(社福)広葉会 特別養護老人ホーム「リリー園」
地域の高齢者やその家族が安心して故郷で暮らし続けられるように、またあの場所で~避難指示を受けた特養の事業再開までの道のり~
掲載日:2018年6月29日
ブックレット番号:7 事例番号:76
福島県/平成30年3月現在

 

リリー園の現況

平成29年10月末現在、職員は31名になりました。そのうちの19名が介護職(2名は長期休暇中)です。元からリリー園にいた職員は5名になり、震災後に採用した職員の方が多くなっています。

震災後に採用された18名(1名のパート除く)のうち、京都や神奈川、長野、茨城など県外から来た人は6名、県内から来た人は7名です。

県内各施設と同様に人材不足に苦慮するリリー園では、ホームページを活用したり、さまざまなWeb媒体に求人情報を掲載しています。また、福島県内をはじめ、大阪、東京、仙台など、1人でも人材を確保できればと積極的に就職フェアにでかけ、「無資格だけど介護の仕事をしてみたい」という人がいれば、資格が取得できる講習を案内するなどのサポートをしています。

 

 

福島県社会福祉協議会が主催する福祉施設をめぐるバスツアーには今まで3回参加し、東京などからの見学者を受入れるとともに、最近では高校生を対象にしたバスツアーにも参加しています。すぐに就職には結びつきませんが、子どもたちの将来の選択肢の一つになれるよう、夏休みに挑戦できる資格を案内したり、地域の高齢者の状況を丁寧に伝えています。

 

震災後に採用された職員は、年齢層はさまざまですが、「被災地で役に立ちたい」「もっと早く来たかった」「再開を機に一緒にやっていきたい」とそれぞれ熱意を持ってリリー園にやって来てくれています。

「ふるさとで暮らしたい高齢者に支援を…」。永山さんがホームページなどで法人の設立趣旨や自身のメッセージを発信すると、その熱い想いに惹かれて、「ぜひ役に立ちたい」という想いを持った方が来てくれるようになりました。避難指示解除を機に故郷に帰ってくる高齢者を喜び、その人たちのために…という想いは、震災前から働き続けている他の職員も同じです。

 

リリー園ホームページ

 

永山さんは、「熱意を持ってリリー園に来てくれる人を見ていると、特養は単なる就職口ではないと感じている。残ってくれた職員も、『町の高齢者に安心して暮らしてもらいたい』という心の持ち主。そして、『故郷のためにがんばりたい』という大きな看板を胸に働いてくれている」と話します。

しかし、新しい職員の入職などにより、施設が活気を取り戻しつつある一方で、経営は厳しく、賠償を切り崩しながらやりくりするも現在も毎月1千万円ほどの赤字が続いています。職員は増員したものの、やはりまだ介護職員は足りていません。人材不足から思うように利用者の受入れができない今、介護保険事業の収入に対して、人件費や光熱費、物品にかかる経費などの支出が多くなっており、リリー園にとってはとても厳しい状況にあります。

 

 

 

リリー園の様子(平成29年10月末)

 

取材先
名称
(社福)広葉会 特別養護老人ホーム「リリー園」
概要
(社福)広葉会 特別養護老人ホーム「リリー園」
http://lily-en.com
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