
視覚障害者の活動を理解していただけることが楽しい
杉並区の南西部に位置し、緑豊かで閑静な住宅が立ちならぶ富士見ヶ丘駅の近くに、2025年2月にオープンした「MOONLOOP CAFE」。一般社団法人ビーラインドプロジェクト代表理事の浅見さんが視覚障害者と晴眼者がお互いに協力して働けるようにという想いでつくったカフェです。現在は視覚障害者3名がホールスタッフ、晴眼者3名がキッチンスタッフを担っています。「蜃気楼珈琲」という日替わりで店主が変わる「シェアリングコーヒーショップ」で出店しているため、毎週月曜日の夜のみ営業しています。メインメニューは視覚障害者のあるスタッフの視野の満ち欠けに重ね合わせてつくるチャイで、軽食やスイーツの提供もあります。

視覚障害者のことを知りたい方も多く来店されます。「いろいろな背景の方にフラットにコミュニケーションを楽しんでいただくことを大切にしています」と店長の隅本真理さん(愛称:マリリン)は話します。お客様からもニックネームで呼んでもらうなど、スタッフとお客様の距離が近く、店内は活気ある話し声に満ち溢れています。「自分たちには当たり前のことが晴眼者には当たり前ではないこともあり、このカフェでお互いの理解につながることがめちゃくちゃ楽しいです。私たちの活動が希望になったとか、このような仕事をしたいという声があがると、やりがいしかありません」。

マリリンは生まれた時は弱視でしたが、7歳で網膜剝離になり全盲に。小中学校は一般校の弱視学級、高校は視覚特別支援学校、音大で声楽を学び教員免許を取得しました。この4月からは大学院にすすみ「音楽カフェ」を研究する予定です。そんな努力家のマリリンも飲食店での接客を、障害があることを理由に無意識に諦めていたといいます。しかし、同級生の浅見さんに声をかけてもらい、働くことが実現したといいます。
代表の浅見さんが就職活動に専念することを機に2025年10月、マリリンは店長に昇格しました。「スタッフ同士のコミュニケーションや仲の良さが安全面などにも直結するので人材育成に力を入れています。メンバー同士で高めあい、できないと決めつけず、どうやったらできるのかを議論しあえる仲です」とスタッフが成長できる職場づくりにも力を入れています。
諦めていたことも気持ち次第で実現する
「MOONLOOP CAFEは私にとって“希望”。些細なきっかけが希望になることを実感しました。カフェは私の生活の中心であり、ライフワークでもあります。このカフェを大きくすることが夢です。これから大学院で2年間研究していくことをこのカフェに活かしたいです」とマリリンは話します。
障害がある人もない人も、誰もが些細な理由で夢やあこがれ、希望を無意識に諦めてしまうことがあるなか、無意識な諦めは自分自身の気持ち次第で実現する、ということをこのカフェで教えてもらい、マリリンは人生が変わったと言います。諦めそうな人がいたら、このカフェが背中を押せる存在になれるように、お客様との時間を大切にしながら、これからもスタッフとともに切磋琢磨して壁を乗り越えていきます。
MOONLOOP CAFE
- 場所:東京都杉並区久我山5丁目24−1
営業時間:毎週月曜日 17:30~21:30
https://blinedproject.org/moonloopcafe








