東京都世田谷区/平成29年3月現在
介護事業者によるサービス提供
平成22年に策定されたプランでは、避難生活における支援として避難所の環境整備を7点あげています。
この中で特徴的なものが、「避難所での介護サービスの提供」です。避難所において、迅速かつ円滑に介護サービス等を提供するため、世田谷区では世田谷区介護サービスネットワーク(介護事業者連絡会)と「災害時における被災要介護者等への援助に関する協定」を結んでいます。それにより、災害時、世田谷区介護サービスネットワークは、安否確認への協力をはじめ、避難所における訪問介護、訪問入浴介護等の訪問サービスの提供を行うことになっています。
【世田谷区介護サービスネットワーク(介護事業者連絡会)】
世田谷区内で介護サービスを提供する事業者の団体として、平成12年に発足し、平成26年度末時点で約400事業所が加盟。
世田谷区と「災害時応援協定」を締結し、災害時の安否確認や、避難所における介護サービス提供を行う。また、災害時に避難路を書き込むための災害地図と「災害時介護職員行動マニュアル」を作成し、災害に備えている。
山本さんは、「区内にはまだたくさんの介護事業所があり、介護サービスネットワークに加入していない事業所や新規の事業所にどう協力を求めていくかを検討している」と話します。
区では他にも、要配慮者を支えるため、支援活動の協力を求めるものや、物資の優先的な提供等、次のような協定を締結しています。
外国人や乳幼児・妊産婦への支援
区内には1万7千人ほどの外国人がいます。多くは中国人、次いで韓国人、アメリカ人になっています。外国人の方に必要な支援は、主に「情報を伝えること」であり、情報支援に加えて、自助・共助への呼びかけが必要です。
世田谷区では平成19年に、各避難所へ多言語シート(英語・中国語・ハングル・ポルトガル語・スペイン語)の配布をしているほか、災害時には外国人災害時情報センターから語学ボランティアを派遣してもらうしくみになっています。
また、現在、乳幼児や妊産婦への支援として区内の学校等と協定を結び、母子避難所を指定しています。しかし、医療との連携が難しく、今後は指定避難所の中に母子スペースをつくる想定で検討を行っていくつもりです。
福祉避難所への円滑な受け入れ態勢の整備
現在世田谷区が福祉避難所として指定しているのは、入所系の社会福祉施設を中心とした74か所です。
高齢者福祉施設 36か所
障害者福祉施設 35か所
特別支援学校 3か所
要配慮者の特性に配慮した支援を行うために、原則として高齢者は高齢者施設、障害者は障害者施設で受入れを行うことを想定しています。さらに、障害種別や特性、状態等に応じて福祉避難所と入所調整を行います。
福祉避難所の指定は、耐震性、資機材、建物構造、受入れスペース等を考慮したうえで、協力が得られる社会福祉施設等に依頼しています。区内の特別養護老人ホームはすべて指定を受けています。また、公募要件の中に災害時の地域への協力を含めていることから、次に多いのは特定施設になっています。
福祉避難所の利用判断は、避難所を巡回する区職員が「福祉避難所利用のための確認シート」(資料p239)を使用して、福祉避難所への移送が必要かどうかの見極めと優先度を判断した後、区が受入れ先を調整する流れになっています。
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