
社会福祉法人恩賜財団 東京都同胞援護会
立川福祉作業所 副所長 関口 直志さん
社会福祉法人幹福祉会
理事長 谷口 幸生さん
社会福祉法人立川市社会福祉協議会
地域活動推進課 地域づくり係
係長 小山 泰明さん 樋口 睦子さん 鑓田 莉奈さん
以下、社会福祉法人の2名からの発言を“法人” と、立川市社協3名からの発言を“社協” と記載します。
「ふくしネットたちかわ」の立ち上げで取り組む参加支援とは
社協)「ふくしネットたちかわ」は、立川市内にある30の社会福祉法人・81施設が参画している、社会福祉法人の地域公益事業をすすめるネットワークです。2019年「ひきこもりの若者等の職場体験の受け入れができるのではないか」という意見を契機に、2020 年から社会福祉法人が取り組む参加支援を検討し始めました。翌年にはワーキンググループを設置し参加支援の具体的な方針や実施の流れなどを決め、2022 年から社会福祉法人6 施設から提供された14種の活動メニューリストをもとにした参加支援の取組みを開始しました。この取組みは、社会的に孤立しているすべての人を対象としています。
その人らしさが輝く生きがいに変わっていく
法人)受入れに向けてある方と面談をしているとき、子どもにかかわる活動に興味があるのか、ぱっと表情が明るくなったことがありました。メニューリストにはありませんでしたが、車椅子ユーザーの中学生の通学の見守り活動をお願いしたところ、快く受け入れてくださいました。その後、「職員になりたい」という希望が生まれ、自らヘルパーの介護職員初任者研修を受け、今では訪問介護の仕事をしています。活動の先をあまり意識せず、ご本人の「今、これがやりたい」という気持ちを尊重することも大切かなと思います。
社協)外出がまったくできなかった方を担当した時は、家の近くの公園やコンビニまで一緒に散歩したりして、少しずつ外へ出る機会を増やしていきました。だんだんと外出へのハードルが下がり、「これが楽しいな」「自分はこういうことが好きかも」といった意欲が芽生えるようになっていきました。「何かしてみたい」という意思を形成するところからサポートできるように、一人ひとりがもつ背景や特性、希望を加味しながら、徐々に時間をかけていくことが必要だなと日々実感しています。活動のメニューについては、さらに多様なバリエーションやグラデーションのある活動を考えていく必要があると感じています。

本人の「やりたい」を引き出すために心がけていること
社協)本人と面談を重ねながら、「何かやってみたい」という思いが表出されたら、私たち地域福祉コーディネーターがメニュー提供先の法人・施設と連携し、受入れに向けた調整を行います。ここで大切にしていることは、時間をかけて関係性を築いていくこと。私たち社協とつながる前に、行政の担当者が複数年対応し関係づくりをしてきたようなケースもあります。本人の状況や思いを理解し、とにかく焦らないということを第一に関わっていくようにしています。
法人)受け入れる立場からも、面談時にはその方が「何ができるのか」という視点ではなく、その方がもつ「プラスの力」や、本人の興味・関心からできそうな事を見つけていくということを心がけています。きちんとご本人に感謝の言葉を掛けたりすることも、その方をエンパワメントする上で大切だと思っています。また、活動することがゴールと捉えてしまうと、それができない人たちはますます辛くなってしまう。必ずしも活動や就労がゴールではなく、一人ひとりのペースで「自分だったらこれができるかな」と思えることが、この立川の地域で見つけられることが大切だと思います。
社協)メニューを提供する法人との連携も重要です。「顔の見える連携」は特に重視していて、その鍵を握るのが地域福祉コーディネーターです。「こういう人がいるので、受け入れてほしい」というお願いを引き受けていただけるのは、法人のみなさんが私たち社協を信頼してくださっているからこそだと思っています。
その人のペースでいろいろな選択ができる社会へ
社協)第6 次地域福祉市民活動計画の重点推進事項のひとつに、「地域活動の担い手支援」があります。それに関連して、「多様なはたらき(仮)」について立川市民にも広く意見を募りながら検討を始めています。これは、一人ひとりが「できそうなこと」「やれること」を起点に、雇用関係に至らなくてもボランティアや地域活動など多様な方法で多様な場へ参加すること。多様な場への参加機会をどのように地域の中に増やしていくかを引き続き考えていきたいです。
法人)今後は福祉施設や社会福祉法人だけではなく、民間企業や他団体などと連携して参加支援の取組みをすすめられたらさらに選択肢が広くなりますし、その入り口として市や社協、社会福祉法人がつながっていけたらいいんじゃないでしょうか。立川市なら、それが叶うんじゃないかと思います。
社協・法人)「まあまあ」っていい言葉ですよね。いろいろな選択肢がある中で、その人のペースで「自分の役割」や「やりたいこと」が見つけられ、それを否定されず「まあまあ」と柔軟に受け入れられるのがインクルーシブな社会なのではないでしょうか。「ふくしネットたちかわ」では今後も、一人でも多くの方が参加の機会や場とつながれるように尽力していきたいです。
KEY ESSENCE by interviewer
- 1. 活動メニューにとらわれない柔軟性
2. 焦らず、段階をふみながら時間をかける
3. 社会福祉法人間の地域ネットワークによる信頼関係









