(社福)泉会 日の出舎
時には立ち止まり、 自分自身を振り返る時間を大切にする
掲載日:2022年11月1日
2022年10月号 福祉のおしごと通信

 

落合 アシアさん
社会福祉法人泉会 日の出舎 支援課長

 

あらまし

  • 未経験だった福祉の仕事に挑戦し、現在は支援課長を務める落合アシアさんに、仕事の魅力や日々大切にしていることをお聞きしました。

 

大変な気持ちよりも興味が大きくなっていった

私は1989年にサモアから来日しました。日本で結婚し、出産や子育てを経験してきました。子どもが小学生になると、保護者会や授業参観などで学校に行く機会が増え、日本語がきちんと理解できないと学校での子どもの様子が分からず、とても困りました。そこで、働きながら日本語を学びたいと思い、未経験で福祉業界に飛び込みました。その職場が日の出舎です。日の出舎は、生活介護事業や施設入所支援事業、短期入所支援事業などを行う障害者支援施設です。

 

最初は、非常勤職員として利用者の皆さんのサポートをしていました。先輩職員の動きを見て学んだり、相談をたくさんしたりするようにしていました。しかし、やはり言葉の壁は大きく、当初は1週間で退職しようと思っていました。しかし、現在まで辞めずに働けているのは一人の利用者の方のおかげです。

 

当時、その方とは日本語と英語を教え合う約束をしていました。辞めようと考えた時に、英語を教えてあげられないことを謝ると、「どうして? アシアさんに教えてほしいのに」と言われました。この言葉を受けて、その方の様子を気にしながら、その後も仕事を続けていくうちに、支援方法や利用者の言動、ご家族との関係など、さまざまなことに興味を持つようになりました。知りたいことがたくさん出てきて、気がついたら何か月も経っていました。

 

利用者の状況や変化、記録の仕方など、気になることは周りの職員に聞くように心がけました。分からない言葉は休憩中に教えてもらい、さらに自分の宿題として家に持ち帰って調べ、覚えた言葉をなるべく使うようにしました。

 

仕事をする上で大切だと思うこと

2015年からは常勤職員に、19年からは支援課長という立場になりました。先輩職員に支えられてここまで続けてこられました。現在の主な業務は、サービスの利用に関する手続きなどの事務作業と、職員が働きやすい環境づくりです。利用者を支援する現場の職員が足りない時にはサポートに入ることもあります。

 

私は、福祉施設の職員として仕事をする上で大切なのは、自分自身を振り返ることだと考えています。例えば、職員同士の関係性が上手くいかない時、自分の行動や考えを振り返ることができていないと、「次はこうしてみたら?」と言われても「いや、でも……」と、周りの意見を受け入れられなくなると思います。アドバイスをされたことが面白くないと感じて、感情的になってしまう人もいます。利用者支援の場面にも言えることで、利用者と接する時に余裕がなくなり、自分のアンガーマネジメントができず、関係が悪化してしまう可能性があります。

 

しかし、一度立ち止まって冷静に自分自身を振り返ることで、他の人の意見も「こういう考え方もある」と、捉えられるようになると思います。支援の場面では、目の前の利用者が興奮状態になった場合でも落ち着いて適切な対応をすることができるようになります。

 

もう一つ大切なことは、利用者の皆さんに信頼され続けることです。自分の仕事に誇りを持ち、利用者が安心して支援を受けられるように接することが福祉施設で働く職員として当たり前のことだと思っています。

 

一人の人としても成長できる仕事

日の出舎で働いてから、家族に「プラス思考に変わった」と言われたことがありました。その通りだと自分でも思っています。目の前の物事に素直に向き合えるようになり、自分の考え方が変わりました。そして周りの人に対して抱く思いも優しいものに変わったと感じています。福祉の仕事は、自分自身のことも磨ける素敵な仕事です。

 

 

取材先
名称
(社福)泉会 日の出舎
概要
(社福)泉会 日の出舎
https://www.izumikai.jp/hinode
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