
車椅子トラベラー 三代達也さん
18歳の時に不慮の事故で車椅子生活となる。
28歳で単独車椅子世界一周旅行を終えて帰国。
現在は旅行会社のバリアフリーツアーの監修や
全国での講演などを精力的に行っている。2021年に沖縄移住。
2026年には2度目の単独世界一周旅行を果たす。
あらまし
- 不慮の事故により18歳で車椅子生活を余儀なくされ、28歳の時に約9か月かけて単独で車椅子世界一周の旅を実現した三代達也さん。その人生を辿りながら、旅をするきっかけや伝えたい想いなどについてお聞きしました。
人生を変える“ 師匠” との出会い
18歳の時に事故に巻き込まれ、頸椎を損傷し四肢麻痺になりました。幸いなことに足は少しだけ動かせたので、2年ほどリハビリに専念していたのですが、機能回復は望めず車椅子生活に。「人生終わったな」と自暴自棄になり、リハビリ施設でも無気力な日々を過ごしていたのですが、ある時、同じ病室にいた僕より障害の重い50代のおじさんに「なんでそんなに身体が動くのに、人にやってもらうばかりなんだ」と喝を入れられました。彼から見たら僕は身体が動くと思われているんだと衝撃を受け、同時にできるのにやっていないことに気づきました。それからその人からのいろいろな課題やアドバイスに応えていくうちに、車椅子でもできることが増えていったんです。忘れられない出会いであり、その人は僕の人生の“師匠”になりました。
車椅子トラベラーとして世界一周の旅へ
東京で一人暮らしを始めたのも師匠のすすめです。初めは本当に大変でしたが、仕事や熱中できるスポーツにも出会えました。ある時、同僚との雑談でハワイはバリアフリーが整っているということを聞き、単独でハワイへ旅に出ました。23歳の時です。ハワイでは、驚きと発見の連続でした。バリアフリー環境がとても整っていて、何より障害者に対して心のバリアがないハワイでは、驚きと発見の連続でした。バリアフリー環境がとても整っていて、何より障害者に対して心のバリアがない現地の人たちの寛容さと温かさに感動し、すっかり海外旅行のとりこになりました。その後、会社を退職し、ワーキングホリデーでオーストラリア横断にもチャレンジしました。
帰国後は就職を試みましたが、心も身体も疲弊してしまい退職。未来をあきらめかけた時に、最後に一番楽しかったことをしようと思い、頭に浮かんだのが海外旅行でした。今までは自分のための旅だったけど、今回は何か自分以外の目的をもって行こうと決め、どうせ行くなら、世界のバリアフリー事情や旅での出来事を発信しようと、単独で世界一周旅行を決意。車椅子トラベラーという肩書もこのころにつくりました。そして、ヨーロッパからアジア、南米、北米を周り、計23か国、270日間にわたる長い旅を無事終えることができました。
それまでの僕は、まだまだ障害を受け入れられず、「これからいろいろな人に迷惑をかけて生きていかなくてはいけない」と、どこか引け目を感じていました。しかし旅行中にいろいろな人たちに助けてもらい、人との縁や“心のバリアフリー”を目の当たりにするうちに「障害があっても希望を持っていいんだ」という想いが芽生え、人生観が大きく変わりました。いいことだけではなく、車椅子の故障や詐欺に巻き込まれるなどトラブルもたくさんあったのも事実なんですが(笑)

ウユニ塩湖でのカット(本人提供)
前へすすむ勇気の大切さを伝えたい
世界一周旅行後、旅の様子や海外のバリアフリー事情などを発信した内容が話題になり、取材や講演依頼が続きました。僕の経験したことが価値となり、仕事につながった状況に驚きと使命感を感じ、現在は旅をしながら情報発信と講演活動をライフワークにしています。
僕のFacebookの投稿を見た車椅子ユーザーの方から「三代さんの世界一周を見て勇気をもらい、長年の引きこもりから脱却できた。あなたのおかげで人生が変わった」と言ってもらえたのは本当に嬉しかったですね。旅をすることと、僕の経験を誰かに話したり発信したりすることが天職だと確信しました。それに障害者への理解の促進という意味でも、僕が発信し続けることに意味があるのかなと思っています。
これまでの人生を辿ってみると、人との出会いや縁に恵まれ、少しの勇気をもって行動したことで人生が好転していきました。講演でもよく話すのですが、まずは少しずつでもいいので一歩踏み出してみてほしいと伝えています。聞いてもらえる人を増やす、気になる場所に行ってみる、何でもいいと思うんです。「勇気が出ない」、そんな気持ちになるのも分かります。僕もそうでした。でも、リハビリ施設で出会った師匠や海外でのさまざまな人たちとの出会いから、一歩踏み出す勇気をもらい、行動することでそれが自信につながり、さらに考え方の幅が広がっていきました。出会いやチャンスは意外と日常に転がっているものです。その機会を生かし、まず行動してみる。その小さな一歩が、人生を変えるきっかけになるかもしれないから。……というのも実は師匠の受け売りなのですが(笑)、僕が生涯大事にしているマインドです。
僕も挑戦を続けています。2026年には、2回目の世界一周旅行に成功しました。1回目は誰かのため、今回は自分の可能性を広げることをテーマに足のリハビリを再開し、どこまで歩けるのか挑戦するというミッションをつくりました。世界各国の観光地の階段を車椅子なしで登り、いろいろな人に助けてもらいながらなんとか達成できました。撮り溜めた動画でドキュメンタリームービーをつくろうと思案中です。
これからも、僕の経験が誰かの一歩につながったらという想いを大切に、旅を続けていきたいです。
https://www.instagram.com/wheelchair_traveler_miyo/











