練馬区福祉部、危機管理室
支援を必要とする方が、自宅にいられなくなっても変わらず福祉サービスを受けられる仕組みづくり
掲載日:2018年4月26日
ブックレット番号:7 事例番号:68
東京都練馬区/平成30年3月現在

 

供給力を補う広域連携として、他の自治体と協定

練馬区では、災害時には以下のようなことが想定され、人的体制や要配慮者の受け皿を確保していくことが課題となっています。

 

  • ○福祉施設・事業所に子育て中の職員が少なくなく、保育所が休止すると参集できる人材が不足する
  • ○福祉施設が平屋構造でないため、電気が止まると施設機能に支障が生じる
  • ○通所施設が多く、発災する時間帯によって送迎に課題がある
  • ○想定される要配慮者に比べて福祉避難所や福祉施設による緊急入所での対応に限界がある
  • ○福祉施設・事業所が休止する可能性が高い
  • ○福祉施設・事業所のスペースに限りがあり、備蓄が難しい

(東社協実施「大都市東京の特性をふまえた災害時における要配慮者のニーズと支援対策に関する区市町村アンケート」より)

 

これらの課題に対応するため、練馬区では、23区と結んでいる「特別区災害時相互協力及び相互支援に関する協定」の他に、10自治体と協定を締結しています。協定の内容は大きく3つに分かれています。

1つめは、長野県上田市、群馬県前橋市、埼玉県上尾市と締結している「災害時における相互応援協定(資料3)」です。その応援内容の一つには、「救援、医療、防疫、その他応急対策等に必要な職員の応援」を位置づけ、市の職員の介護職・福祉職等が応援を行うこととしています。また、同協定の中で、「被災者の一時受入れ」も位置づけています。

2つめは、群馬県館林市、群馬県下仁田市、福島県塙町と締結している「物資等の支援に関する協定(資料4)」です。水や食料など、まず必要とされるものを確保することを目的に締結しました。防災計画課の原田崇さんは、「熊本地震のことを参考に、プライバシーを守るために必要な物資の確保についても検討をはじめている」と話します。

3つめは、広域避難を検討する中で、上田市や前橋市、上尾市よりもさらに近隣の市との協力関係を結ぶ必要性が検討され、「災害時における相互応援協定」を練馬区と隣接する自治体と締結することを目的とした隣接協定です。相互協定と同様のものを、武蔵野市、西東京市、埼玉県和光市、埼玉県新座市と締結しています。(資料5)

 

平成28年熊本地震でも被災した市町村自身が福祉避難所を開設することが困難でした。そのため、発災後に市町村間で調整し、熊本市の福祉避難所に益城町、御船町の方も受入れた事例があります。こうしたことからも、今後練馬区のように隣接自治体と協定を結んでおくことは大切な視点になりそうです。

 

取材先
名称
練馬区福祉部、危機管理室
概要
練馬区
http://www.city.nerima.tokyo.jp/
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