NPO法人 わかくさ福祉会 障害者就労・生活支援センターTALANT( タラント)
企業で培った感覚も忘れずに、 利用者の「働く」をサポートする
掲載日:2023年2月14日
2023年2月号 福祉のおしごと通信

 

NPO法人 わかくさ福祉会 障害者就労支援・生活支援センター

TALANT(タラント) 就労支援担当者

深川 薫さん

あらまし

  • 一般企業を経て、現在は障害がある方の就業のサポートを担当する深川薫さんに、
    福祉の業界に入って気づいたことや意識していることを伺いました。

 

福祉の仕事に就いたきっかけ

現在、タラントで働いて5年目になります。タラントでは、主に精神障害や知的障害がある方への就業支援として、実習の斡旋や就職前、就職後のサポートを企業と利用者の間に立って行っています。

 

タラントに就職する前は、紙の卸売りをする会社で営業や財務などの部署で働いていて、福祉との関わりはほとんどありませんでした。新卒から15年勤めた会社を退職した後は、アメリカで造園業を営む父の友人のもとで数か月働きました。数着の服しか持っていなかった私に、袋いっぱいの古着を譲ってくれたり、仕事終わりに一緒にお酒を飲んだり、同僚だったメキシコ人たちには、自然と手を貸す姿勢や、人種や境遇を越えて人を受け入れる姿勢を教わりました。彼らと汗水流して働く中で、これまで見失っていた「働く」という感覚を取り戻すこともでき、私の働く原動力となっている経験です。

 

日本に戻ってきて求人サイトで偶然今の法人を見つけました。人のこれまでの人生を聞くことが好きで、仲間内で半生を聞き合う会を開いていた私に合っていると思い、興味を持ったのが今に至るきっかけです。

 

利用者が努力できる環境をコーディネートする

福祉の業界に入り、知識面や、職場での服装、仕事のすすめ方など、業界ならではの文化に驚いたり苦労したりしたことも少なくありません。5年目になり、だいぶ馴染んだ実感はありますが、今でも気を付けているのは「待つこと」です。連絡には早めに返事をするようにどうしても急かしてしまうことがあります。それが理由で利用者から担当を変えてほしいと言われたこともありました。これまでの経験で当たり前と思っていましたが、今は利用者のペースに合わせることも意識したやりとりを心掛けています。

 

また、就職が上手くいくと「深川さんのおかげです」という言葉をもらうことがあります。ただ、私ができるのは利用者とその方が努力できる環境を結び付けることで、本人の努力があってこそのことだと思っています。

 

だからこそ、仕事が上手くいっている方にも声掛けと困っていることがあれば早めにサポートしたいと考えています。その思いの一方、実際には、上手くいっていない方への支援に手一杯になり、順調に頑張っている方へのサポートまで思うようにできていないのが、今感じているジレンマです。

 

支援する側、支援される側と固定して捉えないことを大切に

福祉の仕事をして感じるのは、障害者と健常者という境目は思っていたよりも曖昧ということです。私にも特性がありますし、ある日事故に巻き込まれて障害が残ることもあるかもしれません。なので、あまり自分を「支援する側」、利用者を「支援される側」と固定して捉えないようにしています。しくみとしても、利用者が時には支える側になることがあっても良いと思います。支援する側も、支援しているという感覚が強くなるほど、つい相手を自分の良いと思うレールに乗せたくなってしまいます。もどかしくても「その人の人生」と思って、あくまでその方が努力できる環境をコーディネートすることを意識しています。

 

働きやすい職場もめざして

最近、前職の関係者に会った時、「充実した顔をしている」と言われ、自分では意識していなかったものの楽しんでいるのだなと感じました。利用者や企業の担当者、作業所の担当者などさまざまな立場の人とやりとりをすることも人と話すことが好きな自分の性格に合っているのだと思っています。

 

とはいえ、やりがいだけで続けられる仕事ではないと思っているので、新任職員や若手職員がバーンアウトせずに定着できる職場の環境も考えていきたいです。

取材先
名称
NPO法人 わかくさ福祉会 障害者就労・生活支援センターTALANT( タラント)
概要
NPO法人 わかくさ福祉会 障害者就労・生活支援センターTALANT( タラント)
https://wakakusaf.or.jp/business/talant/
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