Ⅰ 墨田区社協のこれまでの取組み
(1)小地域福祉活動と地域福祉プラットフォームのはじまり
墨田区は向こう三軒両隣のつながりが強い、下町風情の残っている地域です。墨田区社協では、平成12年度から町会・自治会区域(現在171区域)を範囲とした地縁組織による住民同士の支え合い、助け合い活動である「小地域福祉活動」を進めてきました。これは、高齢者や子どものいる世帯への声かけや見守りを中心とした活動です。現在では33地域で活動が行われています。また、住民同士の身近なつながりづくり・交流の場づくりとしてのふれあいサロンも現在12カ所で行われています。
一方、地域から孤立している方や町会未加入者の存在、複合的な課題を抱えている世帯の支援等への対応の必要性から、地縁を基盤としない、住民と福祉関係者が協力して進める福祉相談と交流の拠点をつくろうと、平成28年度から社協のCSWが常駐する「地域福祉プラットフォーム」の設置を進めてきました。
この、社協が独自で進めてきた「地域福祉プラットフォーム」は、令和3年度には墨田区が進める包括的支援体制整備事業の移行準備事業として位置づけられ、区からの委託事業となり、設置数も2か所から3カ所に増やしました。令和4年度から区の「重層的支援体制整備事業」の本格実施に伴い、4事業(①「包括的相談支援事業」②「参加支援事業」③「地域づくり事業」④「アウトリーチ等を通じた継続的支援事業」)を展開する地域拠点として、4事業を一体的に進めることでCSWが地域課題を抽出し、多機関と連携し地域福祉を推進していきます。
相談と交流の場、世代・属性を問わず誰でも自由に出入りでき、気軽に話ができる世代間交流の地域の居場所であり、地域の困りごと、自身や家族のことなど様々な困りごとの相談ができる場となっています。
(2)地域福祉プラットフォームでの取組み
地域福祉プラットフォームの各拠点は、地域団体が管理している建物や、区の地域プラザ、地域包括支援センター等を利用して、週2日、午前11時から午後4時までオープンしています。
多くの方に利用していただくため、HP、区報、社協だよりへの掲載、チラシの配布に加え、どなたでも参加していただけるようなイベントや講座の実施、民生委員・児童委員への協力依頼などにより、地域住民への周知を図っています。このような取組みにより、徐々に地域住民に認識され、利用者も増加傾向にあります。
イベント開催時は多くの方が集まることもありますが、通常は予約制ではないため、一日を通して10名ほどの利用となっており、「ゆったりと遊べるのがいい」と公共交通機関を使用してわざわざ訪れる子育て世帯もいます。
また、CSWが、利用者の何気ない会話の中から、地域あるいは個人・世帯の潜在的な困りごと・課題をキャッチし、課題解決に向けて一緒に考え、支援機関につなぐケースや、地域活動者、民生委員・児童委員から日々の見守りの中から把握した課題が寄せられるケースなど、情報をくみ上げる機能も有しています。
(3)地域福祉プラットフォームにおける社協の体制および個別相談の増加
墨田区社協には地域福祉プラットフォーム事業、生活支援コーディネーター、小地域福祉活動等を担当するCSWが8名おり、エリア担当制を設けず、各職員が情報を共有しあって活動しています。令和4年からは民生委員・児童委員の地区(7地区)ごとに8名のCSWの中で、主に情報を集める職員の役割を分担し、地域資源の把握等を行っています。
CSWへの相談件数は、拠点を増やしていることもあって年々増加しており、平成28年度年間約200件だったものが令和3年度には1,200件ほどに急増しています(社協自主事業「福祉なんでも相談」における電話相談等も含む)。
現在の拠点は3カ所ですが、将来は住民が歩いて行ける身近な場所に地域福祉プラットフォームが存在するという構想が描かれています。
https://www.sumida-shakyo.or.jp/