京都府健康福祉部、(社福)京都府社会福祉協議会、長岡京市健康福祉部、市民協働部
誰もが安心して過ごせる避難所と要配慮者に対応できる地域づくり~避難所のユニバーサルデザイン化と人材養成~
掲載日:2018年4月26日
ブックレット番号:7 事例番号:69
京都府/平成30年3月現在

 

(2)京都府災害派遣福祉チーム(京都DWAT)

(1)の保健所圏域で養成する、キーパーソンとなる人材による「福祉避難サポートリーダー」は、地域の中での対応力を高めていくものです。しかしながら、被災した地域では、その対応力を確保できない避難所も出てきます。そこで、サポートリーダーとは別に、京都府では、大規模災害発生時に被災市町村からの要請に基づき、広域から調整して必要な支援を送り込む「京都府災害派遣福祉チーム」(以下、「京都DWAT」)を結成しています。

 

京都府は、平成25年3月に医療・福祉・行政関係者により市町村域や府県域を越える大規模・広域災害発生時における支援体制を調整するため「京都府災害時要配慮者避難支援センター」を設置しました。同センターのもと、平成26年度から関係福祉団体を通じて選出した社会福祉士、介護福祉士、主任介護支援専門員、主任相談員などによるメンバーの養成研修をすすめ、平成27年3月に京都市、山城北、丹後、乙訓などの府内8つの圏域に計12チームの京都DWATを設置しました。平成29年9月現在で、123名の福祉専門職をチームに登録しています。

 

平成28年熊本地震では、この京都DWATを平成28年5月13日~31日に熊本県益城町ミナテラスに設置された避難所へ派遣しました。5人1チームで3班の計15名を派遣しています。派遣先では、熊本県災害派遣福祉チーム(熊本DCAT)と支援活動を共に行い、避難所における福祉的な相談や支援、避難所の生活環境の改善などの活動に取組みました。直接的な介護というよりも、二次被害につながらないための生活支援です。

宮村さんは、この派遣の経験を通じた学びの一つに「日常生活に戻すための観点から、支援は『やりすぎてはいけない』」ということをあげます。福祉専門職ならではの大切な視点です。「例えば、夕ご飯を取りに来られない避難者がいた。お届けするのではなく、歩行を支援し、取りに行けるように支援した。避難生活後の自立を考える必要がある。また、避難している子どもたちと一緒に避難所内の環境整備も行った。子どもたち自身が体を動かし、自分たちがやったことが役に立つことは、子どもたちの支えにつながり、『福祉の目線』があったからできたこと。こうした支援を避難先の主体性を大切にしながら、チーム全体で話し合ってすすめた」と話します。

 

 

子どもと一緒に環境整備した下駄箱

 

派遣したチーム員たちは、「初めての派遣であり、実際に活動できたことが大きな一歩」「災害時に限らない、福祉の観点での気づきから実践、防災について学ぶことが大事」「災害の規模によっては福祉避難所の活用が困難になる可能性がある。一般避難所での福祉コーナーは現実的だった」と、熊本災害支援をふり返ります。

 

取材先
名称
京都府健康福祉部、(社福)京都府社会福祉協議会、長岡京市健康福祉部、市民協働部
概要
京都府
http://www.pref.kyoto.jp/index.html
(社福)京都府社会福祉協議会
http://www.kyoshakyo.or.jp/
長岡京市
http://www.city.nagaokakyo.lg.jp/
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