(社福)豊島区民社会福祉協議会
地域の拠点「区民ひろば」にCSWが常駐して地域の課題に対応。福祉包括化推進員による庁内連携のしくみとCSWの取組みを活かす。―豊島区民社協における重層的支援体制整備事業の取組み
掲載日:2024年1月12日

左から、豊島区民社会福祉協議会 共生社会課長 小林聖子さん

         共生社会課コミュニティソーシャルワーク担当チーフ 宮坂誠さん

 

豊島区は、令和5年度から重層的支援体制整備事業(以下、重層事業)を本格実施しています。豊島区民社協はその中の4つの事業を受託していますが、以前から、コミュニティソーシャルワーク事業、生活困窮者自立支援事業(くらし・しごと相談支援センター)、生活支援体制整備事業など、重層事業につながる多くの事業を実施してきました。特にコミュニティソーシャルワーク事業については、都内でも先駆的に取り組んできた経緯があります。

 

豊島区では、平成21年度に高齢者総合相談センター(地域包括支援センター)圏域のうちの1圏域にコミュニティソーシャルワーカー(以下、CSW)をモデル配置しました。本格実施後は毎年増員し、平成27年度に全8圏域に配置されています。モデル事業時から1圏域に2名のCSWを配置し、チームで動くことを大事にしてきました。CSWは地域コミュニティの拠点「区民ひろば」に常駐しています。社協の事務局とは場所が離れていますが、毎朝集まってミーティングをすることで情報共有ができるようになり、社協内の連携に不都合はないと言います。区民ひろばではCSWによる相談会も実施していますが、相談会があるから来るのではなく、区民ひろばで話をしている内容が相談につながっていくことが多いと言います。また、社協の全部署を横断した地区担当制も取っており、CSWと地区担当職員が一緒に地域との関係をつくってきました。地域の課題や取組みへ意見を出し合う区民ミーティングは、地区担当が担っています。

 

くらし・しごと相談支援センターは区役所本庁舎にあり、区の福祉総合フロアの一画を構成しています。生活困窮者支援の窓口に自ら相談に訪れる人は少ないので、庁内のほかの部署から相談につながるメリットがあります。

 

豊島区では、重層事業実施前から庁内関係部署の「福祉包括化推進員」による福祉包括化推進会議と推進部会を設置し、包括的な支援のための庁内連携のしくみをつくってきました。豊島区民社協の共生社会課(CSWと生活困窮者自立支援事業の課)はその構成部署の1つに位置づけられています。豊島区の重層事業は、CSWによる取組みを中心にこれまで社協が実施してきた事業を活かして進められています。

 

Ⅰ 豊島区民社協のこれまでの取組み

(1)豊島区民地域福祉活動計画「としまNICEプラン」

豊島区民地域福祉活動計画「としまNICEプラン」は、現在、平成30年度~令和5年度までの計画を推進しながら、令和6年度に向けて改定作業中です。本計画の策定委員会には、区の地域保健福祉計画(地域福祉計画)の策定会議と同じ学識経験者の委員を招聘し、さらに、双方の会議体にそれぞれの計画策定担当者が出席し合うことにより、共通の方向性を持って改定を進めています。区の地域保健福祉計画は重層的支援体制整備事業実施計画を盛り込む形で改定中です。また、豊島区民社協では、圏域ごとに区民ミーティングを開催しています。現行の地域福祉活動計画にも、区民ミーティングで出た「豊島区をどのような地域にしたいか」という意見を反映させています。今回の計画改定に向けては、初めて区と合同で開催し、両計画の説明をして、地域住民の意見をヒアリングする場としました。

 

取材先
名称
(社福)豊島区民社会福祉協議会
概要
社会福祉法人豊島区民社会福祉協議会
https://toshima-shakyo.or.jp/index.html
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