社会福祉法人 瑞穂町社会福祉協議会
みずほつながりたいー支える・支えられるをこえたつながりー
NEW 掲載日:2025年8月21日

あらまし

  •  令和5年版厚生労働白書では、「つながり・支え合いのある地域共生社会」と題し、制度や分野ごとの縦割りや、支え手と受け手という関係を超えた、ポストコロナの時代に求められる新たな“つながり・支え合い”のある地域共生社会の実現が示されています。“つながり・支え合い”は、言葉では簡単に表すことができますが、本当につながれているのか?ささえあえているのか?というように、なかなかその形が見えにくいところがあるのではないでしょうか。そこで、このつながりをわかりやすく伝えることに着目した瑞穂町社協の取り組みをご紹介します。

「ささえあい」から「つながり」がキーワードに

 瑞穂町社協では、これまでも瑞穂町地域福祉活動計画を策定し、あらゆる人々と協働した“ささえあいの活動”を推進してきました。その取り組みの一つとして、町内各地区でそれぞれ年2回定期開催している「地域ささえあい連絡協議会」があります。住民、町内会・自治会、民生委員・児童委員、個人商店など地域に携わる方々に加え、警察や消防、金融機関、ガス屋などのライフライン系のお店、コンビニエンスストアの店長など、地域に関心を持っている方が顔を合わせる住民懇談会です。参加者は地域への関心を深め、見守る意識を持っており、個人や地域の課題について活発な情報交換が行われています。しかし、『“ささえあう”ために具体的に何をすればよいのか?というモヤモヤがあり、ささえあいの大切さを共有するところまでになっていた』と粕谷さん。そんななかで、コロナの影響により連絡会は中断します。

 その後、令和4年度の後半から連絡会は再開しましたが、コロナの影響により地域のつながりが途切れてしまっているという課題に直面しました。ここで改めて“ささえあい”というテーマを考えたときに、まずはお互いが顔の見える関係でつながれることをやってみたらどうかと、“つながり”がキーワードとして表れてきました。ささえあいを目指すために、まずはつながろう。こうして連絡会の名称を“地域つながり推進連絡会”に変更し、つながりの推進に向けて動いていきます。

 

「つながる」気持ちの見える化という発想

 人と人とのつながりの大切さについては誰もが理解をいただけても、形としては見えません。だったら、地域の方々がつながろうとしている気持ちを見えるようにしよう。これが、支える・支えられるをこえたつながり“みずほつながりたいのはじまりです。

 この、気持ちの見える化を目指すうえでのこだわりの一つが、ロゴマークの作成です。『地域のみなさんに受け入れられるロゴづくりは難しかった』と粕谷さんと池谷さんは口を揃えます。できるだけシンプルでわかりやすいものつくろうと考えていたところ、東京オリンピックの開会式でのピクトグラムパフォーマンスからヒントを得て、「ピクトグラム調にしよう」と決まりました。デザインは社協内でアンケートを取り、アイデアを出し合うところから始まり、町役場との連携による瑞穂町のキャラクター「みずほまる」とのコラボレーションも実現するなど、次第に部署を超えて完成に向け、熱量が高まりました。デザインは瑞穂町にゆかりのある方に依頼して、ロゴマークが誕生しました。世代や性別などに関わらず、“いろいろな人とつながる多様性”をハイタッチしあう姿と、色のグラデーションで表現しています。

 

何かをしてほしいでもない、つながろうって思うだけでもいい

 高齢者でも障害者でも子どもでも、だれでも参加できる“みずほつながりたい”を平仮名にしている理由は、チームの一員という“隊”のイメージを残しつつ、願望の“~したい”を表現したかったからとのこと。ロゴマークを使用した3種類の缶バッジが今年度完成し、この半年間で1,500個以上配布するなど、積極的な頒布が行われています。ほかにも、ポケットティッシュや玄関などにも貼れる大小のステッカーを作成し、町内70箇所のお店に配布したり、瑞穂町内社会福祉法人連絡会を中心に、各法人や施設への配布をはじめ、ガソリンスタンドやコンビニの入口にも貼ってもらうなどしています。

 また、次世代を担う子どもたちや学生にも徐々に“みずほつながりたい”は浸透しています。たとえば、ボランティアセンターによる福祉体験講座として小学校の総合学習を活用した車いす体験の場や、赤い羽根の街頭募金に協力してくれた町内の高校生に、参加した証として缶バッジを配布しました。さらに、福祉ふれあいまつりの開催や、産業まつり等の地域のイベントにおいて、社協事業のPRとあわせて来場者への配布も行いました。“何色にしますか”というやり取りをするだけでも楽しい。そこから、福祉に関心を持ってくれたり、将来福祉の道に進んでくれるきっかけになってくれたら…という希望があります。

 

自分たちがつながっていないと、地域はつながれない

 『社協がつながっていないのに、地域のつながりはつくれない。だからこそ、みんなで配ろうという意識が強くなった』と粕谷さん。この“みずほつながりたい”が完成するまでのプロセスには、社協内の役職や係をこえた協力、連携が大事だったといいます。『社協全体で作り上げたことで、地域全体がより見えるようになった』と池谷さん。地域のつながりをつくろうとすると、何か役割を持つことが負担になってしまったり、やらなければという気持ちになりがちなところもある。“みずほつながりたい”は、そんな義務感のようなものではなくて、自然に日常に入り込んでいくようなつながりを目指しながら、これからも町内に広がり続けていきます。

 

取材を終えて

 “つながり”という目には見えないものを、見えるようにするという発想が新しいと感じました。同じバッジを持っている。それだけでもつながっている。その広がりが、次世代の地域の担い手へとつながっていくことがとても楽しみに感じる取材となりました。

取材帰り。瑞穂町社協からは雲がかりでしたが、夕焼け空に富士山が見えました。

(取材日:令和6年12月12日)

取材先
名称
社会福祉法人 瑞穂町社会福祉協議会
概要
https://mizuho-shakyo.com
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