小金井市福祉保健部 (社福)小金井市社会福祉協議会
ひとりひとりが支え合える地域づくりをめざして 生活困窮者自立支援事業の取組みを発展させた 小金井市における重層的支援体制整備事業の取組み
掲載日:2026年2月3日

(2)孤立やひきこもりなど、生きづらさを感じる人への支援

 重層事業が始まったことにより、参加支援や地域づくりの取組も強化されてきました。不登校の経験やひきこもりなど、孤独・孤立や生きづらさを感じている人や家族への支援として、福祉総合相談窓口では、CSWが世帯や当事者からの相談を受けとめています。ひきこもりがちな当事者がつどえる居場所事業(居場所プロジェクトin koganei)の実施や、希望する人には、お寺や高齢者施設での清掃活動、都民農園の一角を使った畑での農作業などのプログラムを実施しています。畑での活動は、作業には参加せず、ただその場にいる人もいて、緩やかな居場所になっており、当事者への地域の理解にもつながっています。必要に応じて医療や保健の支援につないだり、相談のあった家族を、家族会の活動につなげることもあります。今後支援者を増やして、ひきこもり支援ネットワークを立ち上げ、小金井市全体でひきこもり支援をしていこうという機運を高めていきたいと考えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ひきこもりや社会的な孤立の問題は、これまで生活困窮者自立支援事業をベースに取り組んできましたが、複合化した課題を抱え、制度の狭間に落ちやすい事例でもあることから、重層事業を活用し、包括的な支援の観点から不足している支援や課題は何かを把握し、ひきこもり支援のネットワークを構築すべく、令和7年度は、保健所の協力を得ながら、支援関係機関に対してヒアリング調査を実施しました。当事者の支援希求の弱さ(困り感のなさ)や医療へのつなぎにおける本人同意の壁などの課題が明らかになってきており、そうした結果を共有しながら、支援関係機関間の相互理解を深め、ネットワークの構築を進めています。令和8年には、家族会も含めた支援関係機関によるネットワーク会議の開催を予定しています。

(3)講座をきっかけに地域生活課題が明らかになり、当事者に関わる新たな活動がスタート 

 コロナ禍での個別支援から、生きづらさを抱える当事者や、その家族のニーズをとらえて、居場所プロジェクトや家族の集いへと発展してきました。社協ではこれまで、地域の人に居場所づくりを考えてもらうきっかけ作りとして、居場所づくり講座を実施してきました。ある時、生きづらさを抱えた人も、「コーヒーをツールとして、居場所をつくろう」というテーマが生まれ、「コーヒー淹れTAI」が結成されました。現在も社協での会議や、福祉NPO法人の会議に呼ばれて、地域の人と一緒にコーヒーをいれるという活動を行っています。人気が出て、いろいろなところから声がかかるようになったのですが、参加者のペースを大切にしながら、少しずつ活動が広がっている状況です。

 令和6年度の講座は、個別支援でのニーズをくみ上げ、地域ではアルコール依存をはじめゲーム依存や買い物依存など、さまざまな種類の依存症が増えてきている状況を踏まえ、依存症を学んで、当事者が安心していられる居場所をつくろうと企画しました。その結果、令和7年度から地域のお寺を会場に、理学療法士などの専門職も参加して、依存症当事者が安心して自分のことを話せる居場所づくりをすすめています。

(4)重層事業の成果をどう評価するか

 重層事業の評価については、「包括的相談支援」「多機関協働」「参加支援」「地域づくり」の4項目について、数値指標に基づく実績を把握した上で、定性評価の視点を設け、目標の達成度を評価しようと考えています。包括的相談支援では「断られることがなく相談できる支援体制を市全体で構築できているか」という視点や、多機関協働であれば「チーム支援による支援のしづらさがどの程度解消されたのか」という視点などを踏まえて、新たに設置した重層的支援体制推進会議などを活用し、構成メンバーや支援関係機関等から口頭も含めて質的な観点から評価をもらうといったやり方を想定しています。

(5)包摂的な地域づくりをめざして

 令和2年に福祉総合相談窓口を立ち上げてから、多機関で連携して複合的な課題の支援をしていく中で、支援関係機関同士の連携は徐々に根づいてきました。その先の中長期的なゴールを考えたとき、福祉関係機関の連携を超えて、地域の関係者を含めて、連携体制を強化する必要がありました。市では、福祉分野に限らず、地域共生社会の実現に資する様々な取組がすすめられていますし、まだつながりがない多くの地域の活動や意欲のある市民もいます。重層事業が始まったことにより、こうした取組や活動と少しずつつながり、地域づくりを強化し、前に進めていくきっかけになりました。また、地域共生社会の理念について、市民の理解を広げていく上でも、重層事業をスタートしたこととセットで伝えるようにしています。

 ひとりひとりが助け合い、気にかけ合う地域、包摂的な地域をめざす上で、重層事業を一つの手段として考え、今地域に何があるのか、何が不足しているのか、ニーズを把握し、理解を促進しながら、一人一人の地域住民を主体とした地域づくりに向けて、持続可能な支援体制を整えていこうと考えています。

 

重層事業に関する市民への広報(市報こがねい 令和7年9月15日 №1587より)

 

取材先
名称
小金井市福祉保健部 (社福)小金井市社会福祉協議会
概要
https://koganeishakyo.jp
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