清瀬市社会福祉協議会
(左から)地域福祉係長 富田千秋さん
事務局長 新井勘資さん
事務局次長 星野孝彦さん
あらまし
- 清瀬市内の社会福祉法人が連携して、地域に向けて取り組む「清瀬市社会福祉法人 社会貢献事業協議会(以下、きよせの社福)」。今回は、新型コロナによる活動への影響や新たに取り組み始めた「はたらく相談会」等について、事務局を担う清瀬市社会福祉協議会(以下、清瀬市社協)にお聞きしました。
◆地域に掲げる4つの役割
清瀬市内の22の社会福祉法人が連携して地域公益活動を推進する「きよせの社福」は2017年に発足しました。地域へ4つの役割を掲げ、これまで必要な取組みを模索してきました。その一つである相談支援は、約30か所の福祉施設や病院が「ひとまず相談窓口」を設け、身近な相談先の一つとして市民の多様な思いを受け止めることをめざしています。また、地域に取組みが浸透していくよう広報・情報発信にも注力しながら、福祉教育や地域活動の応援などをすすめてきました。「設立当初より、多くの法人にネットワークに関わってもらうこと。そして、各法人がすでに持っている機能を地域に還元していける方法で取り組むことをめざした」と事務局次長の星野孝彦さんが話すように、それぞれの法人が強みを活かしながら主体的に関わっていけることを事務局としては大切にしてきました。
◆課題やニーズを共有することから
発足以降取り組んでいた活動は、新型コロナにより一定期間活動を中止せざるを得ない状況に至ります。地域福祉係長の富田千秋さんは、「先が見えない中、どの法人も利用者をどう守るか、本来事業をどう継続していくかが最優先の課題であった。そんな状況下で、横のつながりが一体どうやってできるのかを模索していた」と当時を振り返ります。そのため、オンラインの整備状況に関するアンケートを実施し、20年8月にはオンラインと会場を併用し顔を合わせる場を実現。きよせの社福として20年度は無理に動かず、情報共有の場をゆるやかに継続していくことを第一としました。
法人間の情報共有や清瀬市社協が実施していた特例貸付により、これまで把握できていなかった経済的不安を抱えている人や長期的に就労につながっていない人等がみえてきたといいます。浮き彫りになった地域課題を前に、きよせの社福として何ができるのか。代表者会を中心に、ニーズや課題の共有を継続しながら、各法人に取組みに関するアンケートを行い、具体的な検討を21年度はすすめました。結果、「生活困窮者への支援」と「災害等の有事の際の相互協力体制づくり」の2テーマを設定し、新たに部会を立ち上げて取り組んでいくことになりました。
この間、ネットワーク全体の動き以外にも、児童養護施設の若者を特別養護老人ホームがアルバイト雇用で受け入れるほか、法人協働によるフードドライブ等も実施されました。ネットワークで築いてきた顔の見える関係だからこそ、施設の種別を超えてコロナ禍のニーズや課題に対応することができたといいます。
◆それぞれの関わり方でつくる〝はたらく〟相談会
生活困窮者への支援を検討する部会では、関係機関からも相談動向等を共有してもらい、必要な取組みを考えていきました。富田さんは、「検討をすすめる中で、支援には『はたらく場・食や生活支援・相談』の3つが必要と考え、これまで取り組んできた『ひとまず相談』の機能に〝はたらく場〟をプラスした『はたらく相談会』の開催につながった」と話します。
21~22年度にわたり準備をすすめ、23年2月に「はたらく相談会」を開催。各法人は事前の広報や当日の相談対応・運営など可能なかたちで関わり、当日は行政やハローワーク等の関係機関と協力して運営しました。生活困窮や不安定な就労状況、就労や社会経験が乏しい方等を対象とし、ひとまず相談窓口や体験相談コーナー等(※)が設けられました。相談者は20代~70代で、就労機関や職場体験につながったケースもありました。当日相談を受けた星野さんは「相談者をみると、何らかの背景を抱えている方が多数。相談者は10名であったが、一定の成果があったのではないかと捉えている。また、関わった社会福祉法人が取り組む意義を感じてもらえたのではないか」と話します。分野を超えて交流できる場ともなり、参加スタッフからは「地域に一歩出て、相談を受けることは良かった」との声も聞かれました。
◆コロナ禍での取組みをもとに、地域へ取り組んでいく
今回の相談会を通じて、「同じ人をみていても、分野で着目するポイントが違うと感じた。1つの事業所で完結せず、他分野がつながることが強みになる。そうした強みを活かした取組みを広げていければ」と、富田さんは協働して取り組む大切さを再認識しています。また、これまでの取組みを経て、「社協として各法人とゆるやかに関わりがあったが、社会貢献というテーマを中心に据えてネットワークを形成したことで地域の取組みに対して声かけがしやすくなり、反応も良くなってきた。きよせの社福を通じて、法人が地域に対して取り組むという意識が潜在的に推進されたのではと思う。少しずつネットワークの取組みをすすめることで、地域のかたちができつつある」と星野さんは実感しています。
一時は中止となっていた定例会等も現在は再開し、はたらく相談会の次回開催や法人同士での学び合う場の検討などがすすめられています。今年度は顔を合わせる機会を大切に、きよせの社福は地域に向けて動き続けています。
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