東京都大田区/平成29年3月現在
大田区は中小工場が集まる地域や住宅地があり、多様な国籍の外国人も多く住んでいます。
大田区では、イベント開催とあわせて外国人への防災訓練をするなど防災意識の啓発に努めているほか、避難所における外国人の支援対策をすすめています。
また、保育園などの区立施設に加え、社会福祉法人等が運営する高齢者施設、障害者施設を福祉避難所に指定するとともに、障害者については自立支援協議会防災部会を通じて、訓練や普及啓発をすすめています。
多様な地域性と多様な人が住む大田区
大田区は昭和22年に、当時の「大森区」と「蒲田区」が合併して両区の名称から一文字ずつとって大田区となりました。
現在の大田区の人口は約71万人で都内区市町村では3番目の多さで、面積は23区で1番広い約66平方キロメートルです。東京湾に面している大森・糀谷地域などは住宅や工場が密集する商業・工業地域で、京浜工業地帯の一翼を担っています。田園調布や雪谷などの地域は住宅地となっています。また、平成22年から国際線ターミナルが開業した羽田空港もあり、外国人観光客も含め日々多くの人の出入りがあります。
大田区は、高齢者も多く65歳以上の区民は20%を超え、75歳以上の区民も10%を超えており、高齢者単身世帯、高齢者夫婦世帯も増加しています。また、20歳未満の人口は約15%となっており、障害者も約29,000人、外国人も2万人以上住んでいます。高齢者をはじめ障害者、乳幼児のいる世帯、外国人などが要配慮者に指定されており、多くの人に支援が必要になります。
地域防災計画
平成28年度から大田区地域防災計画の見直しを行っており、平成29年度に新たな計画がとりまとまりました。計画修正の中で、平成22年から作成してきた一部の要配慮者を含む災害時要援護者名簿も、避難支援が必要な方を対象とする避難行動要援護者名簿へと見直しています。
現在は、一次避難所として区内の区立小・中学校等91箇所を指定しています。地域にある18の特別出張所が地域防災の中心となります。
外国人に対する支援
大田区には2万人以上の外国人が生活しています。平成29年2月1日現在、国別では中国人が約7,500人と一番多く、次に韓国、フィリピンと続き、ネパール人も約2,000人と多くの人が住んでいます。災害時の外国人の支援として、まずコミュニケーションが課題となると考えて、日本語・英語・中国語・韓国語の4か国語で「あなたの名前」「住所」「たべたい」「のみたい」「トイレ」「YES」「NO」など生活の基礎的な内容を記載したコミュニケーションボードとバンダナを作成して、避難所に予定している各小・中学校に配備しています。バンダナを作成した理由は顔を拭いたり、止血をしたり災害時に役に立つからです。
以前は、コミュニケーションの難しさなどから、外国人は全て要配慮者と考えていました。現在は、「外国人イコール要配慮者」という考えではなく、日ごろから外国人との情報交換・情報提供をすすめることで、避難所などの場所や役割を知ってもらうことが重要だと考えて今後の施策をすすめていくこととしています。災害が発生したら、一時避難所となる小中学校等が拠点となります。避難所のコミュニケーションのキーマンとしては、多言語に対応できる国際交流ボランティアの方に担っていただくことを想定しています。
※コミュニケーションボード
https://www.city.ota.tokyo.jp/