Ⅱ 重層的支援体制整備事業の実施状況
(1)重層的支援体制整備事業実施にあたっての準備
墨田区社協は、重層的支援体制整備事業の中の「包括的相談支援事業」「参加支援事業」「アウトリーチ等を通じた継続的支援事業」「地域づくりに向けた支援事業」を受託しています。
もともと墨田区社協は、地域支援を主軸とした小地域福祉活動等、住民との協働を活かした地域での体制構築を進めてきており、その地域の体制を活かした上で個別の問題へも対応できるように進めてきました。
重層事業を受託することにより、地域福祉プラットフォームの相談や交流機能の充実とともに、ひきこもり・不登校等を含む複合的課題に対する積極的アウトリーチ、関係性構築、継続的伴走支援における個別ケースへの対応強化、解決に向けた支援や多機関協働につなぐという役割が新たに求められるようになりました。
令和2年8月に区の所管課(社協/地域福祉プラットフォーム所管)である厚生課から、令和3年4月から重層的支援体制整備事業への移行準備事業が始まることに伴い、地域福祉プラットフォームを墨田区が進める包括的支援体制整備事業の地域の拠点としたいという話がありました。そこから、行政と社協による継続的な話し合いを続けてきました。同年10月からは、多機関協働事業の所管である、生活福祉課*も加わり検討を重ね、3年4月から移行準備が実施されました。
移行準備がはじまった当初は、試行的に個人情報を伏せた「準支援会議」が開かれました。その後、個人情報の取り扱いが整理され、個人情報を開示し、定例で毎月1回「支援会議」が開催されるようになりました。
*令和4年4月からは、区の組織改正により、多機関協働事業の所管であった生活福祉課生活支援・相談支援担当が厚生課に組み込まれ、同一課による一体的な事業運営が可能となりました。
(2)墨田区の重層的支援体制整備事業
墨田区の重層的支援体制整備事業の各事業は以下のとおり実施されます(「墨田区重層的支援体制整備事業実施計画」より抜粋。
事業を行う体制 | 運営形態 | |
包括的相談支援事業 | 相談窓口の設置形態としては、既存の相談窓口を活用します。受け止めた相談のうち、相談者が複雑化・複合化した課題を抱えているため、課題の全体像を俯瞰したうえで、相談支援機関の連携や役割を整理する必要のある事例については、関係する相談支援機関が集まって検討を行う支援会議や多機関協働事業につなぎ、相談支援ネットワークを活用した支援を行います。 | 委託(社協等) |
参加支援事業 | 相談者本人やその世帯の支援ニーズを踏まえ、社会資源とのマッチングと社会参加に向けた支援のためのメニューづくりを行う事業です。個々の状況に合わせて地域への働きかけを行い、支援メニューを増やしていくとともに、本人に対する定着支援と受け入れ先への支援も行います。「地域福祉プラットフォーム」を拠点として配置するCSWをはじめ関係機関が他の機関と連携して支援をしていきます。 | 委託(社協等) |
地域づくりに向けた 支援事業 |
地域における多様な主体による取り組みのコーディネート等を行います。 地域の社会資源を幅広くアセスメントした上で、世代や属性を超えて住民同士が交流できる多様な場や居場所の整備、地域の多様な主体が出会い、つながりの中から更なる展開を生む機会となる地域福祉プラットフォームをはじめとするプラットフォーム機能の形成を促す働きかけなどを行っていきます。 |
委託(社協等) |
アウトリーチ等を通 じた継続的支援事業 |
複雑化・複合化した課題を抱えている方の自宅を訪問し面接を行うなど、適切な支援を届ける事業です。本人と直接かつ継続的に関わるための信頼関係の構築やつながりづくりに力点を置いた支援をしていきます。「地域福祉プラットフォーム」を拠点として配置する CSW をはじめ関係機関が他の機関と連携して支援をしていきます。他の団体や手法についても検討をしていきます。 | 委託(社協等) |
多機関協働事業 | 支援会議からつながった複雑化・複合化した相談に対し、各相談支援機関の役割分担や支援の方向性を整理します。そして法で定めるよう規定されている支援プランの作成を行い、重層的支援会議に諮ります。決定された支援プランに基づき、支援の実施・進捗管理等を行います。 | 直営(社協参画) |
行政との検討を踏まえ、重層事業での社協の役割として想定したポイントは下記のとおりです。
包括的相談支援事業:地域福祉プラットフォームの整備・運営/世代属性を問わない相談支援機能/それらを通じた、地域住民からの相談や何気ない会話からの地域での埋もれた課題の掘り起こし 等 参加支援事業:社会とのつながりを作るための参加支援/対象者ニーズに合わせたマッチング等 地域づくりに向けた支援事業:地域の社会資源に関する情報収集・開拓/これまでの小地域福祉活動支援等を軸とした新たな住民主体の居場所づくり 等 アウトリーチ等を通じた継続的支援事業:キャッチした課題や相談内容に対する昼夜時間を問わない積極的アウトリーチ 等 多機関協働事業:日々の業務で把握した複合的課題や支援ニーズの、支援会議や多機関協働事業へのつなぎ/多機関協働事業での会議参加/ 会議で出されたケースに対しての知見や意見提供/本人同意を経て、重層的支援会議にかけられた際のプラン作成 等 |
以下、社協からの視点も踏まえながら、実務として社協が行っていること社協が抱える現状の課題
と方向性をみていきます。
https://www.sumida-shakyo.or.jp/