ともくんみゅーじっくすたじお オーナー 原嶋勝巳さん(左)と御家族
あらまし
- 2022年5月、発達障害の子どもをサポートする、ともくんみゅーじっくすたじおが開業されました。代表の原嶋勝巳さんと高校3年生の原嶋友也さんにお話を伺いました。
◆ドラムとの出会いは運命だった
勝巳さん 息子は3歳の時に〝広汎性発達障害自閉スペクトラム症〟と診断されました。生まれてから発話がなく、周りの子と違う行動が多いと感じていました。保育園では落ち着きがなく、集団行動ができず人の言うことを聞きませんでした。手探りで、英会話やサッカー、水泳などさまざまな習い事を試すものの長続きせず、親としてどうしたらいいのか分からず、辛い時期を過ごしていました。
息子が7歳の時、治療で通っていた鍼灸院から、障害のある子でも通えるドラム教室を紹介してもらいました。当時流行っていた太鼓の達人を購入したところ、楽しそうに太鼓をたたいたので、ドラム教室に通うことを決めました。
ドラムをある程度たたけるようになった頃、音楽を通じてコミュニケーションの幅が広がればと、家族で〝友くんバンド〟の活動を始めました。妻はギターを、私はキーボードと作詞・作曲を行いました。息子の好きな曲で音を合わせ練習を重ね、音楽教室のイベントなどにも参加。息子がソロで活動するようになるまで2年程続けました。その後、息子はYoutubeなどのドラム動画を数多く見て「自分も頑張ろう」と、必死に練習し徐々に実力をつけました。
18歳になった今では特別支援学校に通いながら、さまざまなイベントやYoutubeで、パフォーマンスを披露できるドラマーとして活躍するまでに成長しました。
◆子どもたちの新たな一歩につながる活動を
ドラムを楽しそうにたたく息子の姿を目の当たりにし、好きなことを見つけて伸ばすことが、障害のあるなしに関わらず子どもにとって大切なことだと改めて気づかされました。「息子が好きなドラムで社会貢献できるようにしたい。世の中にたくさんいる同じような発達障害の子どもたちを応援する活動がしたい」との思いから、ともくんみゅーじっくすたじおの立ち上げを決断しました。
初めてレッスンを受け持ったのは、特別支援学級に通う生徒さんでした。最初は顔も見てくれず、話しかけても背を向けていたのですが、慣れてくると笑顔で返事をしてくれるようになり、スタジオに通って1年経ちますが、ドラムもとても上達しました。そういった子どもたちの目に見える変化がとても嬉しいです。「ここに通わせて良かった」という親御さんの声を聞くと、スタジオを立ち上げて良かったと改めて思います。
現在、軽度の障害を持っている子や不登校の子など約20人がドラムを学んでいて、息子は障害のある子どもたちにドラムを教えています。一人ですべてをこなすのは難しいので、家族や一緒にドラムを教えている専任講師によるサポートを受けながら日々努力しています。将来的には自立して指導をできるようになってもらうことが目標です。
私たちがめざすのは、ドラムを通して子どもたちが自信を持てるようになったり、新しい一歩を踏み出したりすることの後押しをすること。これからも家族一丸となって活動を続けていきたいです。
◆友也さんにインタビュー
友也さん 趣味はドラムで、ジブリが好き。家にジブリの本とDVDがたくさんある。一番楽しいのは学校。特に、体育、水泳、音楽の授業で体を動かすことが好き。来年からB型作業所で仕事をする。働くのが楽しみ! ドラムに出会って、いろいろな人に会うことができた。これからも頑張りたい。
道の駅で行われた野外イベントの様子
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