社会福祉法人あだちの里 希望の苑 副主任 管理栄養士 丸山 峰子さん
多職種が関わる栄養ケア・マネジメントは管理栄養士として大きなやりがい
NEW 掲載日:2025年6月27日
2025年6月号 福祉のおしごと通信

社会福祉法人あだちの里 希望の苑 副主任 管理栄養士 丸山 峰子さん

 

あらまし

  • 障害者支援施設で管理栄養士として働く丸山峰子さんに、管理栄養士をめざすきっかけや、副主任として職場で心がけていることなどをお聞きしました。

 

父親の病気がきっかけで栄養士へ  

両親が足立区で飲食店を営んでいて、幼い頃から食に対して関心があり、食べることも大好きでした。高校生の時に父親が糖尿病を患い、食事療法で少しでも長生きしてほしいと思い、栄養士をめざすようになりました。短期大学で2年間学んだあと栄養士になり、その後、大手企業の事業所の社員食堂で栄養士として現場で働きながら勉強し、管理栄養士への道を切り開きました。結婚を機に企業を退職、社員食堂を辞め、地元の学校給食の栄養士として非常勤で働き始めました。そこでは、調理や配膳、食器洗浄は外部へ委託し、献立作成や食材発注などを担当しました。管理栄養士として、成長期の子どもたちに必要な栄養素をバランスよく満たした献立づくりや食育などが求められ、それまで献立作成に関わることがなかったので、とても勉強になりました。

 

10年ほど前から足立区の学校給食で働いていた栄養士で構成された「スカラーママ」というボランティア団体に参加することになり、子ども食堂や学校・地域での料理教室に携わりました。食を通じて栄養士仲間とは今でもつながりがあり、ボランティア活動も継続しています。学校給食の管理栄養士として8年間働いた後、スキルアップをめざし転職を決意。2004年にあだちの里に入職しました。

 

専門職としてかかわる栄養ケア・マネジメント  

最初は法人内の通所施設に配属され、障害者支援施設「希望の苑」が2007年に開所するタイミングで異動しました。同じ頃、障害者支援施設で栄養ケア・マネジメントが導入されました。栄養ケア・マネジメントとは、看護師や生活支援員などの多職種が関わり、ご利用者の栄養状態を確認しながら一人ひとりの栄養管理を行うことです。関連する栄養ケア計画書などの作成に必要なソフトの検討、職員との連携体制の整備、ご利用者の家族への説明など、時間をかけて準備していきました。忙しい日々でしたが、施設の立ち上げに関われたことはいい経験になったと思います。その後いくつかの異動を経て、2023年に希望の苑に再び戻りました。献立作成や調理等の実務は外部へ委託していますが、献立決定前の献立会議を委託業者と行い、ご利用者の障がいの特性や嗜好に合わせたメニューを協議するほか、栄養ケア・マネジメント業務を中心に行っています。 

 

献立会議では、手づくりで安心・安全なメニューを提案するようにしています。人件費や食材費が上がって高騰している昨今の状況を考えると、理想と現実の狭間で葛藤することもありますが、ご利用者のから「給食おいしかった」「給食ありがとう」の言葉が何より嬉しいです。

 

栄養ケア・マネジメントは、管理栄養士だけでは成り立たない業務で、ご利用者の身体状況を把握している看護師や、毎日の食事量や嗜好などをよく知る生活支援員とのコミュニケーションは欠かせません。十分な情報共有を行いながらご利用者一人ひとりの状況に応じたきめ細かな栄養ケアを心がけています。障害者支援施設では、朝昼晩の食事が提供されるため、給食はご利用者の栄養状態をコントロールする重要な役割です。例えば、糖尿病のあるご利用者は食事を通じて病状を改善することができました。また、持病がある方や高齢化による誤嚥性肺炎などで入院する方も多くなっているため、健診結果をもとに、嘱託医、看護師、生活支援員、栄養士でカンファレンスを行い、ご利用者一人ひとりの課題を多職種で検討しています。さらに、食事中に「むせた」という話があると、必ずST(言語聴覚士)に伝え、STと一緒になってご利用者の嚥下機能の確認や、食形態を変更するなど対応をしています。年2回、ご利用者家族との面談に栄養士として参加できることも有意義で、専門職としてやりがいを感じています。

 

働きやすい環境整備は役職者の役割  

入職して22年目になりました。各事業所に配置されている4人の栄養士の取りまとめ役と副主任の役職を任されています。私が思う“いい施設”は、一人ひとりが積極的に動き、生き生きと働いているところ。役職者として、その環境づくりを率先してやることが大切だと考えています。何か悩んでいる職員がいたらすぐに声をかけ、自分が忙しい時も相手の話を丁寧に聴くなど、風通しのよい雰囲気づくりを日頃から心がけています。私自身、同僚や上司に恵まれ、仕事と子育てとの両立をたくさん応援してもらいました。今度は私が恩返しをする番だと思って、働きやすい職場を自分なりに考え続けたいです。これからも、多職種でタッグを組みながら、質の高い栄養ケアにより、ご利用者の生活を支えていきたいと思います。

取材先
名称
社会福祉法人あだちの里 希望の苑 副主任 管理栄養士 丸山 峰子さん
概要
社会福祉法人あだちの里 希望の苑
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