東京都世田谷区/平成29年3月現在
東京都世田谷区は、東京都区部の西南端に位置し、東は目黒区・渋谷区、北は杉並区・三鷹市、西は狛江市・調布市、南は大田区とそれぞれ接し、さらに多摩川をはさんで神奈川県川崎市と向かい合っています。
面積は約58km2で、5つの地域区分(世田谷地域・北沢地域・玉川地域・砧地域・烏山地域)それぞれに総合支所を置き、27の地区にまちづくりセンターを置いています。
23区の中で最も人口と世帯数が多いことが特徴で、およそ90万人、47万世帯が暮らす、住宅の多い地域です。また、単独世帯の割合が49.8%となっており、全国の割合(32.4%)と比較しても高くなっています。
大規模災害時には、ひとり暮らしの高齢者や日中独居の要配慮者が多く、避難支援を行う人数と比較して要配慮者の数が多いこと、福祉施設・事業所の職員の多くが区外に居住していること等から人材参集が課題となっています。また、小規模な事業所や一般の建物に併設した事業所も多く、耐震性やライフラインの確保に不安があること等のリスクもあげられています。
直近で地域防災計画が改訂されたのは平成22年で、その1年後に東日本大震災が発生しました。世田谷区では、区の特徴をふまえた課題について検討を重ねるとともに、東日本大震災の経験や教訓を次の地域防災計画に活かそうと、現在、新しい計画を策定しています。
避難行動要支援者の対象見直しと安否確認体制の強化
「世田谷区避難行動要支援者避難支援プラン(以下、プラン)」は、世田谷区地域防災計画の下位計画として平成22年3月に策定されました。現在、次期地域防災計画の改訂に伴って見直しをすすめ、平成29年3月に公表予定です。
世田谷区ではこれまで、プランに基づき、①避難行動要支援者名簿の作成・配備、②町会・自治会と「避難行動要支援者支援事業」の実施、③福祉避難所の指定拡充などに取組んできました。
「避難行動要支援者支援事業」とは、災害が発生した際の初動期の安否確認や、助け合いを地域の中でより円滑に行えるようにしようとするものです。
世田谷区では、避難行動要支援者の名簿を町会・自治会に提供したり、町会・自治会と各地区担当の民生委員・児童委員が連携しながら名簿の情報を活用して、日ごろから顔合わせや状況把握を行って信頼関係をつくったり、避難訓練等に活かし、災害時には初動期の安否確認や助け合いにできる限り取組む等、地域の助け合い意識の向上をめざし、しくみづくりをすすめてきています。
参考:世田谷区「避難行動要支援者支援の取組み 地域助け合いの仕組みづくり」
避難行動要支援者支援事業の取組メニュー例
区内には197の町会・自治会(以下、町会等)があり、世田谷区は現在92の町会等と「避難行動要支援者支援協定」を締結しています。
保健福祉部計画調整課の山本和位さんは、「安否確認をするための名簿を作成するにあたって、『町会の人に障害があることを知られたくない』等の理由で本人の同意が得られないなど、名簿の作成が難しい場合もある。また、区内の町会の加入率は平均55%程度と充分でなく、安否確認を町会に頼りすぎてしまうと、町会によっては負担が大きくなってしまう」と支援が必要な人の意向を尊重しつつ、地域の協力を得て確実に支援を届ける難しさを話します。
現在は安否確認の対象をしぼっていますが、それでも対象者は8千人を超えることが予測されています。そのため、平成29年に改訂するプランでは、自助・共助による安否確認を基本としつつ、町会等と福祉事業所、あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)、社会福祉協議会と協働し、重層的に安否確認を行っていくことになっています。
そして、現在検討している新しいプランでは、対象者に「精神障害や難病の者等のうち区長が特に必要と認めた者」が加わります。しかし、難病ではあっても自立度が高い方もいることから、誰がどのように支援をするかという課題も含めて対象要件の精査をしているところです。
また、地区の安否確認体制づくりの強化として、社会福祉協議会が持っている人材バンクの活用や、各地域の情報を集約する災対地域本部(総合支所)に、避難行動要支援者の安否確認情報の集約を専門的に行う担当を新たに設置することも検討しています。
http://www.city.setagaya.lg.jp/