(2)多機関協働事業
相談支援機関や福祉事業者等からつながった複雑化・複合化した支援ニーズをもつケースに対して、ケースを担当する支援機関等と連携して支援を行います。支援を進める上で抱える課題の把握や各機関の役割分担、支援の方向性の整理といった事例全体の調整機能、その後の支援の進行管理の役割を果たし、支援者を支援する役割も担います。
多機関協働事業を進めていくうえで心がけていることは、重層担当者が単なる「困難ケース担当」にならないことです。支援機関からケースがつながった場合も、お互いに丸投げするのではなく、チームとして一緒に関わっていくように進めていき、市としての支援体制を確立していきます。
稲城市では、重層事業に係る会議を「支援会議」と呼んでおり、開催目的に応じて参加者や内容を使い分けています。本人同意のないケースについて話し合う場合は、参加者に守秘義務を課して支援方針やケースの検討、情報の共有を行っています。市全体の連携体制の推進については、3か月に一度、支援会議(全体会)を開催し、包括的相談支援事業や地域づくり事業の関係者、母子父子相談、消費者相談、教育委員会等の担当者と事業全体の検討を行っています。
(3)アウトリーチ等を通じた継続的支援事業
重層担当者が狭間や複雑化・複合化した課題を抱えているために必要な支援が届いていない人に対して、直接かつ継続的に関わることで信頼関係を構築し、状況や課題の整理などを行います。訪問による面談、本人を取り巻く地域の方や関係機関をつなぐ支援を行いつつ、継続的に関わることのできる支援機関等とともに伴走支援を行うことで、その人らしい生活ができるように働きかけます。
生計を担っていた家族が倒れるなどした時に、相談につながって8050問題が判明することが少なくありません。また、本人の困りごとの相談から本人が気付いていない本当の課題が見えてくることも多くあります。そのため、地域の方が「ちょっと気になる」と感じたことを身近に相談できるように、第2層協議体をはじめいろいろな場に出向いたり地域に出るときはできるだけ自転車を使ったりすることで、地域の方に声をかけてもらえるように心がけています。
(4)参加支援事業
重層担当者がコーディネート機能を担い、第2層協議体や支援機関からの相談でつながったケースなどの個別支援を通じて、居場所や支援メニューとのマッチングや、参加への働きかけ、緩やかな見守りなどをしていきます。
既存の支援ではマッチングしない場合は、本人やその世帯の支援ニーズや状況にあった支援メニューを作成するために、必要に応じて、既存の社会資源に働きかけて拡充を図るなど、地域への働きかけも行っていきます。
また、就労等を希望する方に対しては、生活困窮者制度の就労準備支援の対象者を拡充し、経済的な困窮状態にない方や障害者サービスの支援対象にならない方に対しても支援を提供していきます。
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