(社福)江刺寿生会
障害のある方たちが安心に避難できるために必要な支援
掲載日:2018年7月19日
ブックレット番号:7 事例番号:78
岩手県/平成30年3月現在

障害のある方が安心できるための取組み

さらに、障害特性を十分に周囲に理解してもらえず、要配慮者となる障害者などが緊急避難所で厳しい状況に置かれました。そこで、次のような取組みを実施しています。

 

(1)災害派遣福祉チームの組織の構築

震災後、障害者が緊急避難所で生活する困難さが分かりました。その経験は、江刺寿生会も含めた県内の福祉関係団体による県への要望から災害派遣福祉チームの創設、組織の構築へつながっています。江刺寿生会からは2名の職員が、チーム員として登録しています。震災時には、避難所へ支援活動に参加した経験があり、チーム発足時に手をあげたひとり「ワークセンターわかくさ」主任の高橋英絵さんは「岩手県人なのだから、震災時に県内の困っている人を助けたいと思った」と登録した理由を語ります。

 

(2)福祉避難所の設置

緊急避難所では、福祉関係者や障害者当事者から障害者の生活の困難さが多くあげられました。不安から奇声をあげてしまうなどで、家族が周囲に遠慮し、車中泊していた家族がいました。そのため、やはり福祉避難所は必要で、奥州市では市内の15社会福祉法人と27施設との「福祉避難所の設置運営に関する協定」を締結しました。

 

(3)「災害対応のてびき」「おねがいカード」の作成

自分の大切な命を守るために、障害者自身が必要な災害の備えるとともに、行政や支援関係団体においても、障害者の必要な支援やネットワークづくりに役立つものをと考えました。その作成にあたっては、広く意見募集を行ったうえで、マニュアル策定委員が内容を検討し、「障害がある方たちの災害対応のてびき」(※資料2)をまとめました。

さらに、困った時にカードを提示することで、支援を受けられるよう「おねがいカード」(※資料2)を作成しました。万が一、事故にあったとしても、知的障害のある方は自分の血液型を伝えられない方もいます。江刺寿生会の利用者は、カードをお財布に入れて携帯しています。

 

想定外の震災であったため、全てのことが大きな課題でした。施設事業の継続に欠かせない人手不足、資金のことなど問題は山積みです。

そうなる前に、日頃から再建に向けた施設運営について「しっかりとした考え」を持ち、法人全体に浸透させることが必要です。また、職員への教育の積み重ねや、自分たちの仕事の重要性について理解を深めておくことが、各施設にとってさらに重要となるでしょう。

 

取材先
名称
(社福)江刺寿生会
概要
(社福)江刺寿生会
http://esashijyuseikai.or.jp/
タグ
関連特設ページ