社会福祉法人白十字会特別養護老人ホーム 白十字ホーム ホーム長 西岡 修さん
福祉施設は常に地域に向かって開かれた存在であることを忘れない
掲載日:2023年1月18日
2023年1月号 福祉職が語る

社会福祉法人白十字会

特別養護老人ホーム 白十字ホーム ホーム長 西岡 修さん

 

特別養護老人ホームの生活指導員としてスタート

大学では福祉を専攻していました。卒業間近になっても、就職先を決めかねていました。そんな様子を見ていたゼミの担当教授である重田信一先生が「特別養護老人ホームの生活指導員が急に退職して困っているらしい。代わりを探しているから一度話を聞きに行ってみなさい」と強く勧めてくれました。そこが、今、私の所属している白十字ホームです。

 

研究会や委員会での学びを利用者支援に活かす

生活指導員としての一年目、現場ではまだ分からないことがたくさんありました。それでもすぐに、高齢者福祉に関する外部の研究会や委員会に出席することになりました。そこではさまざまな職種の方たちの経験や考え方に触れることができました。同席している大学の先生たちも現場職員と同じ目線で共に学び議論する、そんな場にいられたことは、今振り返ってみると、多くの出会いと学びをもらった時期だと思います。

 

私は、集められた事例を読み込んで資料化することを任され、時には、自分で事例を発表して、出席している先輩指導員や関係者の方たちと意見交換をすることもありました。

 

多くの学びがある一方で、経験や見識に大きな差がある自分にとって、研究会のような場はとても重い時間に感じていました。この業界で働き続けるのは難しいかもしれないなあ、と思いました。それでも「恩師の紹介で就職したのだからとりあえず3年間は頑張る」と心に決めてから少し楽になりました。

 

その後、今日までもう40年以上働き続けています。重たいと感じていた学びの時間が、利用者支援に活かされていくことを徐々に実感できるようになったからだと思います。

 

東京都社会福祉協議会との関わり

生活指導員として経験を積んでいく中で、東社協との関わりも多くなっていきました。

 

特に、1978年に設置された「社会福祉施設の社会化促進委員会」と、1981年から「青年ボランティア活動推進事業」に関われたことが、印象に残っています。

 

社会化促進委員会では、福祉施設は地域の中で福祉のまちづくりの拠点となり、その専門的機能を地域に提供すること、ボランティアの受入れと福祉教育の場であること等、地域の中での役割や機能について、実践事例をふまえた協議がなされました。私も委員の一人として参加しました。検討内容は報告書としてまとめ、東京における福祉施設の社会化推進の原動力になりました。

 

「青年ボランティア活動推進委員会」では、青年たちを対象に、ボランティア活動を通して地域社会への関心と社会参加の意欲を高めるための研修や事業構築を検討しました。白十字ホームは、当時、ボランティアコーディネーターを配置して、ボランティアの受入れや活動調整を行っていたので、自分の施設の事例を背負って委員会に出ていました。この委員会は、私と同世代の若手の委員が多く、教育や環境・国際協力など多様な領域で活躍している方たちとの議論は、刺激的で視野を広げる得がたい機会だったと思っています。

 

この2つの事業からは「福祉施設は常に地域に向かって開かれていなくてはならない」ことを学ばせてもらいました。

 

若手職員の皆さんへ

福祉職場で働く若い職員の方たちにも、機会があれば職場の外に出て、同じ仕事をする仲間や他分野の方たちと情報交換や交流をしてもらいたいと思っています。他の施設のやり方や他分野の考え方を知ることはとても重要です。それがその後の自分の仕事に活かされ、自身の成長につながると実感しているからです。

 

コロナ禍では、感染リスクを考慮してリモート会議が増えました。リモート会議は有効な手段ですが、私は、同じ空間の対面で議論していく場でこそ、メンバー同士のネットワークや人間関係が構築されると思っています。今後は、リモート会議を活用しつつも、集合型・対面型で交流する場が戻ることを願ってやみません。

取材先
名称
社会福祉法人白十字会特別養護老人ホーム 白十字ホーム ホーム長 西岡 修さん
概要
社会福祉法人白十字会特別養護老人ホーム白十字ホーム
http://www.hakujuji-home.jp/
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