東京都地域公益活動推進協議会
都内法人の区市町村ネットワークによる地域における公益的な取組みの「いま」
掲載日:2023年5月12日
2023年5月号 連載

東京都地域公益活動推進協議会 マスコットキャラクター「つつまる」

あらまし

  • 都内の各社会福祉法人では、その使命に基づき、それぞれの地域課題の解決に向けた取組みをすすめています。とりわけ区市町村単位のネットワークにおいては、コロナ禍も含む地域の複雑多様化した課題と向き合い、1事業所では難しくても、事業所・法人同士がつながるからこそできる、さまざまな活動を区域内で展開しています。今号では、区市町村ネットワークの「いま」をお届けします。

 

 

◆東京における取組みの状況

東京都地域公益活動推進協議会(以下、推進協)では、22年度より東社協に入会するすべての社会福祉法人を会員とする「全加入組織(※)」となりました。オール東京で取組みを推進することにより、地域共生社会づくりの一翼を担っています。

 

(※)一部例外あり

 

東京での「地域における公益的な取組み(以下、地域公益活動)」は、①各法人②区市町村単位のネットワーク③東京都域の3層からなります。とりわけ、社協が事務局機能を担う「複数法人の連携による区市町村ネットワークでの取組み」については、近年増えているひきこもりやヤングケアラーといった制度の狭間の問題や8050問題・ごみ屋敷等の複合的な課題、あるいはコロナ禍で顕在化した外国人やひとり親家庭、学生等の新たな地域課題への対応という視点からも、取組みの広がりや深化が期待されています。コロナ禍で実施された社協の生活福祉資金特例貸付から見えてきた地域の実情が、区市町村ネットワークで共有され新たな取組みの検討や実施につながったケースもあります(例、フードパントリー等)。

 

現在、都内では島しょ部を除いた53区市町村のうち、45地域でネットワーク組織が立ち上がっており具体的な取組みが行われています。

 

◆地域公益活動責務化の経緯と社会福祉法人の使命

戦後、社会福祉法人制度が誕生して以来、社会福祉法人の事業は行政からの「措置委託」を基本に行われてきました。平成になり、利用者本位での福祉サービスの「契約」という視点が入り、高齢や障害、保育分野では「措置」から「契約」へと流れが大きく変わりました。そして、多様な福祉サービスの安定的な提供という視点から、実施主体として民間企業やNPO法人等にも門戸が開かれてきました。また、税制優遇に守られた高い利益剰余金(いわゆる内部留保)や、他の経営主体との財政上の公平性(=イコールフッティング論)など、社会福祉法人をとりまく社会的な議論も湧き起こりました。そのような流れを経て、16年に社会福祉法の一部が改正され、地域公益活動が責務化されました。社会福祉法人として、複雑多様化した地域課題にもしっかりと向き合い、取組みをすすめることにより、社会福祉法人としての役割や存在意義を広く社会に示していくことが求められるようになりました。その流れを受けて、東社協としても推進協を16年9月に立ち上げ、オール東京での取組みを今日まで継続して推進してきています。

 

また、社会福祉法人は、社会福祉法で謳われている「地域共生社会の実現」においても、多様な団体や地域住民との協力・連携をもとに、地域生活課題の把握や解決を図り、地域福祉を推進していくことが求められています。このように、社会福祉法人は、その使命感に基づいて、自身の存在を広く示していくためにも、地域において積極的に課題解決等への取組みを行っていく必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆オール東京におけるネットワークとしての取組み

ここでは区市町村域で社会福祉法人同士が連携しながらネットワークとしての取組みをすすめていく意義を考えていきます。

 

推進協としては、法人や事業所同士がつながることで「地域がより見えるようになり」「1事業所ではできないこともできるようになり」「それぞれが持ち合わせている強みを発揮できる」と考えています。そして、複雑多様化した地域生活課題に、社会福祉法人が連携して取り組んでいる姿を東京の至るところで目にすることができるその状況こそが、社会福祉法人の存在意義をインパクトを持って広く伝えることのできる重要な要素の一つであるととらえています。

 

また、地域公益活動を推進することは、さまざまなプラスの副産物を生み出すことにもつながり得ると考えています。福祉人材の確保・育成・定着については、多くの社会福祉法人が抱えている喫緊の課題ですが、地域公益活動に積極的に取り組んでいる法人・事業所の方がそうでない事業所よりも学生の就職率が高いという分析結果も出始めています。複数法人が連携・協働し地域公益活動を推進することによって、社会福祉法人の見える化がすすみ、魅力ある職場(やりがいや地域公益活動を行えるようなしくみや環境整備)の進展、さらなる地域課題への対応力の高まり、安定的・継続的な活動の展開、活動のさらなる広がり、連携・協働のさらなる強化……といったプラスの循環へつながることも期待されます。

 

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今号では、現在の東京都内における地域公益活動の取組みの概況や、地域公益活動が法的にも責務化された流れ、区市町村域のネットワークでの取組みの意義等についてお伝えしてきました。

 

次号からは、区市町村ネットワークでの具体的な取組みを掲載します。「生活相談」「食支援」「就労支援」「災害への取組み」など、地域の実情に応じた多様な取組みが各地域で行われています。ネットワーク活動の意義や大切にしている視点、取組み推進のヒントや課題と感じていることなど、実際に関わっている方の生の声も含め、ネットワークの取組みの「いま」を届けていきます。

取材先
名称
東京都地域公益活動推進協議会
概要
東京都地域公益活動推進協議会
https://www.tcsw.tvac.or.jp/koueki/index.html
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