京都府健康福祉部、(社福)京都府社会福祉協議会、長岡京市健康福祉部、市民協働部
誰もが安心して過ごせる避難所と要配慮者に対応できる地域づくり~避難所のユニバーサルデザイン化と人材養成~
掲載日:2018年4月26日
ブックレット番号:7 事例番号:69
京都府/平成30年3月現在

 

避難支援者になることは難しいことじゃない

各地域では、自治会員、自主防災会員、民生児童委員が核となり、顔の見える関係づくり、個別計画の作成をすすめています。

モデル地区の1つである西の京地区では、291世帯・約700名の自治会加入者がいます。そのうち、制度上の対象となる災害時要配慮者は31名です。

平成28年8月時点では、そのうちの約60%の方に特定の避難支援者が決まっていない状況でした。災害時要配慮者支援制度の主旨が地域住民へ十分浸透していないことにより、避難支援者になることに対して責任やプレッシャーを感じる方が多くいたことが背景にありました。

 

そこで、西の京自主防災会と自治会は、「災害時要配慮者支援制度」や「避難支援者」という言葉が、地域の方にとって少しでもやわらかいイメージになることをめざして、自分たちを「西の京はぴねす隊」に、「避難支援者」を「避難サポーター」に言い変えて、避難支援者になることのハードルを下げようと取組んでいます。そして、自分たちが積極的に制度について詳しく学び、地域の方に分かりやすく伝えられるようにするとともに、「避難支援者になってほしいと頼みにくい」「頼める人がいない」という災害時要配慮者の方に対し、支援者を見つけるためのサポートをしています。

 

また、避難支援者が決まっていても、「避難支援者が日中自宅にいないため、災害発生の時間帯によっては支援が難しい」などの課題に対しては、特定の避難支援者の選定にとどまらず、班単位での見守りや助け合いをすすめたり、さらには、災害時要配慮者同士をお互いの避難支援者としてマッチングを行うこともすすめてきました。健康福祉部社会福祉課の板垣美紀さんは、「西の京地区で、虚弱高齢者同士が互いに声をかけあって逃げるという、災害時要配慮者同士を避難支援者としてマッチングするアイデアを知り、災害時要配慮者が避難支援者になることができるということを学んだ」と話します。

このような取組みにより、平成29年1月末時点の西の京地域における避難支援者が決まっていない災害時要配慮者は、1名となっています。

同じくモデル地区であるつつじが丘地区や開本地区でも、特定の避難支援者に加えて、組単位での助けあいもすすめることを決めて避難支援体制を重層化したり、自治会全体の独自の名簿や地図を作成するなど、それぞれの地区の実情に合わせて工夫しながらすすめています。

 

長岡京市内では、モデル地区以外の地域でも徐々に災害時要配慮者支援制度における個別計画の作成、避難支援者の選定などがすすんできています。長岡京市健康福祉部社会福祉課の宮本公平さんは、「モデル地区で実践しているような取組みを市内全域に広めたかった。そのための試みの一つとして、市の広報誌を使って、モデル地区の取組みを取り上げた。他地区の実践を知って、各地域でも『自分たちにもできそうだ』と感じてもらいたかった」と話します。

 

広報誌の中で、西の京はぴねす隊は、「避難支援者となっても災害が起きた際には、自分や自分の家族の安全が確保された後に支援する災害時要配慮者のことを気にかけてもらう、という順番でよい」ということや、「数名のグループで避難の手伝いや安否確認をするのも一つの形である」こと、「普段、近所の知り合いが困っていたら当たり前に手助けをすることと同じように考えてほしい、そのような『当たり前に手を取り合うご近所関係』をつくるためには、普段から顔の見える関係づくりがカギであり、温かい気遣いをまちに広めていきたい」と伝えています。

 

 

(広報長岡京 全戸配布)

 

 

 

取材先
名称
京都府健康福祉部、(社福)京都府社会福祉協議会、長岡京市健康福祉部、市民協働部
概要
京都府
http://www.pref.kyoto.jp/index.html
(社福)京都府社会福祉協議会
http://www.kyoshakyo.or.jp/
長岡京市
http://www.city.nagaokakyo.lg.jp/
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