玉川学園地区社会福祉協議会「玉ちゃん図書室」チーフ 森崎知子さん(左)
玉川学園地区社会福祉協議会副会長 舩生みどりさん(右)
あらまし
- 2019年、玉川学園地区社会福祉協議会(以下、地区社協)は、地域の課題やニーズを知るため住民に「わが街・くらしのアンケート」を実施しました。「駅の南側に遊び場がない」「近隣との関係が希薄」という意見を受け、親子の居場所づくりや子育て支援、一人暮らしの高齢者など、さまざまな世代の方が交流できる居場所づくりが検討されました。同時に「家庭の本をリユースさせたい」という声も住民からあがり、地区社協の交流室に「玉ちゃん図書室」(以下、図書室)を開室することが決定されました。
たくさんの人に自由な形で本を読んでもらいたい
21年8月、図書室のプレオープンには子ども連れや高齢者など、、3日間で70人が訪れました。その後、図書の貸出しや返却方法などの検討を重ね、同年10月に正式にオープンしました。図書室の本のほとんどは地域住民から寄贈されたもので、現在は約4000冊にもなります。
地区社協副会長の舩生(ふにう)みどりさんは「たくさんの方に自由な形で本を読んでもらいたいので、貸出時の記名は求めず、返却期限も決めていない。1か月くらいで返してもらえればいい。図書室には、児童書や実用書、小説、写真集にシリーズ本などさまざまな本が並んでいる。おばあちゃんの家に来たみたいにゆっくりしてほしい」と語ります。
開室と同時に「きんじょの本棚(※)」に登録し、ほとんどの本が対象となっています。
また、地域の小学校からの「学級文庫の本が足りていない」との発信を受けて、1学期ごとに100冊の本の貸出しも始めました。
紙芝居の様子
「知ってもらう」ことから地域のつながりが始まる
地区社協の図書室チーフの森崎知子さんは「新しい事業を始めたことを知ってもらうため、開室当初は近所へのポスティングや小学校にチラシを配るなど、宣伝活動に力を入れた」と振り返ります。
コロナ禍での開室ゆえの苦労もありました。新型コロナ拡大時に1か月間の休室や、それ以外の期間は滞在時間の制限や名前・連絡先の記入、検温など感染対策を徹底しました。
感染状況が落ち着いてきた今秋はコミュニティセンターで取組みの発表や地域の祭りに出店し、図書室を知ってもらう活動に力を入れました。紙芝居や「来てよかった」という感想や「お楽しみデーでカードづくりをやってください」等リクエストもあります。
「イベントを行う際は『しおりをつくります』といった事前告知や開催後の写真掲載などを随時発信することで実際に来室してもらえるよう工夫している」と森崎さんは言います。
「お楽しみデー」でのポップアートカードづくり
多世代の交流ができる居場所づくりをめざす
「小さいお子さんからお年寄りまでみんなの居場所となり、多世代が交流できるような企画を考えていきたい。本はいろいろな情報が盛り込まれているので、子どもたちにはもっと本に親しみ、本からたくさんのことを学んでほしい」と舩生さんは語ります。
現在、20人のスタッフが紙芝居、折り紙、工作、PC作業など、それぞれ得意分野を活かして活動しています。スタッフにとっても、地域参加への意識が芽生えるといいます。
「スタッフが常駐する図書室なので、気軽に来てもらい、本の良さを知るきっかけになってほしい。地域活動をしたいと思ってもできないことが多い中、図書室がスタッフにとっても居場所となる」と、森崎さんは語ります。
「地域での活動は、その人自身が楽しんでやることが大事だと思う。『~のせいで大変』と思うのでなく、『~のおかげで楽しかった』と発想の転換をし、楽しい気持ちでもっと色々なことに挑戦してほしい」と、舩生さんは思いを語ります。
今後も交流の場や子育て支援、高齢者の居場所としての「図書室」起点に、つながりができる地域をめざしています。
本を選ぶ子どもたち
大人の読書時間
◆玉ちゃん図書室◆
町田市玉川学園7-7-21
運営団体:玉川学園地区社会福祉協議会
開室日:毎週水曜日・土曜日 午前10時~午後4時
「お楽しみデー」毎月第3土曜日 午前10時30分~午前11時30分
※2023年3月まで、現在の場所で開室。4月以降は未定。
(※)町田市を中心に全国に広がる、どこの加盟店で借りても返しても良いブックシェア
https://mtg-syakyou.blogspot.com/