設村山荘
常に小さなサインに気がつける支援者になりたい
掲載日:2022年4月8日
2022年4月号 福祉のお仕事通信

社会福祉法人村山苑 救護施設村山荘

援助員 筒井 たえさん

あらまし

  • 救護施設「村山荘」で働いて3年目になる筒井たえさんに、現在のお仕事に就くまでの経緯や利用者、職場の方々との関わりへの思いなどについて、伺いました。

 

関わってみたかった福祉業界へ

学生の頃から「将来は人の役に立つ仕事がしてみたい」と思っていました。高校卒業後はバスガイドとして働きはじめ、事務職や営業職などさまざまな職種を経験しました。その間、福祉業界への就職を考えたタイミングは何度かありましたが、体調面での不安や周りから「腰を悪くするよ」と言われていたこともあり、ためらっていました。

 

転居をきっかけに仕事を探していたところ、現在の職場で生活支援の仕事の求人を見つけて、この仕事なら自分もできるかもと思い、応募しました。

 

切り口を変える面白さ

救護施設には、相談員、調理師、看護師等さまざまな職種の職員がおり、その中で私は援助員として働いています。援助員は、利用者の買い物や生活費の管理等、日々の生活のお手伝いをしています。

 

福祉は未経験ということもあり、入職する前「利用者さんの小さなサインを見抜けるだろうか」と、とても不安に思ったことを覚えています。入職した後に感染拡大した新型コロナの影響も大きく、常に緊張の連続でした。

 

しかし、その中でも福祉の仕事の面白さを見つけました。それは、切り口を変えるだけで小さな発見がいくつもあることです。新型コロナ感染拡大後、知的障害のある利用者さんがご飯を全く食べなくなってしまいました。ほかの職員と話し合い、器を弁当箱から食器へ変更するなど、あの手この手で工夫しました。その結果、少しでも食べてくれた時は嬉しかったです。ほかにも「お風呂行きましょう」では動かない利用者さんが「入浴しましょう」と声をかけるとすんなり行ってくれるなど、伝え方を変えるだけで反応が変わることがあり、そこがこの仕事のやりがいのあるところだと感じています。「今日はどんな風に伝えてみようかな?」と思いながら、出勤しています。

 

柔らかい雰囲気の職場

これまでの職場で苦労した分、入職前は人間関係も不安でした。しかし、今の職場は柔らかい雰囲気の方が多く、風通しがとても良いです。そして新任職員からでも提案しやすい環境です。

 

例えば、トイレ掃除はこれまで午前中に業者が行っていましたが、午後には汚くなってしまいます。「自分たちで綺麗にする習慣があっても良いのではないか」と提案したところ、日中活動の一環として掃除が加わりました。掃除をした利用者さんへ1週間に1回の表彰も行っており、今ではいつも綺麗になっています。

 

働く上で大事なメンタルケア

福祉の仕事は自分のメンタルが安定していないと小さなサインが見抜けないと思います。それは利用者さんへの支援は職員のメンタルにより左右されると思った経験があるからです。

 

ある大柄な男性の利用者さんの真横にいた際、怒鳴られたことがありました。私に対して怒鳴ったのではなかったのですが、その利用者さんのそばに行くと緊張してしまった時期がありました。主任に率直に相談し、一時期ほかの職員が関わるように配慮してくれました。「仕事だから我慢しなければ」という気持ちもありましたが、無理して関わっていたらストレスを抱えて辛くなっていただろうし、相手にも私が無理していることが伝わってしまうと思いました。それはお互いのためにも良くなく、仕切り直すための時間と距離をもらえて良かったと思った経験でした。そして、そのことを言える環境にも感謝しています。

 

こんなに楽しいと思わなかった

営業職時代の経験から、素の自分はふとした時に出てしまうので常に正直であろうと思い、「相手を尊敬する」「挨拶をする」「常に小さなことに気づけるようにする」ことを心がけてきました。これからもこの心がけを忘れずに、利用者さん一人ひとりの経歴や入所経緯、考え、希望を把握し、同じ方向を向いて前向きな支援を考えられる支援者になりたいと思います。

 

興味のあった福祉の仕事に今、思い切って飛び込んでみて良かったです。そして、こんなに楽しいとは正直思いませんでした。感じ方は人それぞれですが、迷っている方がいれば一歩踏み出すべきだと思います。

 

 

取材先
名称
(社福)村山苑救護施設村山荘
概要
(社福)村山苑救護施設村山荘
https://www.murayamaen.or.jp/murayamasou/
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