身近な場所でなんでも相談できる、地域の居場所を活用した「丸っとふくまど」(出張福祉の総合相談窓口)を運営する、国分寺市社協の取り組みを紹介します。
あらまし
- 国分寺市は、地域福祉計画に基づき、令和元年度から「重層的支援体制整備事業」のモデル事業を実施し、令和3年度からの移行準備事業を経て、令和5年度から本格実施をしています。それに合わせて国分寺市社協では、令和元年から「包括的支援体制構築事業」を受託し、東西2圏域に1名ずつ地域福祉コーディネーター(以下「地域福祉Co」という。)を配置し、令和5年度からは4名に増員されました。普段は、社協の事務所内を拠点にして、地域へ出向いて相談支援をしていますが、週に1回は市役所内で、月に1回ずつ、東西圏域それぞれにある地域の団体が運営する居場所を利用して、『丸っとふくまど』を開設しています。
新たな相談拠点『丸っとふくまど』
JR国分寺駅南口から府中市方面に坂道を下り、15分ほど住宅街を歩いていると『丸っとふくまど』の青いのぼりと『にわには』の黄色いのぼりが民家の玄関わきに立ててあります。ここは、空き家を活用して地域の方が運営している居場所で、立ち上げには地域福祉Coも関わってきました。玄関に続く小道の先にある入り口からは『丸っとふくまど』を開設している部屋に直接上がれるため、相談に来た人も気軽に立ち寄れます。
地域福祉Coの野村さんと自立支援担当の岡倉さんからお話をきいていると、奥の部屋からは子どもたちの元気な声が。ここは、小学校のすぐ近くということもあり、学校帰りの子どもたちの居場所にもなっています。「特に相談がなくても立ち寄って声をかけてくれる人も増えました。」と野村さん。遠くの窓口に行くほどではない、ちょっとした近所の困りごとの相談から、継続支援に繋がることもあるそうです。
新しい窓口を知ってもらうことから始めようと、民生・児童委員協議会や町会・自治会で事業の紹介をしたり、ボラセン主催のフードドライブや権利擁護センターの講演会等と連携し、相談窓口を開くなどして、地域の方にとって身近な存在になるよう取り組みを進めています。
誰でもふらっと立ち寄れる相談の拠点の開設に向けて
令和5年1月から、分野を問わず誰でも相談できる総合相談窓口を市役所内に週1回開設し、地域福祉Coが常駐して相談対応をしてきました。市役所は市のほぼ中央に位置しており、国分寺市は「国分寺崖線」としても知られる坂の多い地形のため、相談窓口にアクセスしづらい方がいるかもしれないと感じ、身近な地域への出張ができないか、市の担当者に相談をしてみました。ちょうど、市でも身近な場所で相談できる窓口の増設を検討しており、令和6年度からの開設に向けて、地域の空き家を活用した「居場所」への出張相談窓口の準備を始めました。
市民の身近な窓口になるように『丸っとふくまど』と愛称をつけ、令和6年4月から東西の2カ所に、出張相談窓口を開設しました。平日は時間が取れない方もいると考え、1カ所は土曜日を開設日として、地域福祉Coが立ち上げから支援を行ってきた地域の居場所『坂の上のひとつ』(国分寺市西町)、『にわには』(国分寺市東元町)の一角をお借りして、毎月1回行っています。
社協内部では、権利擁護や自立支援の担当者によるアウトリーチの必要性が取り上げられていたため、出張相談窓口の運営を一緒に行うことができないか、市の担当者とも検討を重ね、了承を得ることができました。そこで、社協内部の調整を行い、権利擁護担当と自立支援担当のどちらかの担当1名が、地域福祉Co1名と一緒に配置するなど連携を開始。相談を受け止める専門分野の幅が広がると同時に、職員の支援スキルの向上にもつながっています。
今後は、出張相談窓口の出張場所を増やすとともに、スポットでの出張相談窓口の開設も続けていき、令和7年度以降は、市内6圏域に1ケ所ずつ出張相談窓口を増やしていく予定です。今後は『丸っとふくまど』のイメージキャラクターのお披露目も予定しています。
(取材日:令和6年9月26日)