(社福)リデルライトホーム
全国からの応援派遣職員による福祉避難所運営と事業の早期再開
掲載日:2018年7月13日
ブックレット番号:7 事例番号:77
熊本県/平成30年3月現在

 

養護老人ホーム、特別養護老人ホームなどを運営する熊本県熊本市中央区の社会福祉法人リデルライトホームは、平成28年4月14日・16日の熊本地震の際、5月1日から8月末まで福祉避難所を設営し、高齢者や子育て家族など27名の要配慮者を受入れました。(※)

特徴的なのは、敷地内に福祉避難所としての専用スペースを設けた点、そして、その運営を全国からの応援派遣職員に任せた点です。応援に来た職員は介護職の他、看護師、ケアマネジャー、理学療法士や音楽療法士など、全国31法人、87名にのぼります。

 

震災という非常時に、さまざまな地域から多様な立場の方が集まって福祉避難所を運営していくにあたり、どのような配慮や工夫があったのでしょうか。

 

  • (※)福祉避難所の設置や利用者の状況については、
  • 「災害時要援護者支援ブックレット6 『災害に強い福祉』 要配慮者支援活動事例集」に詳細を掲載しています。

 

 

応援派遣職員にとって得がたい経験になるように

リデルライトホームの福祉避難所は、法人が運営する地域密着型の特別養護老人ホーム「ノットホーム」に併設する地域交流スペース「ちこす」に設置しました。日頃はイベントなどに使用するホールに仕切りのカーテンやベッドを運び込み、個別スペースを設けました。ホールの一部はテレビやソファーを置いたリビングスペースとし、入浴などは「ノットホーム」の設備を利用しました。

施設内の空きベッドを利用してもらう形で要配慮者の受入れを行った事業所が多い中、一定のスペースを確保して要配慮者を受入れられる福祉避難所を設営したリデルライトホームの対応は珍しいものでした。この場の日中の支援を担当していたのが、1日当たり3名の応援派遣職員です。なお、夜間は「ノットホーム」に勤務中の法人職員が福祉避難所も一緒に見回ることで対応しました。

 

通常業務に加え、施設が受けた被害への対応もしながら福祉避難所を運営していく―。しかも職員も被災し、自分たちの生活も立て直さなければならない状況で、職員の人員不足は必至でした。そこで、厚生労働省が全国に向けて発出した、福祉人材の応援派遣制度を通じて応援職員に施設に入ってもらうことにしました。法人では東日本大震災の発生後、この制度に即して毎年3~6名ほどを東北に派遣していたため、応援職員を依頼することは災害時の対応としてすぐに思いつきました。

 

応援派遣職員にどのような仕事をしてもらうかという具体的な内容は、法人の各施設長たちが集まって決めていきました。日中の福祉避難所の運営を任せることにした背景には、「ずっとやってきた元々の施設は自分たちでしっかり守りたい」という職員の想いの他に、もう一つ理由があります。

それは、被災地での支援経験を持ち帰ってもらい、応援派遣職員のその後の勤務に活かしてもらうことです。「ノットホーム」管理部長で介護支援専門員の米田正人さんは、「実際に被害に遭った方々と接してもらうことで、人手が足りない業務の補助だけでは得がたい経験を持ち帰ってもらえると考えた」と話します。

 

(出典:リデルライトホーム作成資料「熊本地震による福祉避難所受入れについて」)

 

リデルライトホームでは、全社協・経営協・経営協青年会と

「人的資源派遣会議」を開催し、応援派遣職員の受入調整などを実施した。

(出典:リデルライトホーム作成資料「熊本地震による福祉避難所受入れについて」)

 

 

取材先
名称
(社福)リデルライトホーム
概要
(社福)リデルライトホーム
http://www.riddell-wright.com/index.php
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