(社福)目黒区社会福祉事業団 目黒区みどりハイム
母子に寄り添い、安心感を与えられる存在になりたい
掲載日:2022年6月23日
2022年6月号 福祉のお仕事通信

社会福祉法人目黒区社会福祉事業団目黒区みどりハイム
篠﨑 絵里さん

 

あらまし

  • 母子生活支援施設「目黒区みどりハイム」で働いて5年目になる篠﨑絵里さんに、現在のお仕事に就くまでの経緯や利用者、職場の方々との関わりへの思いなどについて、伺いました。

 

病院勤務から福祉の仕事へ

私が心理学を学んだのは、読書の影響が大きいと思います。いろいろな本を読んで、心の奥深さに関心を持ちました。

 

大学・大学院では心理学を専攻し、卒業後は精神科病院で数年間、臨床心理士として働いていました。

 

引越しを期に、別の分野での仕事にも挑戦したいと思っていた頃、学生時代の恩師から母子生活支援施設の仕事を紹介してもらい、病院を退職しました。

 

母子生活支援施設には、さまざまな事情で入所されたお母さんと子どもが自立のための支援を受けながら生活しています。その中には、心の傷を抱えた方も少なくありません。このような方々を支え、また幼少期の子どもたちのケアを行うことで、母子に寄り添い、安心感を与えられる存在になりたいという思いから、今の仕事に就く決心をしました。

 

一人よりもみんなでやれば大きな力に

施設に心理療法担当職員が私一人しかいなかったため、初めの1年間は怒涛の日々でした。自分の言動や振る舞いが直接利用者の生活の支援に直結するため、支援の難しさや責任を感じていました。

 

しかし、職員が常に連携して支援をしていく中で、不安定な状態だった利用者が「ちょっとやってみようかな」と立ち上がっていく姿を見ると「この仕事を選んで良かった」とやりがいを感じます。

 

また、利用者自身の意思で「心理療法の時間はもうやめてもいいかな」という声を聞くと、良い意味で自分の存在が不要になったのだという達成感と、チームで利用者を支えることができた安心感から感動が生まれます。

 

施設の規模も小さく、一緒に働く仲間が団結して支援することが必要とされるので、日頃から、職場の風通しが良くなるよう職員同士で納得するまで話し合い、意見を言い合える今の環境は、とても良いと思っています。常に職員全員が、利用者にとって最善を尽くせるように支援の方法を考えています。

 

女性福祉の活動を広く広めたい

母子生活支援施設では、利用者のペースを守りながら、利用者が今どういう課題と向き合えるのか、支援を模索しています。その中で、心理療法担当職員は支援の段階を踏んで、その方のニーズに合わせてオリエンテーションから始めます。立場上、必要以上に利用者の生活場面には入らないように気を付けながら、心の傷を抱えたお母さんと子どもたちの心理療法や心のセラピーを行っています。

 

母子分野の現場で働いていると、日々いろいろな気持ちが沸いたり、心が揺さぶられます。しかし、利用者一人ひとりのニーズや取り組んでいることが、今どのような状態なのか、常に職員間で確認し合うことで、チームで支援していくことが実感できます。日頃から、ストレスを溜めないよう心掛け、より良く働けるためにどうすれば良いか考え、行動を起こすことが大事だと思います。良い環境になるように周りに提案をしていくことで、利用者にもその思いが伝わり、互いに気持ちよく過ごすことができると思います。

 

利用者を地域福祉につなげるコンサルテーションの役目を担う女性福祉分野の活動が社会にさらに広がっていけばと思っています。

 

どんな辛い体験も自分の資源となる

施設で働き始めたばかりの頃は、地域の関係機関との連携を意識することと、目の前の利用者のニーズを大事にすることとのバランスをうまくとることができず、利用者への対応を誤り、後悔したこともありました。前職の先輩や、施設の同僚、上司、家族などに相談して助言を受けました。恩師から「どんな辛い体験もあなたの資源として活きる時がくるよ」という言葉を受け、悩んでいる時もその言葉を思い出し、乗り越えてきました。

 

どんな仕事にも大小さまざまな困難や壁があると思いますが、楽しいことや辛いこと、いろいろなことを経験することでさらに自分自身が成長するのではないでしょうか。一人で抱え込まずに、仲間と共に困難や壁に挑戦して、自分の『資源』にしてほしいです。

 

 

インタビュー中の篠﨑さん

取材先
名称
(社福)目黒区社会福祉事業団 目黒区みどりハイム
概要
(社福)目黒区社会福祉事業団 目黒区みどりハイム
https://www.meguro-fukushi.jp/facilities/midori/index.html
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