社会福祉法人 サンライズ
福祉施設が取り組む広報活動【第2回】専属の部署によるメディア戦略で法人の価値を広く発信する
掲載日:2024年5月15日
2024年5月号 連載

社会福祉法人サンライズ

広報戦略課 マネジャー

関澤 孝文さん

 

あらまし

  • 今号では、YouTubeを主軸に広報誌、パンフレット、SNSなど、さまざまなメディアを最大限活用して情報発信をすすめている社会福祉法人サンライズの取組みを紹介します。

 

情報発信のための専属部署を新設

1972年設立の(社福)サンライズは、日の出町、あきる野市、練馬区を拠点に特別養護老人ホームやデイサービスなどを展開しています。事業拡大に伴い、2021年に組織の再編成が行われ、そこで広報戦略課が新設されました。

 

広報戦略課は、法人本部直属の組織で、法人内外に向けた広報のプロモーションを担っています。社会情勢や物価の高騰など、外部環境が刻一刻と変化していく中で、利用者や求職者、地域住民などのあらゆるステークホルダーに「選ばれる施設」になるためには、サンライズが持つ魅力を「誰にどうやって発信していくか」を組織的に考える必要があると理事長は考えました。そして、ニーズ調査から戦略立案、施策の実行を専属で行う広報戦略課がつくられました。

 

広報戦略課では、『問合せを前年比で1割増やすこと』を目標にし、広報誌やパンフレットをはじめとする紙媒体、YouTubeやInstagramなどの動画とSNSを使った企画立案から撮影、原稿執筆などの制作を担っています。専属で広報戦略課のマネジャーを務める関澤孝文さんは、「最終的にはメディアからホームページや電話へと誘導し、契約や問合わせにつなげるのが目的です」と話します。各事業所から選出された広報委員会のメンバーとも連携しながら制作を行っています。

 

動画チャンネルを軸に法人の価値を発信

広報戦略の中で特に力を入れているのが、YouTubeチャンネル「Sunrise TV」です。本格的に動き出したのは2019年10月で、当初は動画総数が100本になるまで1週間に2本の動画アップを目標にしてきました。動画の内容は、施設の様子が分かるものや新入職員へのインタビュー、介助の基礎が学べるものなど多岐にわたっていて、現在の動画総数は240にも及んでいます。

 

関澤さんは「私も広報委員会のメンバーも、それまで動画制作などの経験はなく、初めのうちは『習うより慣れろ』でメンバーと協力しながらつくってきました」と振り返ります。さらに、「メディアをつくり続けていくうちに、動画の一つひとつが資産であり、チャンネルは法人の資産をストックする場所だと気づき、これらの動画をベースに、今あるメディアをいろいろと組み合わせた方が、より効果的に発信できると思いました」と話します。そして、YouTube×Instagramや、ホームページのブログやSNSに関連する動画のQRコードをつけるなど、YouTubeを軸に紙媒体やSNSを組み合わせて、さらに分かりやすく広範囲のターゲットに情報を発信しています。

 

地域住民とも積極的に関わり福祉の仕事をアピール

一方で、地域住民との交流も盛んに行われています。日の出町では、医療・保育・障害・高齢の分野と連携し、福祉全体の地域就職イベント「日の出町ワークフェア」の開催や、練馬区大泉地区では、災害時の福祉避難所としての機能を備え、普段はカフェやフィットネス、スパなどを併設した複合施設「サンライズ・サーカス」を2021年にオープンしました。ほかにも、地域の商工会や観光協会とタッグを組んで、地域のお店を紹介する動画をつくったり、地域の子育て世代を応援するために「子どもフェスタ」を開催したりするなど、地域交流に積極的に関わってきました。

 

「法人が展開している高齢分野だけではなく、地域で必要とされているところに少しでもアピールできたらという想いで取り組んでいます。地域の方々との関わりを通じて、職員のモチベーションアップにもつながっていると感じています」と関澤さんは話します。

 

発信する側が“楽しむ”ことが大切

現在、メディア制作に携わるメンバーのほとんどが日常業務との兼務です。関澤さんは「動画のほかに事業所ごとに紙媒体やSNSもあるので、あえて記事の内容は媒体ごとに変えずに同じでいいと伝えています。情報の統一性や鮮度、個人情報などには細心の注意を払い、時間をかけずに楽しみながら自分たちの取組みを伝え続けていくことが大切だと思います」と語ります。

 

このように、さまざまなメディアを活用した戦略的な情報発信が功を奏し、動画やSNSを見てホームページに流入し、その中からさらに問合せにつながった件数は年々上がってきているといいます。

 

法人内でメディアを制作するメリットについて、関澤さんは「プロの業者に任せればきれいにつくってくれますが、私たちが大事にしたいのは、現場だからこそ生まれる視点や表現。そういった意味で、メンバー一人ひとりの広報力を高めるための研修やスキルアップも考えていきたいです」と、今後の展望とともに話してくれました。

取材先
名称
社会福祉法人 サンライズ
概要
社会福祉法人 サンライズ
https://www.h-sunrise.com/

「Sunrise TV」
https://www.youtube.com/channel/UCXAYu6STK62DtfkkwRm9yZg
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