街が変わっていくことを楽しんでいきたい
「平井って地味でなにもない街だからこそ、包容力があるんです」。こう話すのは2025年4月江戸川区平井駅前にオープンしたマンション内にある『HIRAI TERRACE LOUNGE with H1T』(以下、ラウンジ)のライブラリ選書を手がける、書店『平井の本棚』オーナーの津守恵子さん。ライブラリには新しい本だけでなく、古本も置いています。ラウンジが街に根づき長く利用してもらえる場所になるよう、種まきの意味でも歴史を感じられる古本の力を借りているとのこと。マンションの開発・販売を担う野村不動産株式会社の水﨑裕也さんは、「ラウンジが、もともとこの地域に住んでいる人と新しくこのマンションに住む人をつなぐ役割になれたらと思います。平井の雰囲気を大切に、街になじむような場所になるように何度も相談しました」と言います。地域貢献集会室としての顔もあり、休日は町会の会議などでも利用されているそうです。
これまで『平井の本棚』ではさまざまなイベントが開催されてきたのですが、そのなかで「再開発で街の様子が変わり、災害時に孤立するのではないか」といった住民の不安が寄せられていました。「せっかくなら街の変化を楽しみにできたら」と思った津守さんは、イベントに参加していた当時の野村不動産の担当者にさまざまな“しかけ”を提案。そして、工事現場の仮囲いに子どもや障がいのある方々などが協働して大きな金魚を描く壁画プロジェクトを実施しました。「この協働の経験から、津守さんたちなら街の歴史を学んだり、人々が交わったりできる場所にしていただけるのではとラウンジのディレクションを依頼しました」と水﨑さんは言います。
多様な街の姿を感じられる場に
また、津守さんら平井に縁のある人々が集まって『ブリコルひらい』という街の情報誌を制作しています。そのメンバーの一人である内海皓平さんがラウンジのアートディレクションを担当しました。人々が街に根ざしていけるようにと、ラウンジには平井エリアのマップや街の文化や歴史にちなんだオブジェも設置しています。ラウンジ利用者がライブラリを見て『平井の本棚』に遊びに来ることもあり、住民のゆるやかな回遊が街に広がっています。「本は変わらず残っていくものです。それは街の歴史が層になっていくことと似ているなと思います。本や本棚を通して街のさまざまな面を伝えられたら」と内海さんは語ります。
HIRAI TERRACE LOUNGE with H¹T
- 場所:江戸川区平井5-17-1 プラウドタワー平井2階
- 営業時間:平日8:00~20:00
https://hirai-shelf.tokyo/