ぷらっとほーむ
互いを受容できる関係を地域に広げる~介護予防拠点施設ぷらっとほーむにおける取組み~
NEW 掲載日:2026年7月14日

社会福祉法人北区社会福祉協議会 地域福祉係 係長 小原 宗一さん

ぷらっとほーむ桐ケ丘 施設長 松村 理佳さん

ぷらっとほーむ滝野川東 施設長 杉田 志津子さん

 

 

それぞれの社会参加ができる場所

北区社協が運営するぷらっとほーむは介護予防の拠点として、体操やクラフトなどのプログラムの提供、自主グループの立ち上げ支援や出前講座、週1回の通所型サービスの実施などに取り組んでいます。区民が自主的に介護予防に取り組み、少しでも自立した生活が続けられることを目的としています。一般的にフレイル予防として「運動」「栄養・口腔」「社会参加」の3本の柱がありますが、私たちは特に社会参加の促進に関わることで “ソーシャルフレイルの予防” をめざしています。65 歳以上の高齢者を事業の対象としており、なかには 90 歳を超える方も元気に参加しています。一口に高齢者といっても幅広い年代の方がいて、それぞれが持つ個性を活かした活動をすることで生きがいややりがいを感じてもらい、もっと元気でいようという意欲にもつながっていったらと思っています。

 

役割があることが生活の力に

ここに来る方は、はじめのうちはこちらが考えたプログラムになんとなく参加している感じです。みなさんプログラム開始時間より早めに来るので、一人ひとりとお話するタイミングがあって、そこで特技や趣味についてお聞きしています。時間を重ね少しずつ関係を築いていくとこれまでのことをたくさん話してくださるので、私たちはそれをしっかり傾聴しながら、例えば「こういうことでお手伝いしてもらえないか」などと働きかけています。本人も生き生きされ、「わたしでよければ」と活動につながっていくことが多いですね。特技がなくても、少しでも一人ひとりの得意なことを見つけられたらと思いますし、その人らしさのなかで発揮できるものを見つけようとしています。

 

参加者のなかには一人暮らしの方も多く、“誰かのために何かする” という役割がない方もいます。これまであった役割を喪失することによる自己有用感の低下や意欲減退、抑うつ状態になる方もいます。そんなときにここでの役割ができて褒められたり、ぷらっとほーむで発行する季刊誌に取り上げられたりすると、モチベーションがアップしますよね。単なる介護予防というだけでなく、いろいろな循環がよくなっているなと感じます。例えば体調管理がままならなくなり不安を抱えていたAさん。ぷらっとほーむの庭の手入れといった裏方作業をしたり、農業の知識があるということで農作業をしたりするうちにみんなから感謝されて、ここに通ううちに見違えるように元気になって、人が変わったようでしたね。体操などのプログラムに参加していなくても、社会参加が“生活の力” を取り戻すことにつながっていきました。利用者同士で感謝し合ったり、声を掛け合ったりする方がより効果があるというか、響くのかなとも思っています。

 

季刊誌 ぷらっとほーむ

 

ソーシャルワークに当たり前に取り組む

“輝いてもらえる場面をいかに作れるか” を念頭に、とにかく話を聞くようにしています。先ほど述べたように一人ひとりに丁寧に対応し、傾聴する姿勢を心がけているので、そうした職員の雰囲気のなかで安心して想いや希望をお話していただけているのかなと思います。

 

北区社協の地域福祉活動計画の基本目標のひとつに「一人ひとりが輝くことのできる地域社会の実現」があります。誰もが誰かにお世話になるだけじゃなくて支える存在にもなれるけど、そのチャンスがない。だから、社会参加のきっかけを見つけるまでの関係形成にすごく時間をかけています。これは相談援助の仕事に共通していることで、ソーシャルワークがベースにあると思っています。北区社協の職員はみんなボランティアコーディネーション力検定(*)を受けているので、そうしたベースはみんな持っているなと感じます。

*ボランティアコーディネーション力検定…認定NPO法人日本ボランティアコーディネーター協会が実施する検定。

 

互いが互いを受け入れられる地域へ

手をかけすぎない、“見守る姿勢” はやっぱり大事かなと思います。それから、“寛容さ” や “相手を受け入れられる関係性”も。「何かあったらどうするの」って言うけど、「何かあってもいいじゃん、みんながいればなんとかなる」って思えるほうがいいですよね。住民同士がこうした雰囲気になっていくために私たち専門職も一緒に関われたら、と思います。ぷらっとほーむで開催する手話サロンは 90 代の方が講師をしているのですが、たまに手順が違ったり抜けたりする。でも完璧じゃないことを参加者全員が理解して受け入れている寛容さがある。そんな雰囲気がいいですよね。認知症と診断されたら何もできないと思われて、家族や専門職から役割や機会を奪われてしまい、人とのつながりが薄れ、生きている意味も感じられなくなるようなケースもあります。リスク回避のためにそんな社会にしてしまっていいのだろうか?と思うこともあります。

 

これからのことでいうと、地域でも個人でも抱えている悩みにしっかり耳を傾けて受容して、改善や解決のために地域包括支援センターをはじめとする他の専門機関を巻き込んでいくことが必要だと思います。また、新しい環境に入る時のきっかけというか、参加のハードルを低くすることもわたしたちの役割だと感じています。人は知らないことになかなか足を踏み入れようとしない、知らないから偏見が生まれるのだと思います。専門職・そして社協として「こんな機会があるよ」ってコーディネートする役割が、私たちに与えられた課題だと考えています。

 

KEY ESSENCE by interviewer

  • 1. 関係形成の重要性への理解と組織全体としての対応力
  • 2. 参加者第一の姿勢
  • 3. 同世代間・利用者と専門職間での寛容さ
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