社会福祉法人 大田区社会福祉協議会
15名の地域福祉コーディネーターを配置し、区の多機関協働事業の単位となる4つの基本圏域ごとに社会福祉法人のネットワークの活動等とも連携 ―大田区社協における重層的支援体制整備事業の取組み
掲載日:2024年6月28日

 

2 地域福祉コーディネーターのチーム体制を強化

区では平成30年度からフレイル予防の地域づくりを展開するため、「地域ささえあい強化推進員」を段階的に配置しました。

平成29年度に区が実施した「大田区地域福祉計画実態調査」では、8割の区民が「地域の助け合いが必要」と答えています。そうしたことから平成30年度に社協でも4つの基本圏域に1名ずつの「地域福祉コーディネーター」を区からの補助金を財源に配置しました。

令和2年度には「地域福祉コーディネーター」が5人に増員され、地域包括支援センターの「地域ささえあい強化推進員」とも連携して活動に取り組んできました。

さらに、令和3年度には「地域ささえあい強化推進員」と「地域福祉コーディネーター」がお互いの強みを活かしあうため、13人すべての名称と役割を「地域福祉コーディネーター」に統合し、全員が社協を拠点としてともにチームを組むようになりました。

 

令和5年度は15名の地域福祉コーディネーターを4つの圏域に配置するとともに、全体を統括する係長を1名配置しています。日常生活圏域は18か所ありますが、現在は4つの基本圏域の中でさらにエリア担当を分けるのではなく、3~5名のチームで担当しています。

 

3 令和元年~5年度の第6次『大田区地域福祉活動計画(リボン計画)』

(1)地域福祉活動計画と市の地域福祉計画の連携

大田区社協では、平成8年に『第1次地域福祉活動計画(リボン計画)』を策定し、それ以降、『第6次地域福祉活動計画(リボン計画)』まで改定を重ねてきました。一方、区でも平成6年に最初の『地域福祉計画』を策定以降、その改定を積み重ねています。社協は『第6次地域福祉活動計画』を策定する際、その計画期間を1年半早めて令和元年10月から令和6年3月までの計画とすることで、令和元年度からの区の『地域福祉計画』との連携・協働を図りました。計画期間の終わりも市の計画に合わせ、令和6年度からの『第7次地域福祉活動計画』からは同じ計画期間で取り組んでいきます。両計画の担当者は毎月、打ち合わせを行っています。委員も半分以上の方が重なっており、両計画が連携しながらの策定と推進をすすめています。

また、大田区社協には計画担当係長をはじめ、「計画」や「人材育成」を担当する職員を3名配置しています。時代の変化が激しい中、周辺情報を収集したり、行政のさまざまな施策と連携していくことが重要となっています。

(2)地域福祉コーディネーターとボランティアコーディネーター、権利擁護支援の連携

 

第5次活動計画の基本理念である「人を結び 地域で支え合う」は、第6次では「互いに結びあい 共に支えあう まち」へと発展しました。こうした理念を実現するため、第6次計画では、「地域福祉コーディネーター」「おおた地域共生ボランティアセンター」「おおた成年後見センター」を『3つのエンジン』に位置づけました。そのため、大田区社協では令和元年度に事務局組織を再編し、「法人運営センター」「成年後見センター」「地域共生ボランティアセンター」の3つのセンターから成る体制をつくりました。

「地域共生ボランティアセンター」のもとには、「地域共生担当」(=地域福祉コーディネーターを配置)と「ボランティア担当」を置き、両者がお互いの強みを活かした地域づくりをすすめています。地域共生担当とボランティア担当は頻繁に打ち合わせを重ねています。エリアを担当する地域福祉コーディネーターは地域をミクロの視点で見ることでき、一方、ボランティアコーディネーターは圏域をもたず地域全体で活動を見渡す視点をもっており、両者の連携はお互いの強みを活かしたものとなっています。

そして、地域づくりの下支えとして権利擁護支援を担う「成年後見センター」を位置づけ、「成年後見センター」では、弁護士、司法書士、社会福祉士をメンバーとする「権利擁護支援検討会議」を運営しています。それによって、福祉に限らない権利擁護支援のための専門的な対応力を高めることができます。

 

(3)地域福祉コーディネーターとは別に、部署を越えて「地区担当職員」を配置

大田区社協では、平成28年度から18か所の日常生活圏域ごとに「地区担当職員」を配置しています。地域福祉コーディネーターと係長職を除く常勤職員全員が自身の担当業務と兼務しながら担っています。担当地区を変えず同じ地区に関わり続けるのが特徴です。「地区担当職員」は住民の視点でその地区に関わることを心がけ、担当圏域の民生委員協議会の会議と毎月開催される「地域力推進会議」に必ず出席するようにしています。「地域力推進会議」は区の特別出張所が所管し、地域の課題を地域の力で解決するため、町会、民生委員協議会、学校、地域包括支援センター、消防や清掃の関係機関など80人ほどで構成されています。地区担当職員が必ず毎月2つの会議に出て関係を作ってくれているので、地域福祉コーディネーターは必要な時に必要な課題を提案して関係機関と連携が取りやすくなっています。

 

(4)4つの基本圏域ごとに活動を広げる「大田区社会福祉法人協議会(おおた福祉ネット)」

平成27年7月、大田区内の社会福祉法人が連携し、「大田区社会福祉法人協議会(おおた福祉ネット)」が立ち上がりました。区内に法人本部または事業所を有する社会福祉法人のネットワークで、現在41法人が参加しています。ネットワークの運営は社協を含む5つの幹事法人ですすめています。社協を除く4つの幹事法人は、各法人が所在する4つの基本圏域をそれぞれ受け持ち、4つの圏域ごとの活動を推進する力になっています。併せて、各圏域の地域福祉コーディネーターと連携し、圏域内の法人の現場職員も参加しながら各地域の課題をふまえた活動に取り組んでいます。

 

各エリアでは幹事法人を中心に地域福祉コーディネーターと連携しながら、次のように取組みをすすめています。

 

(5)地域課題を共有し合う「プラットフォーム事業」

平成29年に大田区社協では六郷地区で「六郷たすけあいプラットフォーム」を立ち上げ、同地区で関心が高かった「子どもをめぐる課題を共有する」をテーマに話し合いを行いました。その後、プラットフォーム事業は、地域福祉コーディネーターを担当に現在は「蒲田西たすけあいプラットフォーム」、「矢口たすけあいプラットフォーム」でも活動が始まっています。幅広いメンバーで「居場所づくり」にアイディアを出し合う活動であったり、また、既存の相談機関が感じている課題を持ち寄る中で「外国籍住民への関わり」が共通課題に上がるといったプラットフォームづくりの取組みが行われています。

 

取材先
名称
社会福祉法人 大田区社会福祉協議会
概要
社会福祉法人 大田区社会福祉協議会
https://www.ota-shakyo.jp
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