あらまし
- 「障がい×美容が当たり前の社会をつくる。」をビジョンに、美容を通して障がい者の可能性や選択肢を広げ、持続可能なバリアフリー社会をめざす株式会社accessibeauty代表の臼井理絵さんにお話を伺いました。
臼井 理絵さん
「美容」がすべてのはじまり
私が過去に「美容」に背中を押されたように、すべての人に美容がもたらす感動や人生の変化を味わってほしい、そんな思いが活動のベースにあります。
高校2年生の時に心身に不調をきたし、その後思い描いていた人生を送れないことへ憤りを感じる日々を過ごしました。
転機は20歳の時。将来を見据え、自宅でも仕事ができ、美容への憧れを叶えられる仕事を考え、ネイリストを志しました。数年後、美容業界をめざす障がいのある女性と出会い、障がい者にとって、「美容」が閉ざされたところにあることを初めて知りました。ネイルサロンの多くは小規模テナントで展開され、美容業界を志すにも専門学校やサロンのバリアフリー化はすすんでいません。障がい者が「美容を楽しむ」「美容業界での就労を夢にする」上で、自分ではどうすることもできない壁がある社会に違和感を覚え、障がい者専門ネイリスト養成スクールを開校しました。
ただ目の前のできることを
ネイリスト養成スクールを始めてみて、美容を学ぶ場以上に、その先の活躍する場が閉ざされていることを痛感しました。そんな社会環境を変えていくために、2020年8月、株式会社accessibeauty(アクセシビューティー)の設立にいたりました。
当初はネイル教室が中心の事業展開でしたが、当事者のニーズと社会のバランスを考慮し、障がい者専門の芸能マネジメントやウェブマガジン運営に注力しています。最近ではバリアフリー環境や障がい者雇用に取り組む企業へのアドバイジングも始めています。
設立からもうすぐ2年ですが、事業内容は日々変化し続けています。自分のアイデアを大企業に渡せばすぐに形にはなるのかもしれませんが、当事者一人ひとりの本当の可能性に気づくことができるのは、目の前の彼女たちと正面から向き合う私たちです。同じ未来をめざす企業や団体と力を合わせながら、二人三脚で、自己実現できる環境を広げようと走り続けていきます。
障がい×美容、それから
「ここにいると障がい者であることを忘れる」、関わりの中でよく耳にする言葉です。私を含め一緒に働くスタッフは福祉の知識や経験はありません。だからこそ、障がいに配慮はしますが、彼らに遠慮は一切しません。それが心地良い関係性につながっているのではないでしょうか。福祉の知識を学ぶことも当然必要ですが、福祉に偏りすぎず、あくまで「美容」という面からアプローチをしています。
美容やファッション、エンターテイメントへの挑戦をきっかけに、障がいをコンプレックスと捉えていた子が前向きになり、人生を切り開いていく様子を目の当たりにしています。障がいの有無を問わず、バリアフリーに美容の力を感じてほしい。そんな当事者の姿を通して、障がいに対する社会のイメージが変化し、誰もが自分らしく選択のできる未来が定着してほしい。そのために、同じ思いを持った人たちと共に社会を巻き込み、自分ができることに取り組み続けたいです。
さまざまな障がいのモデルたちが社会参加を叶える
レッスン中のひとこま。オンラインも同時開催
障がい者モデルオーディションイベントでの1枚
https://accessibeauty.co.jp/