東京都世田谷区/平成29年3月現在
ボランティア・福祉専門職の活用
災害時には、特に福祉避難所において、介護職にかわる専門性を持った人材をはじめとする担い手不足が懸念されます。世田谷区では平成29年度から世田谷ボランティア協会と連携し、区内のボランティア人材の活用に取組む予定です。また、過去の災害事例から、全国各地から集まったボランティアを受入れ、送り出しをする場所が必要であるとわかりました。世田谷区では、社会福祉法人世田谷ボランティア協会が「せたがや災害ボランティアセンター」を平時から設置しています。災害時には世田谷ボランティア協会がセンターの運営を行い、世田谷区社会福祉協議会は、地域住民の安否確認やニーズ把握等の福祉的サポートや相談を受付け、必要な場所につなげる役割を担うことになっています。
世田谷災害ボランティアセンター
せたがや災害ボランティアセンターは、社会福祉法人世田谷ボランティア協会の中の常設組織として平成17年に設置された。
平時は、防災・災害に関する啓発活動や訓練、発災時に活動するボランティアの養成、災害に備えたネットワークづくり、専門ボランティア等の人材登録等を行う。
世田谷区内で大災害が発生した場合には、区の災対本部と連携を取り「せたがや災害ボランティア本部」を立ち上げる。さらに、区内5か所の大学内にボランティアのマッチングセンターを開設し、ボランティアの受入れ、登録、コーディネート等ボランティア活動が円滑に行われるよう支援を行う。
日頃からつながり・考え・備える
(1)大学生と町会の交流から
世田谷区では、区内に大学が多いことを活かしたいと考えています。すでに複数の大学と避難所としての場所の提供について協力関係をつくっていますが、地域の人材をより有効に活用するため、今後区内の大学に通う大学生に、ボランティアとして活躍してもらいたいと考えています。
具体的には、区内5地域それぞれにボランティアマッチングセンターを開設し、全国からのボランティアの受入れ場所として機能させ、そこで活躍する人材として大学生を中心に全国から駆けつけてくるボランティアと避難所や被災者の困り事をマッチングさせるボランティアコーディネーターの養成を計画しています。
また、日ごろから地域の大学に通う大学生と町会等が交流を行っている地域もあります。区内のある大学の体育会系の部活に所属している学生と地元町会でお祭りなどの地域行事を一緒に盛り上げ、災害時にも一緒に活動することを想定していたり、高校生が町会活動に参加しているところもあります。
このように区内では、日ごろから学生と地域住民が積極的につながり、いざという時にも助け合える関係づくりがすすんでいます。
(2)小地域ごとの活動から
玉川総合支所では、玉川エリア自立支援協議会とともに障害者の災害対策を検討しています。NPO法人が中心となり、国立リハビリテーションセンターの資料を使い、チェックシートにシールを貼りながら災害時に必要な物品を確認するなど、当事者の方と一緒に災害に備えるための取組みを行っています。
また、精神障害を持つ子の親の会でも、障害のある方と支援者の発災時の行動を検討するワークショップを定期的に開催するなど、小地域・各団体の活動にも広がりが見られています。
(3)区役所や施設も地域に出ていく
危機管理室災害対策課の前島正輝さんは、「区民や当事者の方の草の根の活動が何より大切だと考えている。区では地域の防災意識の向上のため、依頼があった地域や団体の活動に出向いて講演を行ったり、啓発物の作成をすすめている」と話します。
また、地域包括支援センター単位で勉強会を行う取組みに、区の担当課の職員が参加して話をすることもあるといいます。
さらに、高齢者福祉施設等も町会の防災訓練に地域の一員として参加し、施設側から積極的に地域と関わるきっかけをつくっています。
左から
危機管理室災害対策課 災害対策担当係長 前島正輝さん
高齢福祉部高齢福祉課 管理係長 大野和啓さん
保健福祉部計画調整課 計画担当係長 山本和位さん
障害福祉担当部障害者地域生活課 障害者地域生活担当係長 林隆則さん
「災害時における被災要介護者等への援助に関する協定」(PDF)
世田谷区 二次避難所利用のための確認シート(世田谷区『二次避難所(高齢者施設)開設・運営手順(標準版)資料編(平成28年度)より」(PDF)
「二次避難所(福祉避難所)対策の全体的な流れ」(世田谷区『二次避難所(高齢者施設)開設・運営手順(標準版)』(平成28年度)より)」 (1)(PDF)
http://www.city.setagaya.lg.jp/