東京都大島町
東京で初めて福祉避難所を設置。島が培ってきたつながりを被災後の地域づくりにも
掲載日:2018年8月14日
ブックレット番号:7 事例番号:80
東京都大島町/平成30年3月現在

大島町の状況

東京都大島町は、伊豆諸島最大の島である伊豆大島全体を指す町名です。東京から約120km南に位置し、中央部には標高758mの三原山があり、自然豊かな環境です。一方で、活火山でもある三原山の噴火や台風などの自然災害に向き合ってきた地域でもあります。

町の人口は、平成29年8月末現在、4,718世帯7,918名です。このうち約36%は65歳以上の高齢者で、「要介護5」の方59名を含む533名の方が、介護保険要介護認定を受けています(平成29年4月1日現在)。

 

島内にある高齢者福祉施設は、地域包括支援センター、特別養護老人ホーム、高齢者在宅サービスセンター、認知症高齢者グループホームが各1か所あります。障害者福祉施設は支援施設とグループホームが3か所、共同作業所が2か所、医療機関は有床診療所に公設民営の「大島医療センター」があります。また、児童に関する相談を、大島町役場の「大島町子ども家庭支援センター」が担っています。

島には、全日制(普通科、農林家政科)、定時制(普通科)の2部制の大島高等学校と、全寮制の大島海洋国際高等学校という2校の都立高等学校があります。大学進学や就職で島を離れる若者が多い中、高校生は島の重要なマンパワーとなっています。

 

記録的な豪雨による大規模な土砂災害

平成25年10月16日未明、当時、関東地方に接近・上陸する台風としては「10年に一度の強い勢力」と表現された「台風26号」により、大島町では降雨量が1時間に100mmを超える記録的な豪雨に見舞われ、島内の中心にある三原山の外輪山中腹が幅約950mにわたって崩落し、土石流は西に向かって沢に沿うように河口部まで流れ、被害は長さ約1,200m、範囲は約114万㎡に及びました。その影響により発生した大規模な土石流災害で、死者36名、行方不明者3名(29年9月現在も捜索中)、全壊建物137軒という甚大な被害を受け、同日、政府は東京都大島町に災害救助法を適用しました。

 

大量の流木を含んだ土石流が住宅などのある神達地区から元町3丁目、2丁目に流出し、多くの家屋が土石流の被害を受けました。当時島内では、学校や公民館など11か所に一般避難所が設置され、「大島けんこうセンター」と島唯一の特別養護老人ホームである社会福祉法人椿の里「大島老人ホーム」に都内で初めての要介護者向け避難所が設置されました(※)。

(※)「大島の応急復旧に向けた取組について(平成25年12月東京都)」より

 

その後、大島町では応急仮設住宅が小学校跡地のグラウンドに建設され、26年1月末より入居開始。そして、島内2か所に復興住宅が建設され、29年2月からは岡田地区復興住宅、3月末には元町家の上復興住宅への入居が開始されました。

大島社協では、巡回訪問などにより被災者の生活上のニーズを把握し必要なサービスにつなげる等の生活支援を行う「生活支援相談員」を26年4月より2名配置しました。29年3月末で生活支援相談員の配置は終了しましたが、毎月1軒ずつ手渡しで届けてきた『かわら版』(災害ボランティアセンターや町の情報、社協のお知らせ、復旧復興工事の進捗状況、地域の話題をまとめたもの)は、計50号になりました。

 

災害後4年の今、被災住民・被災地域を支える

平成26年度から大島町が開催していた「被災者生活支援連絡会」を引き継ぎ、28年3月より大島社協が「大島町被災者生活支援連絡会」(以下、「連絡会」)を設置しています。この連絡会は、被災者や被災地域の住民が住み慣れた地域で安心して暮らせるように、また、関係機関が情報を共有し的確な生活・復興支援をしていくため、(1)大島社協、(2)大島町民生児童委員協議会、(3)東京都大島支庁、(4)東京都島しょ保健所大島出張所、(5)大島町役場(福祉けんこう課、子ども家庭支援センター、土砂災害復興推進室)がメンバーとなり、被災者の生活支援(住宅・生活・人間関係)に関すること、被災者の孤独死の防止に関すること、その他生活支援に必要な事項について情報を共有しています。28年度は毎月、29年度は隔月で開催しています。

 

対象者リストは、29年9月現在410名で、大島社協が管理し連絡会での情報を基に更新しています。今、重点的に情報共有をしている住民は、被災により家族を亡くした方、生活状況が変化した高齢者や障害者、子どもなど10名です。支援内容として「生活再建」、「精神面」、「身体面」、「経済面」、「話し相手」、「その他」の5つの項目を設け、対象者ごとに支援が必要な項目に主につながっている機関を割り振っています。具体的な内容としては、現在の健康状態や通院状況、年金等制度の利用状況、就業状況、現在の困りごとなどについて、訪問や関係機関を通じて得た情報を共有しています。大島社協事務局長の藤田好造さんは、「住民同士の距離が近い島の環境では、内容によって町の機関にかえって相談しにくいと感じる方もいる。町役場の専門職以外に都大島支庁の専門職がいることはありがたい」と話します。

また、民生児童委員も連絡会に入ることで、専門職への相談内容だけではない、普段の暮らしの様子も共有することができます。連絡会を通して、主に関わっている機関以外も対象者の状況を把握し、何気ない場面での自然な見守りが行われています。

「大島町被災者生活支援連絡会」の様子(29年9月)

 

取材先
名称
東京都大島町
概要
東京都大島町
http://www.town.oshima.tokyo.jp/
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