稲城市生活福祉課地域福祉係 (社福)稲城市社会福祉協議会
市内10の地区ごとの特色を生かして、地域包括支援センターなど既存の相談窓口と重層担当者が連携して、住民主体の地域支援を展開 ー稲城市における重層的支援体制整備事業の取組み
掲載日:2025年1月31日

Ⅰ 稲城市で取り組んできた地域福祉活動

(1)10の地区に8つの「ふれあいセンター」

 稲城市は東京都の多摩地域南部に位置し、人口は約9万4千人、高齢化率22%で、1970年代以降の京王相模原線沿線の開発や多摩ニュータウンの開発に伴い人口が増加したものの、梨やぶどうの産地であり、農地や多摩丘陵の緑地も多い地域です。

 稲城市社協では、地域の活動の拠点として地域住民の方が運営する「ふれあいセンター」を設置しています。きっかけは平成5年度から実施していた地域懇談会で、地域の方たちからの「地域福祉活動の拠点を作りたい」との意見でした。その頃は転入者が増えており、「他の地域と比べて稲城にはボランティアなどの活動場所が少ない」という意見があがり、市内に「ふれあいセンター」を開設する力になりました。それを受け、稲城市社協では自治会や民生児童委員、ボランティア活動を行っている方たちなどに声をかけ、準備説明会などを実施し、平成9年に1か所目が平尾地区に立ち上がりました。地区同士での情報共有もされており、「平尾にできたならうちでも」と他の地区から相談を受け、平成30年には市内で8か所目を開設しました。社協職員も、地域の拠点があることで、住民の方たちとの接点が持ちやすくなったばかりでなく、包括も「ふれあいセンター」を頼りにしてくれるようになりました。8か所目ができる頃には、行政の方から「こういう場所があるので、ふれあいセンターが無いこの地区に作りませんか」と提案をいただくまでになっていました。

 「ふれあいセンター」は地区によって様々な場所を活用しており、高齢者住宅の集会室を利用したり、小学校や市の建物の中にあったりと様々です。利用されているのは高齢者が多く、包括を招いて認知症講座や体操教室を実施したり認知症の方の通いの場として利用したりすることで、地域の方が認知症の理解を深め地域での見守りにつながるなど多様な活用がされています。どうしても高齢者に主眼が行きがちですが、子どもとの関わりも課題に挙がっており、保育園近くの「ふれあいセンター」で近隣保育園の協力で乳幼児の親子が遊べる場を提供することで多世代交流の場にもなっています。

 

(2)稲城市ならではの地域づくりとCSWの配置

 第四次住民活動計画に掲げたコミュニティソーシャルワークの充実を実現するため、平成28年度にプロジェクトチームを立ち上げ、29年度にモデル地区を矢野口に決め、CSWを1名配置しました。矢野口は、当時市内で一番人口が多く、「ふれあいセンター」の利用も盛んな地区でした。また、自治会館の一角に「ふれあいセンター」があったこともあり、自治会とのつながりも強く、コミュニティソーシャルワークを展開しやすいと考えたからです。

 実施にあたり、何より嬉しかったのは、包括の方たちがこれまで築いてきた人脈について、惜しげもなく全て教えてくださったことです。このことは、現在の重層事業においても同様で、包括の方たちの協力無くしてはできないと感じています。稲城市社協では、包括を受託していませんが、障害の相談事業を受託していましたので、双方が連携することでお互いのノウハウを活かせると考えていますし、お互いに頼りにしています。地域づくりにおいては、SCから相談を受けることもあり、一緒に作り上げているところです。

 

 

取材先
名称
稲城市生活福祉課地域福祉係 (社福)稲城市社会福祉協議会
概要
https://www.city.inagi.tokyo.jp/
https://www.city.inagi.tokyo.jp/shisetsu/fukushi/fukushi/shakyou.html
タグ
関連特設ページ