社会福祉法人 足立区社会福祉協議会
人が人を呼ぶ場をつくりだす緩やかな連携に混ざってみる~足立社協~「らんたん亭」~
NEW 掲載日:2024年9月18日

地域で活動する方と出会ったあと、社協はどんなふうにつながり続けられるのでしょうか。お互いの持ち味をいかしながらちょうどいいつながりを見つけた足立区社協の取組みをご紹介します。

東武スカイツリーライン梅島駅から住宅街を彷徨い15分、入りくんだ道の奥に「らんたん亭」はありました。「わかりにくい場所だから看板とか立てたら?」「いやいや、知っている人だけがわかればいいんだよ。」と写真展を訪れた地域住民らが口々に話します。お話を伺った足立区社会福祉協議会地域包括支援センター関原(以下「包括」という。)の田栗さんと田谷さんは、そんなみなさんの輪にさりげなく入ります。

 

「昭和の暮らしの写真展」の開催にいたるまで

 らんたん亭は地域に開かれた文化芸術の拠点として、社会課題である「孤独感」「無気力感」に、中高生支援事業を通して取り組んでいます。そんならんたん亭と社協の最初の出会いは、「あだちコミュニティミック

ス連絡会※1」でした。その活動内容に共感しネットワークの仲間になってほしいという思いが発端となり、包括の「絆のあんしん協力機関※2」に登録してもらい、「絆のあんしんネットワーク連絡会(第2層協議体)※3」で参加者に活動紹介をしていただきました。

「この連絡会を通じて自然と参加者同士がつながっているようです。まずは地域の方にらんたん亭を知ってもらうきっかけづくりになりました。」と田栗さんは話します。その後らんたん亭から今回の写真展開催にあたり写真の提供の相談があり、包括が提供いただける方を探しました。単に写真の提供にとどまらず語り部になれるような人や写真展を発信できる人がいいなと思いながら、最終的に3世帯の写真が集まりました。提供者の中には「絆のあんしん協力員※4」もいます。

 

コロナ禍を振り返りながら…

 「コロナ禍を経て活動を再開しはじめ、住民のみなさんの楽しそうな様子を目にしまし

た。私たちが思う以上にみなさんは外に出て交流したり活動したりしたかったのでしょうね。(感染の不安などを)気にしすぎていたのは社協の方だったのかもしれません。」と田谷さんは振り返ります。「みなさんのモチベーションを保つために私たち社協が活動を後押しすることが大切だなと思いました。」とのこと。今回の写真展にあたっても、包括の様々な事業でチラシを配布したりして活動を応援していました。「委託業務があるなかでそれぞれの事業から超えた動きはしづらいこともありますが、事業ごとの強みをいかすこともできると思っています。そしてそれぞれの事業が地域づくりの土台になっていると考え、職員間でも情報共有をして次の取組みにつなげることも意識しています。」とのことでした。

 

異なる視点からのアプローチ

 期間中に開催した包括主催の出張相談やミニ講座を企画したのは田栗さん。「認知症の事業を担当しているのですが、写真を通して昔を思い出してもらうのは回想法の観点からもいいなと思いミニ講座は認知症をテーマにしました。出張相談は金融機関や町会の集会室など高齢者が利用する場所での開催が多いのですが、今回らんたん亭で開催することで包括を幅広い世代に知ってもらえたんじゃないかな。」と話します。一方らんたん亭の川上美喜さんは、「わたしたちは普段中高生の支援を行っています。写真展をきっかけに地域をよく知る高齢者のみなさんにこの場所を知ってもらいたい、そしてこの場所を子どもたちに広めてほしいと思って企画しました。」と話します。

 包括とらんたん亭それぞれの主な利用者とアプローチしたい層はちょうど相互関係にあるように見えます。中高生支援の場に高齢者支援の包括が混ざっていく、地域の場に公的機関が混ざっていく―それはまるで海水と淡水が混ざりあう汽水域のようでした。地域活動の拠点を整備する社協も増えてきていますが、今回のようにすでにある拠点を活用していくことで拠点を支援しつつ継続した活動につながるのかもしれません。

 

「社協の」包括であること、そしてこれからへの思い

 社協が受託する包括ならではの特徴について田谷さんは、「やはり地域の情報量がとても多いです。足立社協は13課あるのですが、13課が持つネットワークの広がりをいかせるのは社協の包括だからこそできることだと思います。」と話します。そして地域福祉活動計画にも触れ、「“自分にとってのちょうどいい”というフレーズがいいなと思っています。主役である住民や地域で活動するみなさんがそう思えるように、裏方として動き回る社協でありたいなと思っています。」と伝えてくださいました。

 

あとがき

 らんたん亭のある足立区梅田エリアは地域住民の活動がとても盛んだそう。そんな風土があるからか、新しい活動も受け入れられやすいようです。「わたしも代表の中島正行も足立区の生まれではないのですが、地域とつながるきっかけを包括のみなさんにつくっていただけてとても感謝しています。」と川上さんは話されていました。今回の写真展のことを、今後開催される絆のあんしんネットワーク連絡会(第2層協議体)でも報告していただく予定とのことです。らんたん亭と包括の絆が強まっていくときに立ち会えてとてもうれしかったです。

※1 個人や団体、企業等がそれぞれの強みを活かし、人生100年時代の地域づくりに協働・協創で取り組んでいくことを目的とした連絡会

※2~4 足立区の孤立ゼロプロジェクトの一環。足立区では「絆のあんしんネットワーク連絡会」を生活支援体制整備事業の第2層協議体に位置付けています。

https://www.city.adachi.tokyo.jp/chiikibunka/kuminsanka/korituzero/index.html

(取材日:令和6年7月25日)

取材先
名称
社会福祉法人 足立区社会福祉協議会
概要
社会福祉法人 足立区社会福祉協議会URL:https://adachisyakyo.jp/
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