認定NPO法人シャプラニール=市民による海外協力の会
新宿区に多文化共生コミュニティスペースが開設
掲載日:2023年11月13日
2023年11月 TOPICS

 

オープニングイベント集合写真

 

あらまし

  • 2023年9月2日(土)、新宿区大久保地域で「多文化共生コミュニティスペース マザリナ」のオープンイベントが開催されました。ここは、日本に住む外国人と地域の人が出会い、交流できる場所で、外国人が日本で暮らす上での困りごとを気軽に相談でき、必要な情報を得られる場所でもあります。
  • マザリナを開設したのは「認定NPO法人シャプラニール=市民による海外協力の会」です。シャプラニールは、1972年に創設されたバングラデシュやネパール、日本で貧困問題解決に取り組む国際協力NGOです。22年度ごろから、コミュニティスペースの開設に向けて準備をすすめてきました。

 

コロナ禍を経て開設に至ったマザリナ

事業推進グループの宮原麻季さんは「コロナ禍前から、在住外国人に対する支援の必要性は感じていた」と言います。団体で何かできることはないかと取組みを検討していた時に、新型コロナが流行しました。その際には、フードパントリーを実施し、困りごとを聞いたり、オンラインイベントで主にネパール語で生活情報を発信したりしていました。また、在住外国人支援を行う団体をはじめ、さまざまな団体から多くの問い合わせがありました。宮原さんは「新宿区社会福祉協議会にも多くの外国人が相談に来たと聞いた。『地域の中で福祉的な支援を必要としているのは、日本人だけではなく外国人も多いのではないか』という新宿区社協の方の言葉は、私たちにとっても発見であり、学びだった」と振り返ります。

 

続けて、「フードパントリーなどの働きかけももちろん必要だが、対症療法的でしかない。外国人一人ひとりは地域に住んでいるので、同時に地域にも働きかけていかないといけない。外国人から教わることと日本人が教えられることがお互いにあり、持ちつ持たれつの関係で地域が形成されていくことが、今の社会に必要なことだと考えている」と、マザリナへの思いを話します。

 

多くの人の協力があって迎えた当日

オープンイベント当日の前半は、地域の関係者に向けて、スペースの趣旨や運営について説明が行われました。新宿区社協や地域で多文化共生に取り組む団体、東京都や新宿区、ハローワークの担当者など、多くの人を招待しました。

 

宮原さんは「この場所のオープンには、たくさんの方々に力を貸していただいた。私たちは、50年以上新宿区にオフィスを構えているが、地域に密着した活動を十分にはできていなかった。特に新宿区社協の皆さんには、地域で活動しているさまざまな団体や会議の場を教えていただき、ありがたかった」と、感謝の気持ちを口にします。

 

後半は、今後スペースを利用する外国人や日本人同士が自己紹介を行い、好きな映画や夏の思い出などを語り合い、大盛況でした。コロナ禍でつながりができた周辺の日本語学校の学生などが主な参加者で、韓国や中国、ネパール、ベトナム出身の方々でした。「日本語学校側は『留学生は学校で日本語を学んでいるのに日本人と話す機会がない』という課題を持っていて、ニーズがマッチしたのだと思う。ただ、参加対象を学生に限定していないので、今後は色んな方々に参加いただきたい」と、宮原さんは言います。

 

「マザリナ」という名前は、オープニングイベントの参加者みんなで決めました。「外国人だけではなく地域の人も集い、さまざまな人が混ざって交流する場」という意味が込められています。

 

 

参加者の日本人とネパール人学生の交流の様子

 

 

誰も取り残さない社会に向けて

マザリナのもう一つの重要な機能として、情報アクセスへのサポートがあります。まずは、イベントを開催して、在住外国人にとって必要な情報を発信していく予定です。宮原さんは「彼らは日本の生活情報にアクセスすることが難しい。特に家族滞在などで日本に暮らしている場合は、日本語が分からず孤立している人も多い」と言います。マザリナ開設に向けた事前調査やヒアリングで明らかになったのは、妊娠・出産時に日本語が分からないために苦労し、その後も子どもとの関わりしかなく孤独を抱えているケースが多いこと。「そういった人たちにマザリナの存在を届けることが今の課題。コミュニティスペースは、給付金などと異なり、すぐに生活に直結するわけではない。安心できる場所であることを本人や身近にいるキーパーソン、支援団体の方々にも伝えていきたい」と、宮原さんは課題にも触れます。

 

マザリナは、誰でもふらっと来られて、学校や職場、家でもない「第3の居場所」をめざしていきます。試行錯誤を重ねながら、いずれは参加側と運営側の関係ではなく、地域の中に吸収されて、みんなでつくりあげていくことを目標にしています。

 

宮原さんは、コミュニケーションの大切さを改めて強調し、「日本人として何か特別なことをする必要はなく、ゆっくり話を聞くだけでも十分。外国人に限ったことではなく、障害のある方や高齢の方などにもそれぞれのスピードに合わせて寄り添う姿勢が大事。こうした姿勢が『誰も取り残さない』社会の実現につながると信じている」と語ります。

 

スペース名は参加者みんなで投票して決定

 

多文化共生コミュニティスペース マザリナ

  • オープン 第1土曜日 13:30~17:30、第3金曜日 15:00~19:00
  • 〒169-0073 新宿区百人町1-17-6 成田ビル(レンタルスペース)
  • 電話 070-8912-0213

 

取材先
名称
認定NPO法人シャプラニール=市民による海外協力の会
概要
認定NPO法人シャプラニール
https://www.shaplaneer.org/

多文化共生コミュニティスペース「マザリナ」Facebook
https://m.facebook.com/mazarina2023
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