(社福)いいたて福祉会
全村避難の中、事業継続の決断をした特養は~この場所にとどまることで利用者の命と笑顔を守りたい~
掲載日:2018年6月1日
ブックレット番号:7 事例番号:72
福島県/平成30年3月現在

震災から6年半。避難解除を迎えた飯舘村の今

平成29年3月31日に、飯舘村の避難指示が解除されることになりました。最近では、施設のそばにコンビニや食堂ができ、平成29年夏には道の駅「までい館」がオープンしました。

また、少ないながらも、「帰村して、また同級生たちと村の学校に通いたい」という子どもたちの声も届いています。平成29年10月現在、平成30年度に村内で再開する認定こども園・小中学校の就学希望者は全体で90名となり、8月よりも38名増加しました。さらに、平成28年までの実証栽培を通して安全性が確認されたことから、米の出荷再開に向けて須(す)萱(がや)地区において販売用の米の稲刈りも行われたところです。

福島復興ステーションホームページより抜粋

 

いいたて福祉会では、震災後も居宅介護支援事業所の運営を継続し、3名の介護支援専門員が県内各地に散った利用者のケアマネジメントを続けています。利用者が使う介護サービスは、避難先のサービスです。そのため、介護支援専門員は利用者の避難先を訪問し、避難先の事業所と調整する業務を担い続けています。

 

一方で、避難指示解除後もいいたて福祉会が実施していたデイサービスと訪問介護は再開できていないため、村内には在宅介護のためのサービスがない状態です。村に戻ってきている高齢者の中で訪問介護を利用する場合は、近隣の川俣町や伊達市の事業所から来るヘルパーからサービスを受け、ヘルパーの事業所に村が独自に1日2,000円を補助しています。

三瓶さんは、「本来ならば歓迎すべきだが、村に戻ってくる高齢者には、職員数が減少した今の状態では希望に添えかねる状態であり、現時点では、帰村しても希望するサービスを十分に提供できない可能性があるということを分かっていただきたい」と厳しい現状を話します。

 

住民を対象としたアンケートでは、6,500名の村民のうちの30%が帰村を希望しています。帰村してくる人のほとんどが高齢者層と言われています。そうなると、介護予防や要介護者を支えていくサービスがますます必要となります。飯舘村社会福祉協議会が茶話会をはじめているので、高齢者が日中に通える場はできてきていますが、いいたてホームがデイサービスや訪問介護、ショートステイを再開するには、さらなる人材確保の必要があります。

また、いいたてホームの震災後の利用者は、これまでに14名です。村の高齢者ニーズに応えることが難しく、むしろ避難先の特養ニーズが増える現状にあると言えます。

 

年齢別 飯舘村への帰還意向

 

世帯構成別 飯舘村への帰還意向

「飯舘村 住民意向調査報告書」(平成28年3月 復興庁・福島県・飯舘村)より

 

 

取材先
名称
(社福)いいたて福祉会
概要
(社福)いいたて福祉会
http://www.iitate-home.jp/
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