(社福)世田谷区社会福祉協議会
地区ごとの包括的相談支援「福祉の相談窓口」と ひきこもり支援に特化した多機関協働事業 ―世田谷区社協における重層的支援体制整備事業の取組み
掲載日:2022年5月26日

左から、世田谷区社会福祉協議会 地域社協課長 金安博明さん、

自立生活支援課長 田邉仁重さん、地域社協課調整係長 尾崎一美さん、

生活困窮者自立相談支援センター係長 江口卓さん

あらまし

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  • 令和3年度から改正社会福祉法に基づく重層的支援体制整備事業が始まり、世田谷区では、ひきこもり支援の相談体制の整備を進めています。令和4年4月から実施予定の「ひきこもり相談窓口(仮称)」は、社会福祉協議会が受託している「ぷらっとホーム世田谷(世田谷区生活困窮者自立相談支援センター)」と若者総合支援センター「メルクマールせたがや」が窓口を担い、就労支援機関「せたがや若者サポートステーション」が同じ建物内に入り、3者を中心とした多機関協働により、ひきこもり支援にあたることを目指しています。
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  • また、世田谷区では、地域包括ケアの地区展開として、平成26年度からのモデル事業を経て、平成28年度から区内28地区に設置されている拠点「まちづくりセンター」内で、まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)、社会福祉協議会の3者が連携して相談に対応する体制を築いてきました。
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  • まちづくりセンターに設置されている「福祉の相談窓口」では、前述の3者が一体となって相談に対応しています。課題を共有しやすくなり、各々が得意な役割を分担して連携することで、解決に向けた取組みを進めやすくなりました。「福祉の相談窓口」は、重層的支援体制整備事業における包括的相談支援に位置づけて継続して実施しています。
  • これまでの実施に向けた経過や取組みの状況について、世田谷区社会福祉協議会地域社協課長の金安博明さん、地域社協課調整係長の尾﨑一美さん、自立生活支援課長の田邉仁重さん、生活困窮者自立相談支援センター係長の江口卓さんの4人にお話をうかがいました。
  • 〔ヒアリング日:令和3年12月13日〕

 

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Ⅰ 世田谷区の包括的支援体制に向けた取組み

 

(1)3者が連携した「福祉の相談窓口」

世田谷区は、面積も広く人口も多いため、行政組織は3層構造になっています。本庁組織のもとに5地域の総合支所があり、さらに総合支所のもとに全部で28地区の「まちづくりセンター」があります。このまちづくりセンター内に、地域包括ケアの地区展開を目指して設置されたのが「福祉の相談窓口」です。平成26年度に区の地域資源開発事業(補助事業)のモデル実施として1地区(砧地区)で始まり、27年度に委託事業として5地区でモデル実施された後、28年度に全27地区(現在の地区数は28地区)に設置されました。まちづくりセンター、あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)、社会福祉協議会(社協事務局)の3者がまちづくりセンター内に配置され、3者連携して一体的に相談支援を行う体制となっています。世田谷区は、28年度から、国のモデル事業(「我が事・丸ごと」の地域づくり推進事業→地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制構築事業)に取り組んでいます。

 

 

「福祉の相談窓口」では、寄せられた相談に対して、3者が役割を分担して支援にあたります。例えば、ある課題をもっている方々の居場所をつくる際には、場所の確保はまちづくりセンター、対象になる方たちに声をかけるのはあんしんすこやかセンター、居場所の内容の企画は社会福祉協議会が担い、社協の地区担当職員は、地区社協と一緒に生活支援体制整備事業の協議体で企画を考えます。3者が1つの窓口に机を並べて相談にあたることで、相談者の利便性の向上はもとより、課題を共有しやすくなり、連携して解決に取り組めるようになりました。まちづくりセンター所長がチーフとなって、3者連携会議も開かれています。

 

(2)社会福祉協議会の体制と地域づくりの取組み

世田谷区社会福祉協議会では、福祉の相談窓口が設置される前から、地区担当職員を中心に地域の相談を受けて支援を実施してきましたが、地域住民から見ると、社会福祉協議会へのアクセシビリティには課題がありました。まちづくりセンターという住民の身近な圏域にある拠点に地区担当職員が出向いていることで、住民が社会福祉協議会に相談しやすくなったことは、福祉の相談窓口を設置したメリットの1つだと言います。

 

世田谷区社会福祉協議会は、行政の総合支所単位の5地域に地域社協事務所を設置しています。そこに、各地区まちづくりセンターにて業務にあたる地区担当職員が配置されています。人数は全28地区・各地区2名ずつで、2名の内訳は常勤の地区担当職員と非常勤の地域福祉支援員がペアとなり、どちらかが地域社協事務所に出ているときに、もう一人はまちづくりセンター窓口で対応するという体制をとっています。5つの地域社協事務所には地区を担当する職員のほかに、所長とあんしん事業(地域福祉権利擁護事業)の専門員1名、ファミリーサポートセンターのアドバイザー1名が配置されています。また、社協本部の地域社協課には調整係が置かれ、地域社協事務所業務の調整、統括を行っています。地域社協課は本部の調整係と地域社協事務所5か所の計6係の構成になっています。

 

世田谷区社協組織図

 

地区担当職員は生活支援体制整備事業の第2層生活支援コーディネーターです。世田谷区社協には地域福祉コーディネーターとして配置されている職員はいませんが、生活支援コーディネーターが、高齢分野に関わらず、分野を横断した課題に対応し、コミュニティソーシャルワーク機能を発揮しています。地区社協の運営支援も行いながら、住民とともに地域づくりを進めており、「ふれあい・いきいきサロン」や「支えあいミニデイ」、「子ども食堂」などの取組みも広がっています。

 

世田谷区社協には、地域社協課のほかに、ファミリーサポートセンターやふれあいサービス(有償家事援助サービス)、支えあいサービス(高齢者の家事の困りごとをお手伝いするサービス)、福祉喫茶の運営などを行っている地域福祉課があります。例えば、ふれあいサービスについては、実際のマッチングは地区担当職員が行い、身近な圏域での支えあいの視点や個別支援に重点を置いて展開しています。なお、事業の所管は地域福祉課が担っています。

 

社協内連携を担っているのは連携推進課です。社会福祉法人の地域公益活動の取組みも実施しており、現在は、コロナ禍で課題になっている食支援にも取り組んでいます。

また、社協では、成年後見センター「えみぃ」やぷらっとホーム世田谷(世田谷区生活困窮者自立相談支援センター)も受託しており、それらの部署と連携することにより、個別支援と地域支援の一体的な推進を目指しています。

 

このように、世田谷区社協では、小地域福祉活動が盛んで住民との太いパイプがあり、地域ニーズの把握ができること、一方で個別支援を担う部署との連携による個別ニーズへの対応も可能である体制が整ってきていました。そうしたことから、包括的支援体制構築のための事業(地域資源開発事業)が社協に委託されたと考えています。

 

(3)3層の圏域における地域ケア会議

世田谷区では、3層の圏域それぞれで地域ケア会議を開催しています。

 

①地区版地域ケア会議

28地区単位の「地区版地域ケア会議(地区包括ケア会議)」は、あんしんすこやかセンターが開催します。通常のニーズに対応するための会議と対応困難なケースを扱う会議の2種類がありますが、社協の地区担当職員も参加しています。地区版地域ケア会議は、生活支援コーディネーターとしての具体的な議論の場になっています。

 

②地域版地域ケア会議

5地域単位の「地域版地域ケア会議」も地区版と同様の形で開催され、地区では対応困難な課題について、地域で普遍化して対応するためのしくみを検討します。地区担当職員は地域版にも参加します。

 

③全区版地域ケア会議

「全区版地域ケア会議」は世田谷区地域保健福祉審議会と同時開催されており、社協から出席するのは会長です。区内全域で課題になっているトピックスを取り扱いますが、令和2年度は「8050問題(ひきこもり)」がテーマになり、ひきこもり相談窓口をどのような形で取り組むのか等の検討が行われました。

 

取材先
名称
(社福)世田谷区社会福祉協議会
概要
(社福)世田谷区社会福祉協議会https://www.setagayashakyo.or.jp/
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