まほうのほうき
子どもも大人も集い、みんなで暮らしやすい優しい地域をめざす~まほうのほうき(八王子市)
掲載日:2023年5月17日
2023年5月号 み~つけた

「まほうのほうき」は、子育てがしやすく、暮らして楽しい賑わいのある地域を実現することを目的に、2022年1月に設立された任意団体です。活動拠点の「Yottette(よってって)」は22年4月にオープンしました。ここは、八王子市子安町にある空き家を一部改築した場所で、玄関をくぐるとすぐに駄菓子屋をイメージしたスペースが広がり、その奥に四畳半二間の和室があります。そこを子どもたちの居場所として、定期的に英会話教室を開催するなど、さまざまな使い方をしています。

Yottetteの外観

 

団体名である「まほうのほうき」には、何か困ったことが起きた時に「その人のもとへ、〝まほうのほうき〟に乗ってサーっと飛んでいきたい」、「困ったことをサッと解決できる〝まほうのほうき〟のような存在になりたい」という思いが込められています。代表の沼﨑道子さんは、自身の子育てや仕事の経験から、「『助けて』と言えず、声も上げられないお母さんたちはたくさんいる。そんな人たちの力になりたいとずっと思っていた」と話します。

 

「まほうのほうき」の主な活動

  • (1)子どもたちの居場所~Yottette~
  • 子どもたちが自由に過ごせる放課後の学習・滞在場所を提供
  • [活動日]火・木14:00~19:00、水・金14:00~17:00 土12:00~17:00
  • (2)子ども服等のリユース~Mottette~
  • 八王子駅南口マルシェに出店し、リユースを通して新たなコミュニティを創出
  • [活動日]第3日曜日
  • (3)高齢者の体力維持・促進~Aluttette~
  • 理学療法士などの協力のもと、ノルディックウォーキングを実施
  • [活動日]第1・3火曜日
  • (4)地域の困窮世帯向け食料配布~パントリー~
  • 地域のネットワークの協力を得て、ひとり親世帯や高齢者単身世帯を対象に食料などを配布
  • [活動日]隔月第1土曜日

 

周りの人に支えられて活動できている

「まほうのほうき」のスタッフは15名ほどで、全員がボランティアです。教師や保育士、看護師として働いていた人、福祉関係の仕事をしている人などが中心となっています。「このほかにも協力してくれる人が大勢いて、その人たちがいるから活動が成り立っている。みんなに支えてもらっている」と、沼﨑さんは言います。

 

地域の他団体とも協力し、拠点以外でも子育て世帯と関わる活動に取り組んでいます。自然体験教室を不定期で開くほか、子どもの成長に伴いサイズが合わなくなった服や靴、使わなくなったおもちゃのリユース、使い道がなくなってしまった食料を集めて必要とする人につなぐフードパントリーなども行っています。

 

活動の参加者は、スタッフの知り合いなどが多いですが、そこから口コミで広がっています。活動報告にはSNSを使っており、23年3月にはLINEの公式アカウントをつくり、イベントの案内を始めました。沼﨑さんは「地域の人も『この場所は何だろう?』と興味を持ってくれてはいるが、もっと知ってもらうにはどうしたら良いか考えていた。近所のお母さんに聞いてみたら、LINEはどうかと教えてくれたので、やってみようと思った」と話します。これまでも、「自分が持ってきた服がどんな風に使われるのか、前もって知ることができたら嬉しい」という声をもらうこともあり、LINEを通じて幅広く発信できるようになりました。

 

新しい出会いや展開を楽しむ

地域の大学に通う学生がボランティアとして来てくれることもありますが、継続した関わりが難しいのが現状です。しかし「大学の地域交流会に顔を出すと、こちらが予想していなかった学部の先生や学生が興味を持ってくれることもあり、新しい出会いもある」と、沼﨑さんは前向きに捉えています。そして、このことは活動にもあてはまるといいます。「こちらが思い描いていたのとは違う形や異なるタイミングで活動が展開していくこともある。やってみないと分からないことの方が多いが、それを楽しみながら、柔軟に続けていけたら良い」と話します。

 

例えば、2本のポールを使って歩行するノルディックウォーキングを地域の高齢者と一緒に行う活動「Aluttette(あるってって)」は、沼﨑さんが想定していたよりも反応が良く、毎回12~13人ほどの参加があります。指導員をはじめ、病院の理学療法士や地域包括支援センターの職員など、さまざまな人が協力してくれています。

 

誰にとっても住みやすく優しい地域づくりをめざして

「まほうのほうき」は、23年度から、子どもの居場所と同じスペースを活用して、地域の高齢者を対象にしたシニアサロンを開き、交流を図るほか、「住民主体による訪問型サービス」も実施していく予定です。

 

沼﨑さんは「生きづらさや困りごとを抱えている人がいることをちょっと知るだけで、見る目や声かけが変わってくる。そういう人が増えれば、住みやすくて優しい地域になっていくと思っている」と言います。そのためにも、「まずは子安町の人に、ゆくゆくはもっと多くの人に知ってもらい、高齢者も子どもも障害者も関係なく、みんなの居場所になることをめざしていきたい。たった一人でもここがホッとできる場所と思ってもらえたら嬉しい」と話します。

 

玄関を入ってすぐの駄菓子屋スペース

 

取材先
名称
まほうのほうき
概要
まほうのほうき
https://www.mahouno-houki.com/
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