あらまし
- 私たち東社協では現在、「伝える→伝わり合う広報プロジェクト」として東社協の広報をより良くするための検討を行っています。
- (詳しくは、「#1伝える→伝わり合う広報プロジェクト始動のはなし」をご覧ください!)
- 広報の知識ゼロの担当者が、七転び八起きしながら気づいたこと、学んだこと、失敗談を共有し、社協で広報を担当する方、施設・事業所で広報を担当する方、同じような境遇にいる方とつながるきっかけになればと思い、投稿しています。
- #1「伝える→伝わり合う広報プロジェクト」始動のはなし
- #2 たったひとりのために広報する!?
明けましておめでとうございます。「伝える→伝わり合う広報プロジェクト」の担当者イシイです。
これもやりたい、あれもやらなきゃと過ごす内にあっという間に年明けを迎えてしまいました。この連載も、忙しさにかまけているうちに、前回の投稿からあっという間に1か月半以上が経ってしまいました。
#2の通り、広報とはラブレターであり、たった一人の人に「どうか読んでください」と差し出すからこそ心を動かせるものとなるということを学び、思わず「なるほど!」と膝を打った広報初心者のイシイをはじめとするプロジェクトメンバー。広報プランナーの吉田知津子さんは、さらに、「伝わる広報」を創るために必要な「道具」を教えてくれました。
5+1つのDon!を考える
それが、5+1つのDon!
5+1つのDon!とはなんでしょう?
広告を創るときには
1Don!「どんな人から」(トーン&マナー)
2Don!「どんな人へ」(ターゲット)
3Don!「どんな点を」(訴求ポイント)
4Don!「どんな時に」
5Don!「どんな手段で」
から考えるそうです。そこに、「共に創っていく」という視点を加え、
6Don!「どんな人と」
を加えた考え方が、5+1つのDon!です。
「これを伝える私はどんな人か、何を考えている人か」ということをはじめ、「受け取る人はどんな状況の人だろう」、「何に目を止めるだろう」、「その人の周りにはどんな空気が流れていて、どんな空気を感じてほしいか」、「みんなで見てもらいたいから紙媒体がいいかな」……などいろいろな視点で「伝える」ことについて考えることで、その広報に一本の軸を通すことができます。
これまでの私の広報は「これを関係ある皆さんに伝えなければ」という一番外枠の部分だけで何となく創り始めていました。そして、前年に倣う形で決めていき、少し違いを持たせるためにちょっとデザインを変えてみる。すると、「悪くない(クレームは来ない、見栄えもそこそこ良い)」ものができあがります。無難だけど、心は動かない。改めて、自分の広報への姿勢を振り返る機会になりました。
「どんな点を」ひとつとっても、何を一番伝えたいか、見た人が最初に気持ちが動く瞬間は何だろう、と考えながら、相手に歩み寄っていくことが広報というラブレターを創る肝になるのかな、とおぼろげながら理解しました。
吉田さんによると「相手が何を考えているか、どんどん歩み寄っていく。そうすると自分の考えは必要なくなってくる。広報はいかに自分の固定観念を外していくかが大切」とのこと。徹底して相手の視点に立つことが、伝わる広報には不可欠ということでした。
「根っこから考える」って難しい
こうして、「5+1つのDon!」を教えてもらい、「とても勉強になったぞ」とうなずきながらその日のプロジェクトを終えて数日後。吉田さんとの打ち合わせで、私は少し緊張しながら、Zoomに映る吉田さんに次回の案を伝えます。
「『たったひとりの人に向けて』という言葉が印象に残っているプロジェクトメンバーが多かったので『たったひとりの人に向けて広報をする練習』『東社協の根っこを理解するための体験』をしていくのが良いと思うんです。東社協として発行している『広報誌』を題材にしてはどうかと思ってます!」
勢いよく話す私に、吉田さんは「『花』や『実』の部分から考えちゃったね……。5+1つのDon!から考えた?」と穏やかに一言。意味が飲み込めないまま、「どうやら根っこを考えられていなかった? でもこれ以上どうやって考えていこう……たしかに5+1つのDon!は考えていないけれど」と思っていると、「プロジェクトメンバーへのアンケートの中でも着地点を求めているのを感じるけれど、それは怖さの表れだと思う」と吉田さん。初めてもらう指摘に、私の頭はますますハテナでいっぱいに。着地点を決めることに何も疑問を感じていなかった私は、その後の案をどんな改善につなげたら良いか、まったく思いつかなかったのです。
吉田さん「このプロジェクトの目的ってなんだっけ?」
イシイ「前例踏襲ではない、伝わる広報そして双方向の伝わり合う広報ができるようになること」
イシイ「『何かしたい』と思った社協や団体が、東社協に連絡してみようと思えるような空気感を東社協の広報を通じて発信したい」
吉田さん「このプロジェクトを通じて東社協に新しい風が吹くといいよね」
吉田さん「企画を立てている私たちはどんな風が吹いた時に心地よい? 私たちはどんな人?」
吉田さん「怖さじゃなくて、心地よさがあると『何かやってみようかな』とクリエイティブな気持ちになるんじゃないかな」
吉田さん「どんな人に伝える?」
イシイ「何か新しいことをやろうとして『面白いかも』と思えるといいけど『そうはいってもね…』という気持ちもわかる」
イシイ「面白いかもと思っている若い世代の職員が動いたら、『そうはいってもね…』と思っている職員も少しずつ心を開いてくれるかも」
…と、5+1つのDon!を軸に「あーだね、こーだね」と話し、「こうしないといけない」と思いがちで怖さを感じている私たちには「伝えるっておもしろい」「伝わるとうれしい」と思うことがまず必要ではないか、ということになりました。
吉田さんが言っていた「『花』や『実』の部分から考えちゃったね……。」は企画から考え始めるのではなく、イシイは何を伝えたいのか?、伝える相手はどんな人なのか?、「一番最初に心が動く」訴求ポイントは何を設定したら良いか?、から考えることだったのです。「たったひとりのためにつくる」「そのための5+1つのDon!」と分かっていたはずなのに出来なかったということにうなだれながら、「根っこ」から考えることが「伝わる」の第一歩なのだと、もう一度心に刻みました。
「この話はどこにつながっていくんだろう…」と不思議に思うことがありながらも、「こういう案もあるんじゃない?」と意見を出し合い、最後には次回のことが決まっている––。
いつも最短ルートで調整して結論を出そうと思っていた私にとっては、とても新鮮な打ち合わせでした。
そして、根っこから考えるという感覚、「5+1つのDon!は、ただ一問一答のように考えていくのではない」ということを収穫した打ち合わせでした。
「人は一回じゃ変われないよ。だからこそ『ちょっとずつ』を続けていくことが大切」という吉田さんの言葉を忘れないように、へこたれずに少しずつでもすすんでいこうと決意しました。
次回は、「すべてが広報」についてお伝えします。
ご意見、ご感想お待ちしております。
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